【対談】沖ちづる × 藤枝憲 (Coa Graphics)、「ガケから突き落とされても歌い続けたい」

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■例えば母親になったから、書ける曲がある
■歌い続けてほしいなあ──藤枝憲

──沖ちづるは今、“新しい自分”としてスタートを切りたいという。聴き手の立場にも置き換えられる歌を書きたいともいう。“私の歌”から“みんなの歌”へ。ストーリーテラーとしての成長をみせる象徴的な楽曲が「旅立ち」というわけだが、このシングル盤には、中学生の沖ちづるが二十歳の自分にむけて書いた手紙をモチーフとした「二十歳のあなたへ」というパーソナルな曲も収められている。二十歳となった今の心境や、歌い続ける決意は如何なるものなのか──

沖:二十歳になって、ようやく自分の心と年齢が近づいてきた気がしています。あまり十代らしい青春を味わえてなかったので……。

藤枝:去年、沖さんと接していて、中身はぜんぜん十代には思えなかった。ようやく折り合いがついてきたところなんだ。

沖:そうですね。ずっと十代の頃から老いる自分を想像していていましたし。

藤枝:冷静だなあ。確かに沖さんの歌を聴いても、世の中の十代の人が聴くような歌に影響を受けてる感じじゃないもんね。

沖:十代の頃に聴いていた歌が、今の自分の歌に繋がっている感じはないです。それに今、ひとつの方向性として“この人みたいな歌を書けるといいな”という存在がいないことはないんですが、じゃあ、それを自分でやろうとしても上手くできないことの方が多いんです。器用じゃないので……。

藤枝:とはいえ、歌の完成度は上がっていていると思いますよ。ライブも演出を含めて、歌を聴かせるための表現ができてきているし。1年前と比べて、意識の持ち方がぜんぜん違うな、と感じます。

沖:やっぱり、ひとつのことが終わると“もっとこういうことができたな”という思いが沸いてくるので、それを次の機会に活かしていくようにしています。

藤枝:その変化が、このスピードで起こっているっていうのは、1回1回、やることの密度がすごく濃いから、経験値がグンと上がってるんだとしか思えない。

沖:でも、まだまだないので、いつか“これがすばらしいものなんだ”と思えるところまで辿りつきたいです。死ぬまで辿りつけないかもしれませんが。

藤枝:もしかしたら、頑張っても変わらない、もしかしたらマイナスになる年もあるかもしれない。でも、続けることが大切だと思う。と、言うのも、2015年の沖さんは“やらなきゃ”って勢いで進めてこられたけど、2016年には“私、次はどうしよう、ここからどうすればいいんだろう”と悩む時がやって来るような気がしていて。だいたい2、3年毎に、ひとつの山場がやって来ることが多いから。そういった苦境を沖さんがどう乗り越えていくのかなって思う。

沖:はい。

藤枝:音楽って“ずっと続けていくんだろうな”という人が、2、3年後に心がポキッと折れてやめることもあって。特に今は、やり続けることがしんどい時代だし……。最初のドキュメントに関わった人間として、いちウォッチャーとして、40歳を過ぎても歌っている沖さんを見届けたいんですよね。

沖:その時もデザインしてください……。

藤枝:だから「旅立ち」の次の何かを、続けるためのエネルギーを、掴んで欲しいなって。そうしたら、また2、3年は続けていけるので。

沖:「光」は、自分の心がダメになって、落ち込んでいる時だから書けた曲でした。そういう追い込まれた瞬間に、人は何かにすがるようにいい曲を歌ったりするので……。

藤枝:ねえ。

沖:それは、やろうと思ってできるものではないけど、そういう苦しいところから生まれるすばらしいものを掴むために、続けていきたいと思います。

藤枝:続けたから歌える曲があるし、ファンはそういう歌を聴けるのが幸せ。沖さんが40歳になったから、例えば母親になったから、書ける曲がある。そういう、その時々の沖さんにしか書けない曲、やり続けたから書ける歌を聴きたい。沖さんには歌い続けてほしいなあ。だから……、音楽を嫌いになるほど、無理しすぎないでください(笑)。

沖:ありがとうごございます(笑)。実際、まだいろいろなことを味わえてないので。味わえるんだったら、そういう人生の方がいい。

藤枝:うん。そう思う。

沖:「旅立ち」から、またスタートしていく自分は、去年の自分とはぜんぜん違っています。「旅立ち」のジャケットの写真からも伝わってくる“どうだ!”という気持ちで、挑戦していく1年にしたいと、すごく思っています。あがいてでもいいから、もっと聴いて欲しいという思いが強くて。そのために自分のなかでも戦って、ボロボロになっても猪突猛進でぶつかっていきたいですね。ガケから突き落とされるくらいの勢いで。

藤枝:挫折があっても、そこから這い上がっていくという。

沖:そうですね。でも、ガケから突き落とされることは、ガケまでよじ登っていかないと味わえないこと。だから、逃げずにちゃんとやっていきたいです。

取材・文◎山本貴政 撮影◎川崎龍弥
取材協力◎下北沢kate coffee/2016年2月15日




■2ndシングル「旅立ち」

2015年2月24日発売
【CD+DVD】XNDC-30044/B ¥1,852(本体価格)+税
1.旅立ち
2.二十歳のあなたへ
3.タイガーリリー
<DVD収録内容:「むこうみずチャンネルvol.3」>
※2015年11月25日から12月14日までWEB上で限定公開された<沖ちづる生音ライブ“95-15 10代最後の夜”>より5曲収録
1.旅立ち
2.朝の光
3.メッセージ
4.高架下の二人
5.二十歳のあなたへ 
●ボーナス映像
2015年7月17日新宿シアターモリエールでの 沖ちづる 1st Mini Album「景色」リリースツアー"街を越えて” 東京生音公演より「街の灯かり」収録

■配信限定デジタルシングル「二十歳のあなたへ - 赤坂BLITZワンマンライブ -」

2016年2月24日発売
配信元:iTunes、レコチョク
1. 二十歳のあなたへ(2015年12月13日 赤坂BLITZにて)
2. 街の灯かり(2015年12月13日 赤坂BLITZにて)
3. 高架下の二人(2015年12月13日 赤坂BLITZにて)
4. きみのうた(2015年12月13日 赤坂BLITZにて)
5. 光(2015年12月13日 赤坂BLITZにて)

■<2nd Single「旅立ち」リリースツアー“新しい日々”>

●3月5日(土) 愛知 新栄sunset BLUE
Open 18:00 / Start 18:30
(問)JAILHOUSE 052-936-6041
●3月6日(日) 大阪 心斎橋Soap opera classics
Open 18:00 / Start 18:20
GRRENS 06-6882-1224 ゲスト:林青空
●3月12日(土) 東京 恵比寿天窓.switch
Open 18:00 / Start 18:30
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
●3月13日(日) 東京 恵比寿天窓.switch
Open 18:00 / Start 18:30
(問)SOGO TOKYO 03-3405-9999
※全会場弾き語りによるライブです。
※東京・名古屋はワンマン公演、大阪公演はゲストアクト1組有
前売¥3,000(税込・D代別・整理番号順入場)
チケット発売中

◆沖ちづる オフィシャルサイト
◆沖ちづる オフィシャルYouTubeチャンネル

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