cali≠gari主催<東京13号地>、D’ERLANGERやsukekiyoとのセッションも

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cali≠gariの主催によるライヴ・イベント<シリーズ“街”東京13号地>が、1月5日、ZEPP TOKYOにて開催された。彼らと新年の宴の場を共にしたのは、sukekiyoとD’ERLANGER。ちなみに東京13号地とは、そもそもは埋め立て地であるお台場界隈を指す。

◆<シリーズ“街”東京13号地> 画像


18時の定刻に場内が暗転すると、同時に聴こえてきたのは「elisabeth addict」の浮遊感に異国情緒が絡むイントロ。ゆっくりと幕が開くとすでにsukekiyoの5人は配置に就いている。拍手、歓声の類いは聴こえてこない。盛り上がっていないのではなく、ほぼ誰もが固唾を吞んでいるのだ。彼らのライヴにはこうした“熱い静寂”がつきものだが、それはこうしたイベントの場でも同じことだった。しかも緊張感と独特の混沌に満ちた演奏、ある種の威圧感を漂わせる京の存在感が、そうした空気を持続させていく。が、彼らの音楽は、実は情感に満ちた親しみやすいメロディに溢れたものでもある。それは、彼らのライヴに初めて触れた人たちにも心地好い酔いをもたらしたことだろう。参考までに、一瞬の隙もなく、途中にSMショウ的な演出までをも盛り込みながら展開された彼らの演奏時間中、京が客席に向けて投げ掛けた言葉は、ステージを去る間際に発せられた「おやすみ」の一言のみ。まさに圧倒的だった。


続いて登場したのはD’ERLANGER。「Skelton Queen」で幕を開けた彼らのパフォーマンスはsukekiyoとは真逆の意味で圧倒的なもの。いや、実際そこまで極端なはずではないのだが、そう感じさせられるほどの鮮やかなコントラストだった。このバンドについての解釈は世代や嗜好によってさまざまだろうが、各々の色が確立された“個”がぶつかりあいながら溶けあうそのさまには、音楽性云々とは違った意味で、LED ZEPPELINやLOUDNESSなどを連想させるところがある。各々の放つ音ひとつ、kyoのシャウトひとつにも説得力があり、それぞれ強い自己主張を持っているのに“音の喧嘩”が起こるのではなく“過激な官能”とでもいうべきものがもたらされるのだ。

その演奏中、kyoの「せっかくの共演ですから、ひとり呼ぼうか?」という声に導かれて現れたのは、このイベントの首謀者であるcali≠gariの桜井青。しかも往年のCIPHERを思わせる髪型といでたち。彼を交えてのツイン・ギター体制で演奏されたのは、数あるD'ERLANGERの楽曲のなかでも青自身のフェイヴァリット・ソングのひとつだという「LAZY SLEAZY」だった。そうした場面を経ながらクライマックスへと至った彼らのステージだが、最後に披露された最新アルバムからの「CRAZY4YOU」が、歴史の染みついた楽曲に遜色のない輝きを放っていたことも付け加えておきたい。




sukekiyoとD’ERLANGERが各々の色を存分に放った後、最後にステージに登場したのは当然ながらcali≠gari。見た目にも特異なこのバンドだが、その音もまた定型には嵌まりきらないもの。しかし無条件に踊りたくなるビートを伴った楽曲を挟み込みながら隙間なく連射される色とりどりの楽曲たちは、オーディエンスの身体の揺れを止めることがない。「新春早々、キ×ガイとかになりたいんでしょ!」といった桜井青のヒステリックな扇動は相変わらずだしこのバンドに不可欠なものでもあるが、どこか常軌を逸したところのあるその音楽がもたらすのが、実はピースフルな空気だったりすることもまた興味深い。

その青の定番MCともいえる「セックスは好きですか?」という煽りに導かれて爆裂した「セックスと嘘」をもってcali≠gariはひとたびその場を去った。が、当然ながら<東京13号地>はこのままでは終わらない。ふたたび幕が開くと、そこには2台のドラムセットが設置されていた。その場で青が呼び込んだのは、D’ERLANGERのTetsu。彼がcali≠gariの最新アルバム『12』で客演している4人のドラマーのうちのひとりだというのは周知であるはずだが、そこでまず演奏されたのは、同作での彼自身の参加曲ぼひとつ、「颯爽たる未来圏」。この瞬間をもって、この楽曲のオリジナル・ヴァージョンが初めて披露されることになったというわけだ。これにはファンのみならずcali≠gariのメンバーたち自身も興奮をおぼえたに違いない。しかもTetsuにとっては滅多にない“クリックを聴きながらの演奏”の機会でもあった。



もちろん宴はまだまだ終わらない。偶然にもこの日に誕生日を迎えたD’ERLANGERのCIPHERに巨大なバースデー・ケーキと、石井秀仁の先導による「Happy Birthday To You」の合唱が捧げられると、いつのまにかステージ上にはcali≠gariとD’ERLANGERの全メンバー、sukekiyoの匠が集結していた。そしてこの特異なイベントの最後を飾ったのは、D’ERLANGERの名曲、「LA VIE EN ROSE」の一大セッション。Tetsuと中西祐二(cali≠gariサポート・メンバー)のツイン・ドラム、CIPHERと桜井青によるツイン・ギター(しかもソロは青が担当)、SEELAと村井研次郎によるツイン・ベース、さらには匠のキーボードが絡むというすさまじい音圧。しかしkyoと石井秀仁の歌声はそれに負けていなかった。もちろん観衆の歌声も、その華やかな過激さに拍車をかけていた。

こうしてcali≠gariの企みによる絢爛豪華、奇想天外な新春ライヴは幕を閉じた。4月から6月にかけては『憧憬、睡蓮と向日葵』と題されたツアーも控えているcali≠gariだが、彼らの今後の動向はもちろんのこと、こうして幸先よく2016年のスタートを切った各バンドのこれからの動きに注目したいところだ。

取材・文◎増田勇一
撮影◎小松陽祐(ODD.JOB)

■<cali≠gari TOUR2016 “憧憬、睡蓮と向日葵”>

4/23(土) 横浜BAY HALL
5/01(日) 青森Quarter
5/03(火祝) 仙台MACANA
5/07(土) 梅田AKASO
5/14(土) HEAVEN'S ROCK 宇都宮
5/15(日) 高崎club FLEEZ
5/20(金) 岡山IMAGE
5/22(日) 福岡DRUM Be-1
5/27(金) 甲府CONVICTION
5/29(日) 静岡Sunash
6/04(土) 名古屋BOTTOM LINE
6/05(日) 金沢AZ
6/11(土) 札幌ペニーレーン24
6/24(金) EX THEATER ROPPONGI
前売り¥5,800(税込) 当日¥6,300(税込) DRINK代別
※3歳以上有料
※6/24(金)ツアーファイナルのみ 指定席¥6,300 立見¥5,800
※3歳以上有料
【FC客室2次先行開始】
2016/1/8(金) 12:00 ~ 2016/1/14(木) 23:59
http://www.kyakusitsu.com/content1/?no=jeV1CnV0s36EsyCeSpsys1S
※FC「客室ノイローゼ」に2016/1/07(木)16:00までにご入会/更新頂いた方(決済まで完了する事)が対象となります
※入会(更新)の決済が完了しない場合は受付できません

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