【ライブレポート】真野恵里菜、約1年半ぶりツアーは涙の大阪から。「……嘘だよ、忘れないよ。」

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真野恵里菜の約1年半ぶりとなるライブツアー<真野恵里菜コンサートツアー2016初春 ~GRAND Escalation~>が、1月10日、大阪umeda AKASOにて開幕した。

◆<真野恵里菜コンサートツアー2016初春 ~GRAND Escalation~>大阪公演 画像

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『映画 みんな!エスパーだよ!』『orange』といった映画、そしてTBS系『結婚式の前日に』をはじめとしたドラマなど、2015年は数多くの作品に出演し続けた真野ちゃん。その合間にディナーショーやイベント出演などはあったものの、やはり作品撮影中の期間は、マノフレ(=真野恵里菜ファン)と直接会う機会が減る。そういう理由もあったから……か、どうかは定かではないが、2016年の活動は単独ライブからスタートとなった。もっともマノフレ側としても、かしこまった雰囲気のディナーショーではないライブステージは久しぶりということで、普段は何フレの何ファミリーで何ファクトリーの現場に足繁く通っているといった各個人の事情は関係なく、今回のツアーTシャツ「今でもマノフレ。」Tシャツに身を包み、アクリルペンライト「俺たちマノフレ」を手に、この日、umeda AKASOに集結。昼公演からキャパ700人のフロアは瞬く間に赤い光で埋め尽くされた。

なお、ここ数年の真野ちゃんのステージといえば、生バンド。もちろん今回もバンドメンバーとともに、ライブは繰り広げられる。そしてさらに、今回の真野ちゃんは先日、足を運んだ三浦大知のツアーファイナルにも触発されたのか、立て続けに曲を披露して、運動力多めに歌って踊る。バンド×歌って踊る真野ちゃんという方程式で導き出される答えは“熱い”の一言。セットリストからバンドアレンジ、衣装などなど今回も真野ちゃん自身の考えや希望がふんだんに盛り込まれた公演は、「これ1日2回公演できるの?!」と、始まる前に本人が呟いていたとおり、熱く激しい展開も、歌声をしっかりと聴かせるパートも用意されている。

限りなくシンプルな要素とともに、真野恵里菜が、言葉とメロディーでたおやかに紡がれた物語を演じているかのような冒頭。フロアには赤い光が広がるも、誰もが微動だにせず、そっとステージを見つめる。一方、暗闇の中に浮かび上がった真野ちゃんは、その世界観に自分を落とし込み、文字通り歌いあげる。さらにその歌声の隙間には衣擦れの音、息づかいまでも聞こえてくる。

「約1年半ぶりのソロコンサートということで、みなさん、お待たせしましたー! 新年早々にライブができるということで、そうだよ。明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。真野コンてだいたい梅雨時が多かったんですけど、冬は珍しいなって。しかもいいお天気だし。でも前回のAKASOのライブは6月にやらせていただきまして。すごい暑くて、すっごい熱くて。大変だったんですよ。」

そして「出てきてこの真っ赤な景色をみたら、ほっとするなぁって。」と、本音を口にした最初のMC。この頃には、“いつもの真野ちゃんのライブ”の雰囲気で会場は温まっていた。

その後も会場一体となって“ドキドキ”を共有したり、「あのマイクスタンドになりたい……!」と、マノフレ誰もが一度は思う魅惑の1曲も披露されたり(ちなみに真野ちゃんが大人になるごとに思わせぶりな視線や仕草が色っぽさを増して年々この曲の魅力は引き上げられ続けている)。さらにはアコギと、もしくはそれに鍵盤ハーモニカを加えた編成でのアコースティックコーナーに、盛り上がりが止まらないノンストップ過ぎるメドレーも。会場には初めて真野恵里菜のライブを観るという人もチラホラ見られたが、そんな初めての人には、スクリーンの向こう側の女優・真野恵里菜とはまた違う、近い距離の真野ちゃん。昔からの、そして地方まで足繁く通っている生粋のマノフレには、以前とはまた違った新しい一面を見せる真野ちゃん。加えて世を忍ぶ仮の姿が何フレなのかは知らないが、真野ちゃんのライブの時にはちゃんとマノフレな人たちには「やっぱ真野ちゃんだな!」という再認識の真野ちゃん。会場に詰めかけたいろんな人たちが、それぞれの立場でそれぞれの真野ちゃんを楽しむ。そんなライブが終始展開されていた。


さて、伸びやかに、実に気持ちよさそうに真野ちゃんが歌いきった大阪昼公演のハイライトといえば、すでにTwitterなどでも伝わっているとおり、アンコールで歌われた曲だろう。

ファンへの感謝の気持ちと、一緒に歩いて行こうというメッセージが込められたこの曲は、今回、ピアノアレンジの優しい音色からスタート。終演後に「ピアノの音は沁みる」と、少し照れくさそうに口にしていたが、あらためて、ファンひとりひとりが手にした赤色の光が客席を一面輝かせる光景を目にして、真野ちゃんはイントロからその瞳に涙を溢れさせる。そして声を震わせ、涙を落とし歌えなくなってしまう。すると、代わりに聞こえてくる会場からの合唱。どこからともなく自然発生したその声に包まれながら、真野ちゃんはマイクを離して、客席に謝る仕草を見せて、唇を噛み、そして空を見上げる。もっとも、そんな歌詞に描かれているままの一連の動作をしていることに気づいたのか、やがて笑顔へと変わっていく。まさに泣き虫なくせに意地っ張りなまま。

そして、込み上げた想いを一度落ち着かせ、マノフレのサポートを受けながら、涙と笑顔で歌いきったのだった。

「(涙の跡を拭いながら)歌ってくれて、本当にありがとうございます。」と、素直に頭を下げる真野ちゃん。普段の強がりな姿とは対照的な状態に、まるで鬼の首を取ったように一気に冷やかしの声を浴びせるマノフレ。すると真野ちゃん「あー! もう忘れたっっ!」と逆ギレ。ほんの数秒前までのしおらしい真野ちゃんからの豹変ぶりに、マノフレからは「えー!」という反応が飛ぶ。これもまた、いつもの真野ちゃんとマノフレの距離感でありテンポ感。しかし真野ちゃんはここで、そっとマイクに呟く。

「……嘘だよ、忘れないよ。」

その言葉にマノフレは時が止まり、そして何人かは大阪での遠い記憶を手繰り寄せて、真野ちゃんが続けた言葉にその光景を重ねた。

「ハロー!プロジェクトの時に大阪公演で「My Days for You」歌えなくなった途端にみんなが覚えてて歌ってくれたの、今でも覚えています。しっかり胸に。覚えています。今日のことも忘れません。」

  ◆  ◆  ◆

ハロー!プロジェクトを卒業して、もうすぐ3年。女優としてのキャリアを順調に重ねて、自身でもやっと「ハロー!プロジェクトじゃない真野恵里菜が形になってきた」という手応えを得るところまできた。一方で、卒業後から年々、ライブにおける熱量が上がっているのも事実。役者としての活動を主軸に置いているがゆえに、以前のように頻繁にライブやイベントを行なうことはできない。だからこそ、貴重なライブでは、激しいコールが会場を揺らす。そんな燃えたぎるような空間が、真野恵里菜とマノフレによってこれまでも、この日も生み出されてきた。

そんな中での、真野ちゃんのこの一言。こぼれ落ちた言葉の間から伝わってくるものは、これまでも真野恵里菜とマノフレの間に確かに存在し続けた、懐かしい温もりのままだった。

「みんなに「真野ちゃん久しぶりのライブだけどちゃんとボイトレしてるの?」とか「体力あるの?」とか、……みんなはいろんな現場に行ってるから大丈夫だとは思うけど!(笑) 心配されてばかりじゃないけないなって思って。だから、今回も、セットリストを組む段階から、どの曲をベースに、どういう順番で組むかっていうのをやらせていただいて。後半ハードだったなって(笑)。やっぱハロー!の時にできなかったからこそ、今できるのが嬉しい半面、ハロー!の時に今くらいのスキルがもっと早くあればよかったな、っていう後悔もあったりして。これが私なんだな、“OSOZAKI”なんだな、と。当時歌ってた曲が、今になって心に沁みてます。」

「今年、25歳になりますので、もっともっと人として、魅力だったりとか、説得力だったりとか。深みのある人になっていきたいなと。時には失敗したりとか、くじけたりする瞬間もあると思うんですけど……まぁ、みんな一緒なんだな、と。マノフレも、真野ちゃんも。共感してくれたらいいなと。私も悩んで頑張ってるし、みなさんも悩んで頑張っていると思うので、一緒に乗り越えて、またこういう場で会えたらなと思っています。」

真野恵里菜とマノフレは、どこでも、どこまでも、いつまでも。この温度を大切にしながら続いていくのだろう。そして、この時間と空間、それを共有できるということは、この“ふたり”にとって何物にも代えがたい幸せなのである。

さて、そんな<真野恵里菜コンサートツアー2016初春 ~GRAND Escalation~>東京公演は、1月17日のZepp DiverCity(Tokyo)。なお本公演はニコニコ生放送での配信も決定している( http://live.nicovideo.jp/watch/lv248190905 )。

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

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