【インタビュー】高橋優「活動の幅が広がっても、どれが本当の自分か分からなくなったら高橋優なんてすぐいなくなる」

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■『アラジン』のジーニーって孤独なエンターテイナーなんですよ

▲シングル「さくらのうた」期間生産限定盤

── 今回、カップリング3曲もすごくいい。これ、シングルのレベルじゃないですね。ボリューム的にも、内容的にも。

高橋:シングルという作品を作りたかったんですよ、アルバムの先行とかじゃなくて。ていねいにシングルという一つのものを、しっかりと受け取ってほしかったんで。4曲が4曲ともバラエティに富んだのは、結果的にそうなっただけなんですけど、どの曲をリード曲にしてもいいように、という思いでレコーディングはしてました。「さくらのうた」の前に「運命の人」のレコーディングはしていて、「さくらのうた」ができなかったら、たぶん「運命の人」がリード曲になってたと思うんです。

── その「運命の人」は、どんなふうに?

高橋:これは僕の得意分野なんですけど、映画やドラマを観る時に、キューピッド役のキャラクターが大好きなんですよ。たとえばディズニー映画で、王子様とお姫様がいて、王子様がイケてなくて、どうしたらいいんだ~という時にパッと現れて、お姫様とくっつけてあげる。ジーニーみたいな。

── ああ~(笑)。なるほど。

高橋:そのキャラに共感して、映画を観て泣くんですよ。

── 主役よりもむしろ。

高橋:主役なんて、かっこよければ誰でもいい(笑)。僕の好きなのは、だいたい三枚目のキャラ。僕の人生の話をすると、かっこいいタイプの男の子と連れ添うことが多かったんですよ、小学校、中学校と。今でもそう。関ジャニの大倉くんと高橋くんで、二枚目と三枚目みたいな。中学校ぐらいまでは、悲観的にとらえてたんです。僕が好きになった子が、僕に近づいてきた。両想いかもと思ったら、“大倉くんってさ……”みたいな(笑)。そのために俺に近づいてきたのね、ということがあまりにも多かったから。

── せつないなぁ。

高橋:でもそれを逆手にとって、楽しめるほうがいいなと思った時から、僕が好きになる女性は僕以外の男性を好きだというジンクスが完成した(笑)。そうすると、楽しくなるんですよ。この曲はまさにそれで、男の子と女の子がうまくいかなくなった時に、背中をぽんと叩いて“大丈夫だよ”というポジションの歌を書きたかったんです。

── これは共感を呼ぶ人、多いですよ。大なり小なり。

高橋:僕のスキルとして、あんまり誇れるスキルは少ないですけど、好きな女の子ができましたと言ってくれれば、絶対その子とつきあえるようにめっちゃ頑張る、そのスキルはいくらでもありますよ。しかも自然ですよ。わからないように、くっつけていきますよ。めっちゃ得意です。札幌時代、映画館で働いてる時に、シフトの組み合わせを僕がやってたんですよ。50人ぐらいの男の子と女の子がいて、みんな18歳ぐらいの年頃で、3カップルぐらい作りましたからね。そのうちに2カップルは結婚しましたから。生きてきた甲斐がありました(笑)。

── えらい。素晴らしい。

高橋:僕は三枚目キャラで、くっつける役が合っている。この「くっつけるあるある」は、絶対共感してくれる人がいると思うんですよ。特に女性に多い。でも、もちろん、くっつけて幸せだけど、よくよく考えてみ? ジーニーって孤独だぜ?って。『アラジン』で僕が一番好きなのは、アラジンが、もうお姫様とつきあえないかもと思って、あきらめかけてる時に、ジーニーが励ますシーンがあるんですけど。その時に、あの子はいい子だぞ、なかなか探したって見つからないぞ、俺も探したけど見つからなかった、って言うシーンがあるんですよ。見つからなかったんですよ、ジーニーは。それなのに、人の願いをかなえてるんですよ。なんて孤独なエンターテイナーだろうと思って、そこで毎回号泣するんですよ。

── そこかぁ。

高橋:だからお前は幸せになれよって、ファニーに言うんですよ。面白おかしく。それで、三つ目の願いとして、ジーニーを自由にするという約束があって……まぁいいや、『アラジン』の話になっちゃった(笑)。「運命の人」はそういう曲です(笑)。

── 熱い話でした(笑)。思いがこもってる。「クラクション」、行きますか。

高橋:「クラクション」は、ドラマの主題歌(TBS系『悪党たちは千里を走る』)で。曲を選んでいただいて、ドラマで使ってくださってるんですけど。書くきっかけになったのは、ある日、普通に道を歩いていた時に、救急車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎていくのを見たんですね。いつもだったら何も思わないんですけど、あの音って、人を助けるために必死で鳴らしてる音じゃないですか。嫌な想像だけど、あの車内で人が死にかけていて、立ち会っている彼女とかがいて、名前を呼んでも返事をしないとか、今俺の横を通り過ぎていった車の中で、もしかしたらそういう瞬間があるかもしれない。そう思ったら、一気にぐさっと来たんですよね。

── なるほど。

高橋:東京という街には、いろんな機械音が流れてる。サイレンもそうだし、クラクション、着信音、インターホン。うるさいし、好きじゃないけど、一個一個が人の意志が通った音なんですよね。サイレンは“急げ急げ”で、クラクションは“どけよ”だったり、逆に“ありがとう”だったり、着信音も“話そう話そう”って鳴っていたり。

── ああ。言われてみれば。

高橋:機械の音だけ聴くとうるさいけど、その一個一個に物語があって、救急車のサイレンにも、喜びや悲しみ、怒りがある。そうなると、街中で人の感情が、機械音に変わって鳴っているんだなと。それにセリフをつけたら、全部に違う言葉が乗るんだろうなと思った時に、もしかして自分が明日救急車に乗るかもしれないと思った時に、感謝してる人にはちゃんとありがとうと言おうとか、申し訳ないと思っている人にごめんねと伝えたりとか、そういう音を自分はちゃんと発していただろうか?と思ったんですよ。そういうことで曲を書こうと思って、この曲を書きました。

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