音楽投稿アプリnanaに「いい音」でアップしたい! 第4回 キーボード編

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ボーカルや楽器演奏を録音&シェア、コラボまでカンタンにできるアプリ「nana」(ナナ)。手軽に録音&投稿できるのはいいんだけど、もっと「いい音」で録音できないの? そんな疑問に答える特集の第4回。

ボーカル、ギター(アコギ&エレキ)に続き、今回はキーボードの録音方法を取り上げる。タイトルは「キーボード編」としたが、今回の方法は電子ピアノ、シンセサイザー、さらには電子ドラムなど電子楽器全般は基本的には同じだ。なお、nanaアプリはiOS版とAndroid版があり仕様が異なるが、本特集ではiOS版を使用している。

■オーディオインターフェイスで楽器とiPhoneを接続

キーボードにもいろいろあって、スピーカー内蔵のものもあれば、外部アンプ&スピーカーに接続してはじめて音が鳴るものもある。スピーカー内蔵ならiPhoneの内蔵マイクでそのままnanaアプリに録音できるが、いざ録音してみると「打鍵時のカチカチ音がジャマ」「音がこもって聞こえる」「周辺の余計な音が入ってしまう」という経験をした人は多いはず。ここはやはりキーボードとiPhoneをケーブルで直結、クリアな音で録音したいところだ。

「でも、キーボードとiPhoneを直結なんてできないよね?」

確かにそのとおり。というわけで、iPhone用オーディオインターフェイスを用意する。オーディオインターフェイスとは、マイクや楽器をiPhoneに接続できるようにする周辺機器。各社からさまざまなタイプの製品が発売されているが、今回使用するのはティアックのTASCAMブランドから発売されている「iXZ」という製品。本特集の第1回から登場しているので、おなじみとは思うがカンタンに説明しておこう。

「iXZ」は手のひらサイズのiOSデバイス用オーディオインターフェイス。iPhone、iPad、iPod touchのマイク/イヤホン端子に接続して使用する。本特集でこれまで取り上げてきたマイク、ギターのほか、キーボードなどの楽器にも対応。5,000~6,000円と比較的安く購入できるので、iOSデバイス用オーディオインターフェイスを探してるならまずチェックしたい製品だ。


▲TASCAMのiOSデバイス用マイク/ギターインターフェイス「iXZ」。iPhoneのマイク/イヤホン端子に接続、「iXZ」の入力端子に楽器をつなげば即録音可能。iOSデバイスとの接続ケーブルは直付け、コネクタは4極ミニプラグ。


▲前面の左がマイク&ギター/ライン入力用コンボジャック。楽器は標準フォーン端子で接続。このほか入力切り替えのMODEスイッチ、ファンタム電源用スイッチ、INPUTボリュームを用意。裏側にはヘッドホン/ライン出力端子(ステレオミニジャック)を配置。iXZ接続時はiPhoneの内蔵スピーカーは無効になるので、ヘッドホンかアンプ内蔵スピーカーをつないで音を聴くことになる(今回はマイクを使わないので、スピーカーでも可)。底面にはマイクアンプ用の電池ボックスがあるが今回は電池不要。

■電子楽器の端子、ケーブルはいろいろある!

機材が揃ったら次は接続だ。iPhoneのマイク/イヤホン端子に「iXZ」を接続、キーボードは「iXZ」に接続するのだが、問題はiXZ-キーボード間をつなぐケーブルだ。キーボードやシンセサイザーといった電子楽器の出力端子は製品によって異なる。一般的に使われるのはRCAピン端子、ステレオミニ端子、標準フォーン端子といったところだ。


▲おもな端子の種類(左)。RCA:RCAピン端子、MINI:ステレオミニ端子、PHONE:標準フォーン端子。写真の標準フォーン端子は2極のTSタイプ。写真右は接続機器側の端子と並べたもの。上がステレオミニ、下がRCAピン。ちなみにケーブル側の先端をプラグ、それを挿す機器側の穴をジャックと呼ぶ。

・RCAピン端子……AV機器などでよく使われる端子で、赤と白で色分けされていることが多い。単にRCA端子またはピン端子などとも。
・ステレオミニ端子……ポータブルオーディオプレーヤーなどでも使われている3.5mm径の端子。iPhoneのイヤホン出力もこのサイズ。
・標準フォーン端子……エレキギターのシールドケーブルと同じ6.3mm径の端子。単にフォーン端子、フォン端子とも。

これら電子楽器側の出力端子に合わせてケーブルを用意することになる。ちなみに、標準フォーン端子にはさらに2極のTS、3極のTRSといった区別がある。TRSは1本でステレオ接続したり、ノイズに強いバランス接続をするために使われる。今回は長いケーブルを引き回すわけではなく、ノイズの心配もないため写真のTSフォーン端子を使用する。

続いて接続方法を見ていこう。まずは楽器側の端子が標準フォーンの場合。電子ピアノやシンセサイザーの多くがこのタイプだろう。「iXZ」の入力も標準フォーン端子なので(XLRはマイク使用時のみ)、ケーブルは両端が標準フォーン端子のものを使う。


▲標準フォーン端子の例。L(左)がモノラル出力兼用となっているので、この端子を使用して「iXZ」と接続する。

上の写真はシンセサイザーの背面の出力端子。LとRの2つの端子でステレオ出力となっている。LはMONO兼用で、こちらだけを接続するとモノラル出力となる(左右をミックスした信号が出力される)。「iXZ」の入力はモノラルなので、「L(MONO)」と書かれた端子だけを使用すればよい。

「せっかくのステレオ出力をモノラルで使うの?」「iXZ以外のもっと高価なオーディオインターフェイスならステレオで録音できるんじゃないの?」と思った人もいるかもしれないが、nanaアプリはモノラルのみの対応で、ステレオ録音はできない。よって、この接続方法で十分というわけだ。

では出力端子がLとRだけで、モノラル出力できない楽器の場合はどうすればよいか? この場合も何も考えずにLかR、どちらか一方だけをつないで問題ないだろう。電子ピアノやシンセサイザーの鍵盤を叩くと「低音は左から・高音は右から聞こえる」というわけではないし、ヘッドホンをつないで左右・左だけ・右だけを聴き比べても楽器単体の音なら印象はさほど変わらないはず。最終的にモノラルになるので、左右をミックスしても、最初から片方だけでもほとんど違いはない。

問題となるのはドラムだろう。ハイハットやシンバルは定位が左右にはっきり分かれているので、片方のチャンネルだけを使うと聞こえないパーツがある(あるいは音が小さい)など困ったことになる。その場合は音源側の設定で定位を変えるか、ミキサーやステレオ-モノラル変換ケーブルを使用することで対処することになる。

■変換ケーブルより変換コネクタ

RCAピン、ステレオミニ端子は比較的小さな楽器で使われることが多い。特に最近流行のガジェット系楽器ではステレオミニ端子の採用が目立つ。これらの楽器を「iXZ」につなぐ場合は、なんらかの変換ケーブルが必要になる。ただ、RCAピン-標準フォーンや、ステレオミニ-標準フォーンといったケーブルは市販されてこそいるが、思いのほか高価だ。そこでオススメなのがRCAピン-標準フォーンの変換コネクタだ。


▲ステレオミニ-RCAピンのケーブルと変換コネクタ(左)。RCAピン端子に変換コネクタを接続して、「iXZ」の入力端子へ(左)。

ステレオミニ-RCAピン×2のケーブル、両端がRCAピンのケーブルなら家に転がっているという人は多いはず。これをRCAピン-標準フォーンの変換コネクタと組み合わせればよい。これなら数百円で済む。


楽器と「iXZ」間の接続さえ終わってしまえば、あとは鍵盤を弾くだけ。ノイズの心配もないのでマイクやギターの接続よりも考えることは少ない。また、ライン出力のあるキーボードなどの電子楽器はもちろん、ヘッドホン出力のみのiPhone/iPad(録音機とは別にもう1台用意)からの音も十分なレベルで録音ができたことも付け加えておこう。iPhone/iPadにUSB MIDIキーボードをつないで楽器アプリを演奏、nanaに録音するのも実用範囲という印象だ。お気に入りのキーボード、シンセサイザー、そしてiOSアプリ……、さまざまな楽器を使って、nanaでの演奏やコラボを存分に楽んでみよう。

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