この年齢になりますと、時の流れの早さにあわれを感じますねぇ。春が来て、夏が来て、秋が来て、そしてまた冬が来ました。そうです。最後にこのコラムを更新してから1年の歳月が流れました。私には前回のコラムがまるで一昨日のことのように感じられます。BARKSさん、すみません!原稿送らせていただきます!

さて1年ぶりのコラム。今回はちょっと役に立つ情報をお届けしますよ。題して「あなたはどれだけ知ってますか?バンドマン用語集」。バンドマンがちょいちょい使っている専門用語。今回はやさしい解説と共に TPOに応じた使用例も合わせて掲載!これを読んで現場(ライブハウス)で使えば、もうあなたはほぼほぼバンドマン!知ったかでもオッケー!テキトーに明日から使っちゃいましょう!

1、「上手、下手」
まずこれは読み方からですね。「じょうず、ヘタ」と呼んだあなた。これを間違えるとバンドマンはガチで凹みます。必ず「かみて、しもて」と読んでください。これは簡単に言えばステージの左右を表しますが、バンドマンは主に自分達の立ち位置を言います。例えば最も一般的なバンド編成、ドラム、ベース、ギター、ボーカルの4人編成をイメージしてみてください。客席のあなたからみて右手側が「かみて」です。左手側が「しもて」となります。「かみて」には十中八九ギターが立っています。「しもて」にはベース。これがたまに逆になっているバンドがいたら、終演後に物販で「BOOWY好きなんですね」と話しかけといてください。この「かみて、しもて」を読み間違えるとどういうことが起こるか。例:「あのバンドって、ギターが下手だよね」。やめて!お願い!

2、「バミる」
さて、これはわかりますでしょうか?ステージの低いライブハウスで最前列に行ったことのある人なら見たことがあると思います。ステージ上のバンドマンの足元にはけっこうな数のガムテープの切れ端があちこちに貼ってあります。これこそ「バミり」であり、これをペタペタつけることを「バミる」といいます。リハーサルと同じ状況でパフォーマンスができるように、リハーサルの時に楽器の位置やメンバーの立ち位置をガムテープで印をつけておくのですね。「あなたの立ち位置はここですよ」、「ギターのアンプはこの印に合わせて置いてくださいね」と。かっこよく登場したボーカルが、突然ステージで動物園のクマさんみたいにうつむいてウロウロし始めたら、バミりを見失ったと思っていただいてけっこうです。猫のトイレのようにバンドマンはバミりに忠実に動きます。なので最前列の方は開演前にこれらをペラっとはがして自分のお好みのフォーメーションに貼り直しておけば、バンドマンたちはお行儀よくその位置に落ち着きます。

3、「ハウる」
日本人ならだいたい「動く城?」と答えるでしょう。残念ながらキムタクではありません。これはハウリングという英語が日本語の動詞になっちゃったものです。ライブに行った時、スピーカーから「ピー!」という耳につくキーンとした音が鳴ったのを皆さんも聞いたことあると思います。あれが「ハウっている」音です。カラオケでマイクの音量上げすぎてもなることありますよね。どうしてそうなるかという理系な話は墓穴掘るのでやめときます。ちなみに、ギターの人が最後の曲でギターを放置したまま去っていくみたいなパフォーマンスありますよね。ステージに残されたギターが「プー!!」って鳴り続けてるやつ。スタッフさんが気まずそうにアンプのボリューム落としに来るやつ。あれは原理はハウるのと同じなのですが、ギターで出すあの音には「フィードバック」というかっこいい名前があるんですね。あれはあえて出しているギタリストの美学です。「ハウってましたね」と言ったらたぶん怒るので気をつけましょう。「フィードバックがイケてましたね」とでも言ってあげましょう。この「ハウる」の使用例は実にシンプル。ステージでキーンと不快な音がしたら音響さんのいるPA席を振り向きざまに「ハウった!!」と叫びましょう。これであなたも関係者・業界人の仲間入り。


4、「ころがし」
今回はこれで最後です。「ころがし」。これを知っている人はなかなかのライブハウス通ですよね。バンドマンの足元に置かれている、内側を向いたスピーカー。これはモニタースピーカーといいまして、自分達の出している音を聞くためのスピーカーです。足元に転がっているこのスピーカーをギョーカイでは「ころがし」と呼びます。登ってお客さんを煽るためのお立ち台では決してありません。ここで気をつけていただきたいことは、最前列に行っても決してこの「ころがし」の内側を覗き込んではいけません。見えそうでも見ちゃダメです。だいたいセットリスト貼ってあります。ネタバレします。セットリストならまだしも、たまにMCのネタまで書いてあります。「ぼくらとひとつになりましょう!」そんなセリフが書かれたカンペ見られた日には…たぶんバンドマンにとっては肛門を見られるくらい恥ずかしいです。そして、ライブハウスによってはこの「ころがし」の内側にがっつりこう貼ってある場合があります。「登らないでください!」「水をこぼさないでください!弁償していただきます!」。ライブハウスからバンドマンへの切実且つ痛烈なメッセージ。どんなにヒートアップして感情的なパフォーマンスになっても、一瞬冷静になる瞬間ですね。

では、最後に今回のおさらいです。もうこの4つ無理矢理全部使っちゃいましょう。ライブ後にバンドマンにこう言ってください。

「○○さん、ころがしもうちょっと下手に寄せてバミっといたらハウらないんじゃないですかね?」

ありがとうございました!

※以上はすべて筆者の独自の主観であります。信じるか信じないかはあなた次第。

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