【ライブレポート】JAM Project、15周年記念ライブで世界中のファンに「ありがとう!」

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「Japan Animationsong Makers Project」の正式名称のとおり、これまでさまざまなアニメ、ゲームなどに楽曲を提供してきたJAM Project。2015年7月に設立15周年を迎えた彼らの記念ライブ「JAM Project 15th Anniversary Premium LIVE THE STRONGER'S PARTY」が11月29日に横浜アリーナで開催された。

◆JAM Project 画像

ライブ本編に触れる前に、特筆しておきたいのがこのライブの豪華な舞台について。まずメインとなる中央ステージの上空には4面モニターがあり、その中央から直下に映像を投影。そこから東西に伸びる花道の先にもステージが配置され、会場のどこにいても彼らの熱いパフォーマンスを楽しめるようになっている。また東側の青のステージには設立当初から2008年まで使用していたロゴ、西側の赤のステージにはそれ以降使用しているロゴが掲げられ、まさに15周年を祝うのにふさわしい舞台となっていたのだ。


さて開演前BGMがフェードアウトして会場が暗転すると、サイドステージにメンバーが登場。ライトに照らされた5人が中央ステージに歩み寄り、歌い始めたのは「レスキューファイアー」! 続けて「Crest of Z's」とライブ終盤の定番曲が連発されると会場は一気に真っ赤な光に埋め尽くされ。記念ライブは盛大に幕を開けた。

事前に各所で言われていたとおり、本ライブは40曲近くと過去最大のボリューム。そのため最初のMCでは挨拶もそこそこに、すぐさま「Rebellion~反逆の戦士達~」や「Breakthrough」、「Generation!」といった近年の楽曲群に突入。そこで披露された「サイボーグ009~Nine Cyborg Soldiers~」のように、この日はタイアップ先のアニメ映像や彼ら自身のPVが随所でモニターに表示され、メンバーのパフォーマンスとともにファンを盛り上げる演出となっていた。

15周年記念のライブだけあって、長いキャリアを感じさせる場面も多数。「特撮もパチンコもアニメも、10年、目一杯一緒にやってきました!」(影山ヒロノブ)というMCから始まったのは『牙狼』シリーズのメドレー。これまで多くの楽曲を提供してきたシリーズの歴史を歌で振り返ると、最後の「牙狼 ~SAVIOR IN THE DARK~」では金色の鎧に身を包んだ牙狼が登場! 中央ステージで四方にポージングするその姿は、「『牙狼』シリーズここにあり」と告げるような勇ましさだ。

盛大にタオルが振り回された“タオル曲”「ハリケーンLOVE」を挟んで歌われたのは、現メンバーが参加した当時の楽曲。初期メンバーの影山と遠藤正明が青ステージで「鋼の救世主」を歌うと、赤ステージでは入れ替わりできただにひろしと福山芳樹が「嘆きのロザリオ」を披露。中央ステージで奥井雅美が自身が作詞した「Little Wing」で会場を柔らかな空気に包んだのもつかの間、男性メンバー4人は福山作曲のハードな「The Gate of the Hell」を不気味に歌い上げ……と懐かしいナンバーを連発。いずれも見事なアクトで、5人揃っての迫力もさることながら、JAM Projectはメンバーがいずれも超一級の実力を持つことを改めて見せつけた格好だ。


ライブ中盤を超えると、ここまでほとんどなかったバラードの時間へ。その前に影山が自身の体験を交えつつ語ったのが、大人になることの難しさや疑問だらけでも歩み続けることの大切さ。そうしたメッセージが込められた「Always be with you」と、ヒーローへの憧憬を歌う「HERO」という2曲に、会場はそれまでと一転して聞き入るばかり。「HERO」の間奏で、そんな彼らに向かって影山は「いつの日か世界中が、みんなハッピーになれる時代を目指して、アニソンを歌い続けたいと思います」とやさしく、しかし力強く宣言する。

「まずは1曲、大作を」というMCから始まったのは、全メンバー共同作曲の「決戦 the Final Round」だ。組曲形式のこの曲では中央ステージのセンターがせり上がり、メインパートを歌う奥井、福山がその上で歌うというギミックも。さらに終盤ではブラジルからやってきたJAM Project海外特派員のヒカルド・クルーズが赤ステージに登場し、メンバーとともに絶妙なハーモニーを響かせた。そのヒカルドがメインボーカルを務める「Sempre Sonhando~夢追人~」で彼は一旦ステージから去ると同時に、ライブはいよいよ終盤に突入。久々の披露となる「Fight to the end ~聖戦~」でバンドメンバーが強烈なソロパフォーマンスを見せると、「鋼のレジスタンス」ではステージ上、会場が一体となり、掛け声と人差し指で「Z!」の文字を刻んだ。


ラストスパートは「ベテランでも甘やかさないランティスからもらった、今年一番パワーが必要だったタイアップ」(影山)だというTVアニメ『ワンパンマン』の「THE HERO!! ~怒れる拳に火をつけろ~」から。開幕の「ONE PUNCH!」(遠藤)から炎が乱発し、疾走するサビ、間奏の雄々しいコーラスワーク、「I wanna be a 最強 HERO!」(福山)の絶叫まで一瞬も見逃せないパフォーマンスで加速したライブは、「ヒカリへのカウントダウン」、ヒカルドが再参加した「Rocks」と畳み掛けられ、いよいよラストの「GONG」へ。メンバーの呼びかけに応じた会場中のシンガロングとともに祝砲代わりのゴングが鳴らされ、本編が終了した。

15年間で観客も鍛えられたのか、過去最長の本編を終えても客席からあがるアンコールはフルボリューム。恒例の「Motto! Motto!」の声に応え、ラフなTシャツ姿でメンバーがふたたび姿を現すが、ここでハプニングが発生! まだ出番ではないヒカルドも一緒に登場してしまったのだ。「なんで出てんねん!」(きただに)と鋭くツッコまれてもブラジル式(!?)で椅子に座ってステージにいようとするヒカルド……こうしたやり取りで大きな笑いに包まれるのも、JAM Projectのライブらしい場面だ。

懐かしの「CRUSH GEAR FIGHT!!」、ステージ上に「V」が描かれた「VICTORY」でふたたび観客のテンションを引き上げたところで、ようやくヒカルドが正式に再登場。メンバーが口を揃えて15年の感謝を述べたのち、最後の曲として始まったのは、もちろん代表曲である「SKILL」。間奏はきただにが間奏でコール・アンド・レスポンスを煽る恒例の“部長タイム”となり、今回の言葉は「サンキュー」、「グラシアス」、「オブリガード」といった世界中の「ありがとう」。JAM Projectからの感謝、JAM Projectへの感謝が交わる最高の「SKILL」で15周年記念ライブは終了した。

最後のMCで発表されたように2016年には4枚目のオリジナルアルバムをリリースし、さらに夏から秋にかけて大規模なツアーも予定しているJAM Project。15周年を終えても衰えるどころかパワーアップしているのはこの日のライブで証明済み。20周年、30周年に向けてフルパワーの歩みが止まることはなさそうだ。

text:はるのおと

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