【ライブレポート】Acid Black Cherry、「人生のピークを決めるのは自分次第」

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アルバムツアーとして自己最多の18万人を動員した、Acid Black Cherryの全国ツアー<Acid Black Cherry 2015 arena tour L―エルー>のファイナル公演が12月14日、日本武道館にて開催された。

◆<Acid Black Cherry 2015 arena tour L―エルー>ファイナル 画像

チケットの応募総数は約50万件、1分未満で即完したという本公演。アルバムツアーということで、ライブで盛り上がる曲に加えて、アルバム『L―エルー』から全楽曲を披露。当日は1万人のファンが約2時間半にわたってyasuの歌声に酔いしれた。

開演時刻を10分ほど過ぎて、鐘の音が物悲しく鳴り、会場は暗転。アルバム『L―エルー』のコンセプトとなっているひとりの女性=Lの人生が映し出される。そして暗闇の中、逆光を受けてyasuの澄んだ声が。客席からは大きな拍手が巻き起こる。

「versus G」を披露したあと、「liar or LIAR?」冒頭にステージ上では特効の大爆発。一気にボルテージが引き上げられたオーディエンスに対し、yasuは足元に転がったモニタースピーカーに左足をかけて、“もっと来い!”の仕草を見せながら歌い上げていく。体を突き上げんとする淳士のドラムとSHUSEのベース、そしてYUKIとHIROの肌を撫で上げるようなエッヂの利いたギター、yasuの絡みついて離さないボーカルに武道館の1万人は敏感な反応を示して声を漏らす。

「みなさんどうもこんばんは、Acid Black Cherryです! やってきました、ツアーファイナルの武道館、イェイ! はい、みなさんお集まりいただきありがとうございます。ツアー始まった時はね、まだ雪が降っていたんですけどね、3月ね。1年を一周してツアーが終わろうとしてる。年をとると時間が経つのが早いなと思いますが(笑)。みなさん、今日ファイナルですよ、わかってますか? 元気ある? いやもうほんとに、みんなの元気が俺らのパワーだから。」

そう話しかけるyasuに大歓声が沸き起こる。そしてAcid Black Cherryは、激しさ、優しさ、艶かしさを織り交ぜながら全20曲のステージを展開していった。

一方、今回のツアーではMCの内容をTwitterでファンから募集。この日の日本武道館では「ファイナルなんで『思い出(を語る)とかどうですか?』 とかいっぱい来ていたんですけど、全部無視していきたいと思います。やかましい!(笑)」と、いかにもファイナルらしい質問を一蹴。「ブスには希望がありますか?」という質問に「ブスとか言うな。ブスって言う奴がアホなんじゃ、アホ。……いや、違う。」と言い放ちながら、「ブスはね、ブスとか可愛いとかね、そりゃ可愛い方がいいけどね、可愛くなろうとしている気持ちがないことが問題やと思います! 『私ブスやから』『私デブやから』と言ってる奴が一番嫌いなんです! 『そうじゃブス、デブって言いたくなる。その気持ちがブスなんじゃ!』って。だから俺らヴィジュアル系してるんですよ! かっこよくなりたいから!」と、持論を熱く展開。その男気溢れる発言に、会場の1万人からは拍手喝采が沸き起こっていた。

そのほかにも「声変わりの時期は?」という切り口から、yasuがその昔、柔道部だった時に「おっぱいが痛かった」という、今まで言えなかった第二次性徴に関連する中学時代の思い出話。ファンからの“アダルティー”な質問に、ファイナルにふさわしく(?)熱心なまでに応じて笑いを起こす。さらに、「ヴィジュアル系のフライヤーに関する卒論を書いている」というファンからのメッセージに、自身が初めて大阪城ホールにフライヤーを配りに行った時に、フルメイクで行って「大槻ケンヂか!」と言われたというエピソード(顔に割れ目を描くメイクをしていた)を話しながら、「よかったらもらってあげてね。」と、呼びかけていた。

アンコールでは、「L―エルー」「&you」を伸びやかに歌唱するyasu。会場には銀テープも舞って、華々しいツアーの締めくくり。多幸感に溢れたステージにyasuもギターのYUKIのおでこと頬に口づける。

が、しかし、オーディエンスからは、さらなるアンコールを求める声が。そしてこのリクエストに応えて、Acid Black Cherryは再びステージへと姿を見せる。そしてyasuは、このツアーを振り返っての想いと感謝の言葉を述べて、再びライブに激しさを注ぎこむ。夏の<a-nation>で他アーティストのファンに衝撃を与え続けた“ABC名物”一億総ヘドバン状態(厳密には1万人だが)の「SPELL MAGIC」で完全燃焼のラスト……と思われた日本武道館に、yasuからは「もう1曲いいですか?」の声。そしてAcid Black Cherryは、この日のオーディエンスに「20+∞Century Boys」捧げて、3月10日からのツアーを締めくくった。

「今回のツアー、3月から始まってすごい長いツアーだったんですけど、今思えば、シャングリラの47都道府県を回った時からずっと止まってない気がして。これが終わったらちょっとホッとするのかなってどこかで思っているんですけど、今回のアルバム、本当にね、1枚のアルバムでこんなに長いツアーを回らせてもらえて、本当にありがたいと思っているんです。ありがとうございます。今回は、エルちゃんという女の子を主人公に、ひとりの女の人の人生を追ったコンセプトアルバムを作らせてもらったんですけど。あの、僕もね、自分の人生のピークというか、書籍『L―エルー』を読んでもらった人はわかると思うんですけど、これで幸せになれるのかなって思うとダメになったり。愛を求め続けた、でも、愛を求め続けることをやめなかった人の物語なんですけど。僕はね、このツアーを回っていて、ファンクラブでライブハウスとかもやらせてもらったけども……僕の音楽人生ってこんな素敵なものじゃなかったんですけどね。この歳になるまで音楽をやれるなんて思ってもなかったんで。きっと僕が年をとって、おじいさんになった時に、この『L―エルー』というアルバムとこのツアーは、思い出した時に、いろいろ感じるんじゃないかって。そんなツアーでした。なので、みなさんの人生の中にも、辛いことや楽しいこといっぱいあると思うんですけど、人生のピークを決めるのは自分次第。エルちゃんのようにですね、愛されることを辞めずに、自分の夢があるなら一生懸命頑張ってほしいなと思います。ありがとうございました。」── yasu(Acid Black Cherry)

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

<Acid Black Cherry 2015 arena tour L―エルー>ファイナル セットリスト

01.Opening ~Loves~
02.versus G
03.liar or LIAR ?
04.Greed Greed Greed
05.黒猫 ~Adult Black Cat~
06.指輪物語
07.INCUBUS
08.Round & Round
09.君がいない、あの日から…
10.眠れぬ夜
11.7 colors
12.ピストル
13.少女の祈り
14.cord name【JUSTICE】
15.エストエム
 Encore
01.L-エル-
02.& you
 W Encore
01.少女の祈りIII
02.SPELL MAGIC
03.20+∞Century Boys

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