【ライブレポート】HY、冬の夜に“沖縄の夏”を再現

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結成15周年を迎えたHYが、地元「沖縄」の“夏”や“海”をテーマにしたニューアルバム『LIFE』を携えて全国のシンカー(仲間)のもとへ、沖縄の夏を届けにいこう!という想いからスタートした全国ホールツアー『HY SMILE♡LIFE TOUR 2015』。9月17日の東京から始まり、二度目の台湾を含む全41公演のファイナルが、12月23日に沖縄コンベンション劇場で行われた。

◆HY ライブ画像

ステージにはリゾートホテルのビーチサイドを思わせる白いパラソルやデッキチェアが並び、その先には沖縄の広い空と青い海が映し出されている。『LIFE』が完成した時、「夏の海辺で1日中聴けるアルバムにしたかった」と新里は話していたが、今回のツアーはその言葉どおり、時間軸を行き来しながら夏の1日を再現するようなステージだった。

客電がおちると、寝起きからビーチパーティーに出かけるまでのメンバーの朝の映像が流れた後に、日中の陽射しを浴びながらの笑顔溢れるパーティーソング「夏だ!!!パーティー」でライブは始まった。1曲目から会場の熱気はマックス。4曲目までアッパーな曲で一気に駆け抜けると、時間軸を少しだけ戻して「AM11:00」へ。さらに夕暮れへと時は進み、「きれいなこの夕陽をあなたにも見せたい」と歌われる、亡くした大切な人への想いを綴った「愛しあって許しあって」では感動の波が会場全体に広がっていった。


心の痛みを知っているからこそ笑顔の大切さがわかる──HYが『LIFE』やツアーで伝えたかったもうひとつのテーマは“笑顔”。それをメンバー全員が全力で伝えていたのが、みんなを笑顔にする仲宗根の企画構成による「いーずコーナー」だ。女装(沖縄ではサンタバージョンで登場)したオネエ(名嘉、許田、宮里)とチャラ系男子(新里)が謎のモンスター(仲宗根)と出逢い、いつしか男子とモンスターが恋におちる、というよしもと新喜劇ばりの寸劇に会場は爆笑の渦に包まれる。

「いつまでたっても女の子」ではメンバーがダンスにチャレンジ。また「HOLD」では、許田が木琴でメロディーを奏でるという新たな試みも披露、大きな歓声を浴びていた。楽しむところは思いきり楽しみ、聴かせるところはじっくり聴かせる。笑顔と愛に溢れる音楽、その両方をいつも全力で届けてくれるのがHYなのだと改めて思った。

アンコールの歓声の中、HYからの重大発表があった。来年1月から放映されるTV連続ドラマのオープニングテーマ曲をHYが手がけることが決定。さらに3月16日には『HY Kana-yo Premium TOUR 2015』と『HY SMILE♡LIFE TOUR 2015』のBlue-ray&DVDとドラマCDをパッケージした作品のリリースがサプライズ発表された。

アンコールでは仲宗根作の名バラード「Song for…」、ライブでしか演奏しないスペシャルな「フェイバリットソング」、みんなが笑顔でカチャーシーを踊った「ホワイトビーチ」を披露。さらにダブルアンコールでは「旅立ち」が歌われて、約3ヶ月に及んだツアーのファイナル沖縄公演は終了した。

HYシンカーたちは誰もが笑顔だった。そして会場から出ると、クリスマスイヴ前夜なのに日中25℃を超えた夏日の名残りがあった。それはHYがこのツアーで全国のシンカーに伝えたかった“沖縄の夏”と“スマイル”を実際に体感できた冬の夜だった。



取材・文/伊藤博伸
写真/G-KEN

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