【ライブレポート】清春、66公演に及ぶマンスリープラグレスライブ完遂「愛しています」

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<MONTHLY PLUGLESS 2015 『MARDI GRAS』 清春 Livin’ in Mt. RAINIER HALL>が麗しきフィナーレを迎えた。

◆清春 ライブ画像

東京・渋谷のMt. RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで2015年2月末から毎月何度かの週末、金曜と土曜に各日2公演ずつ行われてきたこのシリーズは、なんと33日間66公演に及ぶ至福の空間。最終夜に響く音楽をその目で確かめたいオーディエンスのさまざまな想いが場内を包んでいた。

清春の歌声に存分に浸ることのできるこのプラグレス形式は、三代堅と中村佳嗣のギターによる繊細かつ臨機応変な空間演出によって支えられていた。シートに深く座りながら、その場で即興的に組み立てられる演奏を味わう時間は、何物にも代えがたい。毎公演セットリストが変わることによって、演者と観客がクリエイティブな緊張感を共有できたことも非常に楽しい思い出になる。清春の楽曲に加え、バンド時代の楽曲、さらには多様なアーティストのカバー曲も披露されていたこのライヴ。11月に入ってからのラスト8公演は、これまでに演奏された曲達がすべて被り曲なしで総登場するという趣向となった。

午後6時を少し回った頃、場内が暗転する。特別な気持ちのこもった拍手に迎えられ、ゆっくりとステージ中央に歩み寄るシルエット。一部は「RUBY」で幕を開けた。清春の呼吸が近くで感じられるような臨場感こそが、この空間の魅力。この夜は、1曲1曲のぬくもりに大切に浸ろうとするオーディエンスの姿が目立った。「最終日になりました。特に感傷的にならずにやろうと思います。皆さんはどんどん感傷的になってください。僕はこれまで通り今日のベストを尽くします」この宣言通りに清春は歌い続ける。すべての楽曲が観客と過ごしてきた時空を愛おしむかのように躍動する。「note」が放つ尊い輝きなど、忘れられない場面の連続に心は潤うばかり。「MELLOW」「ベロニカ」といった豊かなメロディに体を揺らすうちに、「ゲルニカ」の壮大な歌唱が響き、本編はあっという間に幕を閉じた。


アンコールを求める観客の声にも自然と力が入る。再びステージに現われた清春が語る。「最初は冗談みたいな本数だなと思ったんですけど、歌うたびに、“良かった前回”よりも今日は良くなるかもという気持ちで臨むことができました」。そんな彼のパフォーマンスを絶妙の呼吸で支えてきた三代と中村への感謝を示し、彼はこう続ける。「たくさん来てくれて、ありがとうございます。愛しています。いずれ演奏だけでこういう気持ちを伝えられたらなと思います。人より時間がかかってもいいから、ゆっくりゆっくり歩いて腕を磨いて、ちゃんと“ミュージシャン”と言えるような自分でいたい。その時も皆が目の前にいてくれたらいいなと思います」。集まったオーディエンスの一人一人の目を見つめながら語りかける。「HORIZON」「MELODIES」の心地良さに酔いしれるうちに一部が終わりを告げた。

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