【ライブレポート】OLDCODEX、ピンチをチャンスに変えた武道館2年目。「たまにはそんな夜もいいんじゃない?」

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「せっかくの広い会場なので」と披露したのは1stアルバム『hidemind』(2010年)に収録されているミドルチューン「craving for」。Ta_2はステージに膝をついて全力で歌い、同じく初期のナンバーであり、ライヴのキラーチューン「night flight」ではYORKE.がステップを踏み、客席もジャンプ。Ta_2が笑顔で“せーの”と煽り、シンガロングが響き渡り、吹き抜ける風を運んでくるような「Harsh Wind」へと。初期メンバーであるギタリスト、R・O・Nの作曲によるナンバーがたて続けに放たれ、左右のキャンバスにはOLDCODEXの文字が浮き上がっていた。

中盤のMCではTa_2が「やべえな。超楽しいぞ」とキッズ級の笑顔を見せ、ちょっと遅い新年の挨拶。ここで突然、話を振られたYORKE.は昨夜の1時に近所のコンビニに行ったら顔見知りの店員さんがライヴのことを知っていて「もう寝たほうがいいんじゃないんですか?」と注意されたエピソードを披露し、場内爆笑。「俺、近所の人にも支えてもらってるんだなと思った」という発言も天然気味のYORKE.らしく、両足のスニーカーの色が違うことについて「最初に見た時は間違えたのかと思った」とTa_2に突っ込まれていたのも可笑しかった。



なごやかなムードの中、「Lantana」で幕を開けた中盤戦だったが、ここで予想外の出来事がOLDCODEXを襲った。

EDMを取り入れたラウドチューン「optimistic negative thing」では再び、YORKE.が下手リフターに登ったのだが、途中で同期トラブルで音がプッツリ止まってしまったのだ。一瞬、その場にいた全員が何が起きたのかわからなかったと思うが、YORKE.は無音の中でライブペイントをし続け、すぐに静寂は場内のクラップとOiコールへと変わっていった。この数分間、スポットライトが当たっていたのはYORKE.のみ。暗がりの中にいたTa_2はあえて言葉を発せず、バンドのメンバーの姿も見えなかったのだから、客席のリアクションには本当に驚かされた。音がなくてもライヴは続いているという全員の意識の共有は彼らとファンが積み上げてきた結晶でもあった。

やがて、ライヴが再開し、今度はYORKE.が上手のリフターに登り、美しく切ない名バラード「Elephant over」へ。そこからセンシティブなアルペジオの音で始まる最新シングル「Aching Horns」が鳴らされるとセットの中央が扉のように開き、新しい景色が目の前に広がった。

「オマエら、よかったな! こんなに珍しい瞬間に立ち会えること、なかなかねーぞ! ありがとう。助けてくれて」── Ta_2

「音が止まったのはこのバンドで初めてかもしれない。だけど止まったなんて全然思わなかったし、音は自分の中でずっと鳴ってた。みんなのおかげでもあるし、やっとピンチをチャンスに変えられる自分になったなってすごく感じた。10年前、武道館で音が止まったら、その場にうずくまって泣き出したかもしれない。でも、今は止まっても自分の絵で音を鳴らせる。今日はスペシャルなセットリストになったけど、たまにはそんな夜もいいんじゃない?」── YORKE.

そんな2人のリアルな言葉とともにOLDCODEXを支える強力な仲間、Ryo(Dr)、中村泰造(B)、大村真司(G)が紹介され、Ta_2が声の限りに煽った。



「バンド組んでYORKE.と一緒に歩きはじめて、たくさんのヤツが俺の横を過ぎていって気がついたら6年経ってた。なんで歌っているんだろうなって最近思う。全然わかんねえ。だから、曲、書いてる。だから、できること探してる。今日も必死こいて叫んでる。思い切り騒ぐよ!」

正直すぎるぐらいありのままの言葉を記しておきたいと思うのは、OLDCODEXの音楽にも同じことが言えるからだ。喜びや憤りや切なさに何もフィルターをかけることなく、歌や絵や音に変換された音楽は最速のスピードで胸を打ち抜く。

Ta_2とYORKE.が左右のリフターに分かれ、Ta_2がYORKE.の描いた絵の上に黄色で“OCD”と描いた「VISION」からライヴは上昇のカーヴを描いたままで後半戦へと。「fool K」からOLDCODEXの代表曲「Rage on」が放たれ、Ta_2が「今年もちゃんとみなさんのことを退屈させないから」と場内を沸かせ、激アツの尖ったナンバー「reel」を投下し、本編ラストの「Eyes in chase」まで加速していき、スタンディングのライブハウスと何ら変わることのない熱気と臨場感の中、ドラム台の上に2人がのぼってのエンディング。不測の事態も味方につけたステージを締めくくった。

ライヴTシャツに着替えて登場したアンコールではYORKE.が雑誌に連載してきたコラムが単行本になることを告知。「まだまだオマエらが遊べるようなこといっぱい考えてるからさ。じゃあ、もうちょっと遊ぶか。もう歌うの疲れたからオマエら、歌ってくれよ(笑)」とTa_2が呼びかけ、「WALK」は大合唱に。「カタルリズム」ではスロープを全力疾走し、向かい合ってシャウトする場面も飛び出した。



すべての曲が終わり、キャンバスに“Budokan”という文字を書き足したYORKE.、まぶしそうに客席を見渡してマイクを通さずに「この後、発表あるからちょっと待ってて」と叫んだTa_2。 スクリーンに映し出されたのはOLDCODEX歴代のシングルとPVを収録したアルバム『Fixed Engine』が6月8日にリリースされるというニュース。喜びに沸く中、「気をつけて帰れよ! キレイに(セットの)写真撮って帰れよ!」というTa_2の声だけが響き、再び、拍手と歓声に武道館は揺れた。

取材・文◎山本弘子

Photo by NORIKAZU TATSUKAWA, TAKAHIRO SAKATA

   ◆   ◆   ◆

熱狂のうちに2016年の日本武道館2デイズ公演を完遂したOLDCODEX。続く翌2月11日の公演では、Single Collection『Fixed Engine』を掲げての全国・アジア公演を含むツアーの開催が発表された。自身史上最大規模となるこちらのツアーファイナルは2017年1月14日、15日の日本武道館公演に決定。2016年の“Veni Vidi”に続く勝利宣言へ向け、OLDCODEXは今年も疾走する。

セットリスト<OLDCODEX "Veni Vidi" in BUDOKAN 2016>

2016年2月10日公演 日本武道館
01 Reminder
02 Get Up To Go
03 physical
04 Feed A
05 Seek your turn
06 Landscape
07 craving for
08 night flight
09 Harsh Wind
10 Lantana
11 optimistic negative thing
12 Elephant over
13 Aching Horns
14 VISION
15 fool K
16 Rage on
17 reel
18 Whehe I stand
19 Bitter Aspiration
20 Eyes in chase
【Encore】
En1 WALK
En2 カタルリズム

OLDCODEX Single Collection『Fixed Engine』

2016年6月8日発売

BLUE LABEL【CD+DVD】 LACA-35560 / \3,800+消費税
アートブック、リード曲のMusic VideoとMakingを収録したDVDを同梱。

RED LABEL【CD+BD】 LACA-35561 / \3,800+消費税
収録曲のMusicVideo(13曲)を収録したBD同梱。
「flag on the hill」、「Harsh Wind」、新リード曲は新規撮り下ろしMysic Videoを収録。

GREEN LABEL 【CD のみ】 LACA-15560 / \2,800+消費税

※BLUE LABEL・RED LABELは初回限定盤となります。

【収録曲】
〔Blue〕 / flag on the hill / Harsh Wind / Cold hands / カタルリズム / The Misfit Go / Rage on / WALK / Dried Up Youthful Fame / Lantana / Feed A / Aching Horns
新曲2曲収録予定

OLDCODEX 2016-2017ツアー

2016年9月24日(土)、25日(日)のZepp DiverCityを皮切りに、全国・アジアを巡るOLDCODEX史上最大規模のツアー。ツアーファイナルは2017年1月14日(土)、15日(日)の日本武道館公演。
詳細はオフィシャルサイトにて後日発表

◆OLDCODEX オフィシャルサイト
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