【座談会】オムニバス盤『Agitation Clysis』、「目的はメタルシーンの底上げです」

ツイート

■時間をかけて化粧や演出をしているわけですから、カッコいいのは当たり前
■そのうえで何をやるのかということがバンドとしての価値──YuI (Vagu* Project)

──では、ここからはシーンの話についてうかがいたいのですが、それぞれライブハウスでの活動ペースは?

YuI:Vagu* Projectは活動の拠点を関東に置いていて、大体月に5回くらいライブをしています。

You.:Scarlet Valseも月に5本くらいですね。

marie:週一回ということですよね? すごい。NAOTO PRPJECT~Crystal Peach~なんか、年に何回とかだよね(笑)。

NAOTO:ヤバいな(笑)。

▲YuI (Vagu* Project)

YuI:月に5本くらいとなると、常に高いテンションを維持するのが難しいところもあるんですよ。だから僕は今、ファンよりもメンバーのテンションを上げる気苦労があります。

NAOTO:Vagu* Projectの場合はステージの見せ方も面白いよな。

YuI:ライブに関して僕らは毎回、タテヨコ2メートルくらいの掛け軸を2つ使いつつ、ステージの真ん中に工事用のバリケードを置いたり、真っ赤な電飾を置いたりしているんです。基本的に対バン形式のライブでも必ず持ち込みますね。たとえ30分でも僕らを観に来てくれた人には視界の全部をVagu* Project色にしてやらんと気が済まないので。

NAOTO:僕がライブを観た時も電飾とかすごくいっぱい持ってきていたけど、あれを毎回持ち込むのというのは凄いよな。

YuI:ワンマンはもっと凄いです(笑)。音の面でも、一昔前に比べると同期を使うバンドがかなり増えたと思うんですね。大体のバンドは同期をLRの2ミックスでPAに送ると思いますけど、自分らは打ち込みだけで8チャンネルで送っています。それに、SE用のCDとかDVDも使ったりしているし、レーザー照明を買ったりしまして。なので、とにかくステージの上の額が相当なことになっています(笑)。

──そこまで世界観づくりやエンターテイメント性も大事にしているのも、対バン形式では珍しいのでは?

NAOTO:そうだと思います。

YuI:わざわざ時間をかけて化粧して、照明に照らされているわけですから、カッコいいのは当たり前だと思うんです。それはもう大前提で、そのうえで何をやるのかということがバンドというか商品としての価値なので。もう明日死んでもいいくらいのライブを毎回しています。

You.:Scarlet ValseはVagu* Projectとよく対バンするんですけど、彼らのライブは玉手箱みたいな感じで、すごく見どころが多いです。僕らは東京を中心に活動しつつも、出来る限り大阪や名古屋辺りでもライブをするようにしています。それに加えて、対バン形式の短いライブでも起伏のあるセットリストにすることを基本に、毎回来てくれるお客さんが飽きないように流れを崩したりして、ファンとのライブの一体感を高めるようにしていますね。

NAOTO:Scarlet ValseとVagu* Projectは、今度一緒にツアーをするんだよね?

You.:実は、YuI君とは長い付き合いなんですよ。

YuI:僕はYou.さんの前のバンド“Sylphy”が好きで、よく観に行っていて。「いつか対バンする機会があれば、よろしくお願いします」みたいな話をしたところから、なんやかんやで親しくさせてもらっています。ボーカルのKakeruさんとはScarlet Valseを始動するずっと前からの知り合いで、飲み仲間みたいな感じでしたし。

NAOTO:なんかYuIがそういう話をするのを聞いていると、自分がお爺ちゃんになったような気がする、You.が息子でYuIは孫(笑)。2バンドから観て、シーンに面白いバンドはまだまだいる?

You.:いますよ。Vagu* Projectほどインパクトのあるバンドは滅多にないですけど(笑)。今でも対バンから刺激を受けることはありますね。

【Vagu* Project】

──以前はヴィジュアル系はヴィジュアル系同士しかブッキングしてもらえなかったりしたようですが、最近はどうなんでしょう?

You.:昔は確かにそうでしたね。そもそも、それぞれのライブハウス自体にカラーがあって、ヴィジュアル系が出られる箱と出られない箱があった。今はそういう垣根はあまりなくなったと思うんですよ。だから、ヴィジュアル系だからブッキングしてもらえないということはないです。

NAOTO:最近はバンド次第だよな。

You.:そうですね。ヴィジュアル系が対バンでも構わないというバンドならやるし。ただ、未だにあまりブッキングしてもらえないという現実はありますね。ヴィジュアル系のバンドは楽屋面積をいっぱい使うから、それをライブハウスや対バンの方が嫌がったりするんです(笑)。それは自分たちも申し訳ないなと思っていて、やったことがないライブハウスの時は「楽屋がこういう状態になりますけど良いですか?」と聞くようにしています。

NAOTO:僕のイベントに出てもらったときも、それを聞かれて「どうぞどうぞ」と(笑)。

You.:そういう意味では、ヴィジュアル系同士はそういうことが分かっているから気持ちが楽というのがあるし。それで他のジャンルと対バンするのを嫌がるヴィジュアル系も多いんですよ。

YuI:我々は基本的に「無条件でどこでもやります」と言っているので、いろんなバンドと対バンしています。コテコテのヴィジュアル系と一緒の時もあれば、スラッシュメタルやギターポップが対バンの時もある。

marie:Vagu* Projectは、ヴィジュアル系だと言われることはない?

YuI:あります。でも、周りがどう受け止めるかは自由で、我々は我々の音楽をやるだけなので。それをヴィジュアル系だと思うなら、それで構わないです。

NAOTO:俺は「僕、ヴィジュアル系やし」と言ったら、違うと言われたことがある(笑)。

marie:それは絶対に違う(笑)。

You.:でも、今のライブハウスはNAOTOさんが「ヴィジュアル系です」と言ったら、普通にヴィジュアル系のバンドとしてブッキングすると思う。ライブハウス事情は、本当に以前と変わりましたよね。昔はヴィジュアル系をやっていると、「あのライブハウスに出ているなら、うちではダメ」とか言われることがあったし、オーディションも厳しかったりしたけど、今はもうそういうことはなくなりましたから。

NAOTO:ライブハウスが増えたからね。今はライブハウスが「出てください」という感じになっている。とにかくブッキングを埋める必要があるから、ライブハウス側がかなり柔軟になったよね。その結果、1日のライブでいろんなバンドがステージに立つという状況になっているんだけど、俺はそれは良いことだと思っていて。自由度が高くなっているという意味で良い時代だと思うね。

You.:そういう環境だから、ライブの本数も増えてきているんですよ。バンドにやる気があれば、ライブをする場には困らない。

◆インタビュー(4)へ
◆インタビュー(2)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス