【インタビュー】SuGメンバーのVIRGIN体験に迫る！「本当は10代の頃に気づいて欲しい」

■大人はなんでも知ってる違う生き物と思ってたけど、実際は大人になっても正解なんて全然分からない。（武瑠）

──そうやって完成した今作。続いて、メンバーにこの作品の全曲解説をしてもらおうと思います。ここもVIRGIN縛りで、初エピソードを盛り込みながら曲紹介をお願いします。武瑠さんのみ3曲担当でいいでしょうか？

武瑠：そうくると思ってました（笑）。じゃあ俺からいきますね。まず「Smells Like Virgin Sprit」（通称“SLVS”）は、最初にこのお題を元に各々バラバラで作りました。自分は歌詞とメロディーだけ先に書いてたんで、そこにみんなが作ってきたSLVSをめちゃくちゃに混ぜて組み合わせて。さらにそれをスタジオに持っていって、違うメロディーやコードをのせたり。そういういろんな過程を経て曲が完成したというのは、SuG史上初です。

──なるほど。“ウォーオーオオー”のシンガロングパート、ライブではぜひお客さんに歌ってもらいたいですよね？

武瑠：歌ってくれないとすごく悲しくなる。

shinpei：歌ってくれなかったらライブでこの曲はお蔵入りになるかもしれないので、みなさんにかかってます。

──この曲は“ああもうウンザリだ、でも最高だろ？”という歌詞がとにかくいい！　今作をシンボリックに表したキラーフレーズだなと思いました。

武瑠：これは自分が10代の頃に思ってたことです。今作はそういう言葉をたくさん使ってて。SLVSは10代の感覚と、逆に大サビはいまの感覚で書いてる。大人も正解は知らなかったんだなって。10代の等身大の感覚といま思う自分、両方が入った曲ですね。

──10代の頃、大人はすべての正解を知っているものだと疑ってなかったですから。

武瑠：俺も10代の頃はそう思ってました。大人はなんでも知ってる違う生き物と思ってたけど、実際は大人になっても正解なんて全然分からないです。

▲『VIRGIN』LIMITED A盤

──続けてChiyuさん、いきましょうか。

Chiyu：「SICK’S」は、生のストリングスが入ってまして。そういう楽曲はいままでもありましたけど、弦楽器のレコーディング現場に自分が立ち会ったのはこれが初でした。アレンジャーが作ってきた楽譜をスタジオで貰って、その場で弾く姿を見て、これぞプロだなというのを思い知らされました。

──次はmasatoさんお願いします。

masato：僕は「純・不純異性交遊」ですね。これは個人的には初めてギター録り期間内にギター録りが終わらないという経験をした曲です（笑）。この曲はレコーディングの最中にやっとアレンジが決まったんですよ。なので、最終的にはそれを持ち帰って、家でレコーディングしました。宅録なんです、このギターは。楽器もいままではアンプの音だけで色々音色を変えることが多かったんですけど、これに関してはギター側のコントロールで音色を作って、周りの音との兼ね合いを調整していったり。個人的に色々勉強になった曲です。

──この曲のキュンとするポイントは？

masato：この曲は歌い方もちょっと優しい感じだから、ギターの音色も荒々しさを抑えた柔らかさがあって、そこにキュンとしながらも、最後に壊れて狂っていく。そこが最大の聴きどころです。

──まさに！　では続いてshinpeiさんお願いします。

shinpei：僕は「teenAge dream」にします。この曲のリズムはこれまでのSuGの楽曲のなかでも初チャレンジしたものです。だから、結構難しくて。自分にそんなに馴染みのないリズムでもあったし、元々このリズムってこれぐらいのテンポでやるリズムではないんですよ。もうちょっと遅いテンポのなかでやる感じなんです。しかも、普通だった裏打ちにいきそうなところでこのリズムが出てくるんですよ。これ、なんていうリズム？ ツカツッカーっいうの。

武瑠：なんていうんだろう。フェスリズム？

Chiyu：分かりやすいわ～（笑）。

shinpei：いままでなかったタイプだけどノリもいいし。今後増えていくかもしれないです。

──ではyujiさん。

yuji：んー……（悩みに悩んで）VIRGINなことはなしっ!!

shinpei：でも「In the shadow」は初めてのアレンジャーとやったんじゃなかったっけ？

yuji：だね。それだっ（笑）。

──この曲のコンセプトは？

yuji：coldrain！(一同笑)。でもこれはVIRGINじゃない。coldrain結構好きなんで、いままでもそういうコンセプトで作った曲はあるから。勉強させてもらってます（笑）。

──コーラスはメンバーのみなさんが？

yuji：そうですね。

Chiyu：武瑠以外の4人で歌いました。

▲『VIRGIN』STANDARD盤

──では武瑠さん、残った2曲の解説をお願いします。まずは「無限Styles」。

武瑠：曲順的に。ここにはポップで明るいイメージの曲を入れようと先に決めてました。この曲にはリゾートっぽい雰囲気もあったんで、10代の頃初めて友達と旅行に行く感覚を思い出して。とりあえずここじゃないどこかに行ってみたい。そういうことを教室で話してる。それだけで、無敵で楽しい。そういう気持ちを書きました。結果、どこに行こうが友達といれば楽しい。そういう10代の無敵感を描いた曲です。

──歌はメンバーでリレーしながら歌ってるんですよね？

武瑠：そうです。

yuji：自分が歌録りしたときに、ラップを歌ってて“ガーター出してもしょうがない”というところのガーターで俺、ガーターベルトが出てきて（一同爆笑）。しかも、教室っていう単語が最初に出てきてたから、女子高生がガーターベルトしてる絵が思い浮かんじゃって、すごいキュンとしたんですよ（一同笑）。

Chiyu：キュンでも萌えのほうだ（笑）。

武瑠：でも、実際にいたら先生も注意しづらいだろうね（笑）。“お前、ガーターは校則でダメだろ”っていっても。

shinpei：“え、なんでバレたの？”って、違う妄想が働きそうで（笑）。

──では最後にバラード「桜雨」を。

武瑠：これはSuG活動復活後、初めて書いた曲ですね。

──え、そうなんですか？

武瑠：はい。復活してすぐ、3月頃にサビを思いついたんでメモってたんですよ。それで、最初は浮気者でやろうかなと思ってたから、サビも“移り気の”のところが“浮気者の”って歌詞で、もっと和風に寄せるイメージでした。後、インディーズ時代に初めて自分が書いたバラード曲で「四季彩」というのがあったんですけど。それが、全然やりきれてなくて。俺的にもバンド的にも実力が足りなくて。同じテーマ、全体的に四季の流れが入ったバラード曲を書きたいなというのはありました。だから、この曲のPVで1年を通した季節が出てくるんです。タイトルの“桜”は春ですけど、春は終わりでもあるし始まりでもあるという1年を統括した季節。そういう感覚で作りました。

──「桜雨」が完成してみて、これで「四季彩」の悔しさを払拭するクオリティーのものができた、名曲キターというゲット感みたいなものは武瑠さんのなかにあったんでしょうか。

武瑠：言葉もメロディーも普遍的なものができたというのはありました。感情的にも10代の人が共感するものがたくさん入ってると思います。

──この曲のPVは監督さんと一緒に武瑠さんがディレクションを担当されてましが。映像の中で一番見せたかったシーンとは？

武瑠：全体のバランスで考えましたからね。この映像は。キスシーンとかハードなシーンもありますけど、そこを撮りたいと思った訳じゃない。全体的に、2人の1年の流れをバラバラに切り刻んで映像のなかに配置してるんですね。時間軸はめちゃくちゃなんです。だから、見てるとどれもが同じ年のこととも思えるし、違う年のことだとも思える。

──ああー、確かに。どっちにも見える。

武瑠：自分的にはそういう撮り方ができたのが一番面白かったなと思った部分。だから、このシーンを見せかったというのはないです。

──時間軸はバラバラなのに、なんでこれを見ると泣きそうになるんでしょうね。

武瑠：演奏シーンとか少ないから感情移入しやすいんだ思います。こういう映画の主題歌をSuGが歌ってるというニュアンスだから。曲だけで「ほら、いい曲でしょ」っていえる自信があったから、SuGを引いて（楽曲の）ドラマを前に出すという映像の作り方ができたんだと思います。

──このアルバムを引っさげて3月12日からは全国ツアー＜SuG TOUR 2016 SLVS＞も開幕。今回のツアー、VIRGINのお客さんは何か特別なサービスが受けられるんでしょうか？

武瑠：どうだろう。面白そうだけどね（微笑）。

Chiyu：それ、VIRGINチェックはどうすんの！

shinpei：『BLACK』はアルバムの曲だけで本編が終わるようなかっちりした感じだったけど、今回はミニアルバムなんで、自由度があるんですよ。だから、他の作品もたくさん入った幅広いセトリになると思うので、楽しみにしていて下さい。

取材・文●東條祥恵





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