【インタビュー】ポップ・エトセトラ「日本から大きな影響を受けている」

ツイート

ポップ・エトセトラが今週、およそ3年半ぶりとなるニュー・アルバム『Souvenir(スーベニア)』をリリースする。

◆ポップ・エトセトラ画像

前作『POP ETC(ポップ・エトセトラ)』を発表以降、フロントマンのクリス・チュウは東京に長期滞在し、Galileo Galileiや木村カエラ、菅野よう子ら日本のアーティストの作品をプロデュース、コラボするなど、日本との関わりがますます深くなった。そんな中誕生した『Souvenir(スーベニア)』も、最大のインスピレーションの1つが日本だったという。日本を第2の故郷と呼ぶクリスに、新作について話を聞いた。

――アルバムを聴いていて、あなた達の音楽が素晴らしいのはわかっていたのですが、ライブは想像以上でした。よりエッジーで、とくにギター・サウンドがさく裂していて、すごくエネルギッシュなパフォーマンスでした。

クリス・チュウ:ありがとう! 嬉しいな。

――そこで、まずは影響を受けた、お気に入りのギタリストを教えてください。

クリス・チュウ:僕が好きなギタリスト…、ムズカシイ……

――ライブを見ていて、ニュー・オーダーが思い浮かびました。

クリス・チュウ:うん、ニュー・オーダーは大好きだよ。バーナード・サムナーね。それに、若いころはずっとジョージ・ハリスンが好きだった。僕ら、同じ誕生日なんだよ(笑)。そうだな、多分、僕が1番好きなギタリストはジョージ・ハリスンだね。

――ライブでは日本語も交えて話していて…、日本語、お上手ですよね。

クリス・チュウ:ありがとう。

――Twitterも日本語でつぶやいているとか?

クリス・チュウ:そうなんだ。4年前だったかな、サマー・ソニックで初めて日本に行くって決まったとき、すごく興奮して、日本語を勉強しようって思い立ったんだ。独学で、本を使って平仮名とカタカナを学び始めたんだよ。

――いよいよ、新作『Souvenir(スーベニア)』がリリースされます。毎回違う作品を作りたいと考えていると思いますが、今回は制作を始めたとき、どんなアイディアがあったのでしょう?

クリス・チュウ:今回は、考えすぎないようにしようって思っていた。自分たちにとって自然に感じるようなアルバムを作りたかったんだ。毎日曲を作っていたけど、1つ1つの曲にすごく時間をかけた。でも、それが自然に流れ出すようなアルバムにしたかったんだ。それぞれの曲は、そのときの僕らの感情や経験していることを記録したようなもので……、だから、その流れは僕らにとっては自然なものだと思う。これまでのアルバムは、こうしたいってアイディアが先にあったからね。でも、今回は自然な、自由な流れに任せたんだ。

――完成するのにどれくらいかかったのですか?

クリス・チュウ:3年くらいだね。すごく時間がかかった。毎日、曲を作っていたけど、満足するものができるまでには時間がかかった。


――アーティストには2つのタイプがいると思います。1つはアルバムを作ると決め、特定の期間スタジオに入り、完成させる。もう1つは、アルバムになるかわからないけど、毎日曲作りをする。あなたはどちらのタイプだと思いますか?

クリス・チュウ:僕は間違いなく、後者だね。毎日スタジオへ入っているわけじゃないけど…、でも、家に小さな、最低限の器材を揃えたスタジオを作ったんだ。年中、そこに入っている。それに、いまはコンピューターでも作れるから、旅行中でもいつもマイクを持ち歩いていて、毎日、曲を作っているよ。どんなものになるかはわからないけど、そこから何かが生まれるって信じているんだ。

――バンド名を変えて発表した前作がポップ・エトセトラの始まり的な作品だとしたら、今作をどう表しますか?

クリス・チュウ:僕は“ニュー・ニュー・ウェーヴ”って呼んでいるんだ。それに、この作品にはものすごく心や感情を込めた。歌にも曲作りにも演奏にも、すべてにね。だから、日本のファンにもそれを感じてもらえると思う。英語の歌詞がわからないとしても、音楽を通じて僕らとコネクトできると思う。

――“ニュー・ニュー・ウェーヴ”のニュー・ウェーヴは、1980年代の第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンの時代ですね?

クリス・チュウ:そうだね。あの時代、大好きなんだ。1980年代のロック、ポップがね。でも、そのまんまの音楽は作りたくなかった。もっとモダンにしたかった。

――タイトルを『Souvenir(スーベニア)』としたのは?

クリス・チュウ:アルバムを作るのにものすごく時間がかかって、この3年間の僕らの生活の大半を占めていたから、僕らにとっては、なんかその時期の記念品みたいな存在になったんだ。


――アートワークの写真はどこですか?

クリス・チュウ:マイアミだよ。

――どうしてこの写真を選んだのでしょう?

クリス・チュウ:雰囲気がすごく気に入ったんだ。ヴァケーションの設定なのに、雨と悲しげな色のせいでヴァケーションには見えない。そのコンビネーションが気に入った。この写真には2つの違うフィーリングが込められている。

――このアルバムで最も誇りに思うところは?

クリス・チュウ:うーん……、1つ1つの曲を作るのにすごく時間がかかって、制作期間も長かったけど、アルバム全体の流れが自然だと思う。それって、チャレンジだったけど、上手くいったんじゃないかな。そこは誇りに思ってる。

――では、制作中最大のインスピレーションになったものは?

クリス・チュウ:日本にいたことだね。それに、1980年代のバンド、ニュー・オーダーとかティアーズ・フォー・フィアーズ、ザ・キュアー、ケイト・ブッシュみたいなアーティスト。あとは、日常の生活だね。

――日本に長期滞在していたのは2年前ですよね?

クリス・チュウ:そうだね、でも、よく来てるんだよ。もう7,8回くらい。Galileo Galileiや木村カエラのプロデュースで来たこともあるし、休暇や友人の結婚式で来たこともある。

――日本でのお気に入りの場所はありますか?

クリス・チュウ:そうだな…、ナカメが大好き。ナカメグロ(笑)。街の雰囲気が好きなんだ。レストランも知っているし、友達も近くに住んでいる。美味しい蕎麦とつけ麺のお店があるんだよ(笑)。隣り合ってるんだけど、その2軒が大好きなんだ。

――弟ジョナサンがバンドに加入してから5年経ちますが、どんな影響がありましたか?

クリス・チュウ:素晴らしいよ。バンドにいると、誰がリーダーだとか、誰が決定権を持つとか、メンバーの関係がややこしくなりがちだ。でも、兄弟や姉妹はどう扱ったらいいかすでにわかっている。これやって、ここ変えてって言っても、彼なら自分の意見をはっきり言うから、率直で公平なコラボレーションになる。

――オアシスやキングス・オブ・レオンみたいにトラブルを招くこともありますが。

クリス・チュウ:そう、僕らよくオアシスと比べられるけど、いつも、僕らは彼らと正反対だって言っているんだ。僕らは絶対、ケンカしないからね(笑)。

――あなたがメンバーではなく、ポップ・エトセトラという素敵なバンドを見つけたとします。友人に教えるとしたら…

クリス・チュウ:なんて言うかって(笑)? うーん…、面白いバンドだよ。いろんなことをしてる、しようとしている……かな。難しい質問だね(笑)。

――最後に、日本のファンへメッセージをいただけますか?

クリス・チュウ:日本や日本のファンにはすごく感謝しているし、日本からものすごく大きな影響を受けている。このアルバムはすごく心を込めて作ったものだから、音楽を通じ、僕らとコネクトすることができると思う。僕らの音楽を聴くことで、気分が良くなったり、なにか考えるきっかけになったり、新しい発見があるようだったら嬉しいな。

モーニング・ベンダー時代から数えると4枚目、ポップ・エトセトラと改名してからは2枚目となる彼らの自信作『Souvenir(スーベニア)』は今週水曜日(1月27日)、日本先行発売される。

Ako Suzuki

ポップ・エトセトラ『スーベニア』

2016年1月27日日本先行発売(海外1/29)
SICX19 \2200+税
解説:新谷洋子 対訳:尾崎雄貴(Galileo Galilei)POP ETCによる曲目解説も収録
1.Please, Don't Forget Me /プリーズ・ドント・フォーゲット・ミー(1st Single)
2.Vice/ヴァイス
3.I Wanted To Change The World But The World Changed Me/アイ・ウォンテッド・トゥ・チェンジ・ザ・ワールド・バット・ザ・ワールド・チェンジド・ミー
4.Running In Circles/ランニング・イン・サークルズ
5.What Am I Becoming?/ ホワット・アム・アイ・ビカミング
6.Backwards World/バックワーズ・ワールド
7.Your Heart Is A Weapon・ユア・ハート・イズ・ア・ウェポン
8.Beating My Head Against The Wall /ビーティング・マイ・ヘッド・アゲインスト・ザ・ウォール
9.Bad Break/バッド・ブレイク
10.I'm Only Dreaming/アイム・オンリー・ドリーミング
日本のみボーナストラック3曲収録
11.Please, Don't Forget Me featuring Yuuki Ozaki(Galileo Galilei)/プリーズ・ドント・フォーゲット・ミー featuring Yuuki Ozaki(Galileo Galilei)*Galileo Galileiの尾崎雄貴日本語ヴォーカル・ヴァージョン
12.Jonathan(Live Acoustic English Version)/ Jonathan(Live Acoustic English Version)*Galileo Galileiの曲をPOP ETCが英語カバー
13.Salvation/サルヴェイション(未発表曲)
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス