【インタビュー】ノルディック・ユニオン、叙情と哀愁のメロディックHR

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プリティ・メイズのロニー・アトキンス(Vo)とエクリプスやW.E.T.での活動で知られるエリック・モーテンソン(G、B、Key)というデンマーク人とスウェーデン人の2人がタッグを組み、ノルディック・ユニオンというプロジェクトを結成した。1月20日に日本先行発売となるデビュー・アルバム『ノルディック・ユニオン』は、エリックが作る叙情派のメロディック・メタル・ナンバーと、ロニーの哀愁溢れる歌唱が見事にマッチした極上の作品に仕上がっており、まさに“北欧”らしい作品に仕上がったという印象だが、このプロジェクトについてロニーに話を訊いてみた。

◆ノルディック・ユニオン画像

──今回、ノルディック・ユニオンというプロジェクトに参加されましたが、どういう経緯で結成されたのですか?

Ronnie Atkins(以下RA):プリティ・メイズが去年<Frontiers Festival>でプレイした時に、主催者の『Frontiers Records』のセラフィノ(ペルジーノ)から参加してもらいたいアルバムがあると言われたんだよ。俺はプリティ・メイズに集中したいから「曲作りにも参加してくれという話なら断る」と言ったんだ。そうしたら、「歌うだけでいい」と言われたよ。俺は「曲が良くて、俺がやるのに相応しいと自分で思えるものなら、やるかもしれない」と答えておいたんだ。その後、何度かメールでのやり取りをした後、エリック・モーテンセンから最初の2曲が届いた。その2曲は「ヒポクリシー」と「ウェン・ディス・イズ・コーリング」だったんだけど、「これは良い」と思ったね。だから、俺はやることにしたんだ(笑)。実に気楽なやり方だったよ。その後、2015年4月から9~10月ぐらいまでの間に曲が時々届いて、俺はスタジオに予約を入れて、レコーディングしに行った。それだけさ。実は、レコーディングの過程では一度も、エリックには会ってもいないんだ。そういうやり方だったけど、とても良いアルバムに仕上がったと思う。

──エリック・モーテンソンのことは知っていたのですか?

RA:知り合いだったとは言い難いよ。エクリプスとは何回かフェスティヴァルで一緒だったことがある、という程度だった。彼はプリティ・メイズを聴いて育ったんだと思う。彼は俺達のことをとてもよく知っているようだった。でも、一緒に何かやろうというような話は一度もしたことがなかった。これは純粋に『Frontiers』のセラフィーノから提案されたことだったんだ。

──ケン・ハマーはノルディック・ユニオンへの参加について何か言っていましたか?

RA:(笑)これは俺がやることだからね。彼がどう思うかは関係ないさ。彼が別のことをやりたいと思えば、彼はそれをやる。俺達2人の間には、そういったことに関して何の異存もないよ。彼も別のことを何かやるかもしれないしね。俺の場合は、プリティ・メイズの活動の合間の新鮮な空気みたいなものさ。少し違ったことをやる時間を持つのは良いことだと思う。それに、俺達はこれでツアーをやるつもりもないし、やっている時間もないだろう。俺はこの後、トビアス・サメットのアヴァンタジアのツアーと、プリティ・メイズのレコーディングで凄く忙しくなる予定だし、そのアルバムは来年の9月か10月(*取材は2015年12月に実施)にリリースされるだろうから、その頃にはまたフルスケールのヨーロッパ・ツアーをやることになる。日本ツアーも決まることを期待しているよ。だから、沢山のオファーにノーと言わざるを得ないんだよ。あちこちに顔を出しすぎるのはよくない。俺が色々なことをやりたがっているという印象を与えたくないんだ。プリティ・メイズが俺の最優先なのは今後も変わらないよ。

──ノルディック・ユニオンというバンド名は誰が考えて、どういう意味が込められているのですか?

RA:この名前を考えたのは俺だと思う。幾つか候補は提示されていたんだけど、特に良いと思えるものがなかったんでね(笑)。だから俺が考えたんだ。かなり道理に適ったものさ。2人の北欧人だから、ノルディック・ユニオンだよ。基本的には、そういうことさ。それ以外には特に言うこともないよ。無難な名前だと思ったんだ。デンマーク人とスウェーデン人が一緒にアルバムを作るんだからね。スカンジナビアなんていうのよりはマシだろ?(笑)

──届いた音楽のサウンドやその他に関しては、あなたは何も言わなかったのですか?

RA:本当にシンプルなやり方だったんだよ。「良い曲を送ってくれれば俺はやるよ」と言っておいたからね。曲が来ても良いと思えないなら「やらない」。そういうことさ(笑)。逆に言えば、俺に届いた曲の中に良くないと思うような曲はなかったということだ。1曲だけ使わなかった曲があったけど、それだけだった。



──エリックの作る曲に、曲作りという部分で、新鮮に感じたこと、すごいと思った箇所はありますか?

RA:ああ、具体的には挙げるのは難しいけど、とにかく彼は素晴らしい曲を書くと思う。彼は良いソングライターだ。非常にメロディックなソングライターだ。恐らくこのアルバムで最もプリティ・メイズらしくない曲は、やはり「ワイド・アウェイク」ということになるだろう。俺が普段やっていることとはかなり違う。だが俺はとても気に入っているよ。この曲がとても好きだ。

──エリックとコラボしたことで、プリティ・メイズの今後のアルバム制作に何かフィードバックできるようなものは得ましたか?

RA:いいや、そういうのはないな。プリティ・メイズでのやり方は全く違っているからね。プリティ・メイズはプリティ・メイズだ。俺とケンが一緒に曲を書く。だから、全く別のものだ。ケンが気に入っているエクリプスの曲も幾つかあると思う。ケンは、そういう意味では俺と同じなんだ。良い曲は良い曲という考え方だよ。どういうパッケージになっていようとね。でも、このアルバムに対する反応がまだ判らないから、今のところは何とも言えない。一部を聴いた人達は少なくとも気に入ってくれてはいるようだが、人々がどういう反応を示すか、それを楽しみにしていよう。

──あなたにとって歌うのにチャレンジングな曲はありましたか?ヴォーカル・メロディに関してはあなたの歌いやすいように変えている曲もあるのですよね?

RA:ああ、本当に細かいところを少しだけだがね。1曲「ヒポクリシー」はキーを変えたと思う。少し高くて、俺が歌うとメタル過ぎる感じに聞こえたんだ。それだけだよ。それから、どの曲だったか思い出せないけど、ほんの少しだけ変えた箇所がある曲があった。メロディ・ラインのほんの短い部分という感じでね。だが基本的には曲の核はほとんどそのままだ。

──ノルディック・ユニオンとして、今後、何か予定はありますか?

RA:いや、ツアーをやるような話も、次のアルバムをという話も何も出ていない。俺は今年、アヴァンタジアとプリティ・メイズで忙しくなから、今後のことは、ノルディック・ユニオンのアルバムに対する人々の反応次第だよ。


取材・文:Jun Kawai

ノルディック・ユニオン『ノルディック・ユニオン』

2016年1月20日 日本先行発売
【通販限定50セット:CD+直筆サイン入りブックレット】5,000円+税
【通常盤CD】2,500円+税
日本盤限定ボーナス・トラック追加収録/歌詞対訳付き/日本語解説書封入
【メンバー】
ロニー・アトキンス(ヴォーカル)
エリック・モーテンソン(ギター/ベース/キーボード)
1.ザ・ウォー・ハズ・ビガン
2.ヒポクリシー
3.ワイド・アウェイク
4.エヴリー・ハートビート
5.ウェン・デス・イズ・コーリング
6.21ガンズ
7.フォーリング
8.ジ・アザー・サイド
9.ポイント・オブ・ノー・リターン
10.トゥルー・ラヴ・アウェイツ・ユー
11.ゴー
12.ウェン・デス・イズ・コーリング(アコースティック)*日本限定ボーナストラック

◆ノルディック・ユニオン『ノルディック・ユニオン』オフィシャルページ
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