【インタビュー】Ｊ、ライヴ映像作に「手を伸ばせば仲間がいる特別な空間」

■“デストロイ！”って言った先に何をするべきか
■その先は自分で見つけるしかないんだなって思わせてくれた

──掘り下げて掘り下げてね。それとリスペクトされているのに孤高の存在になっていないのも特殊なところだと思うんですよ。ストリート感覚がどこかにあってリスナーとの目線が近いところにある。

Ｊ：そこは俺自身がロックミュージックを聴いた時に、そういうアーティストに影響を受けているからだと思う。おとぎ話じゃなくて、ホントにリアルなストーリーをその人たちから見せてもらったから。誰もが手を伸ばせばそこにあるのに、誰もが届かないような存在。ガキの頃に聴いていたのがそういう音楽だったから、こういう生き物になっちゃったんだと思う（笑）。

──ちなみにその最たるアーティストは？

Ｊ：例えば、やっぱり自分に楽器を持たせてくれたSEX PISTOLSはそうかな。でも“デストロイ！”って言った先に何するべきかは教えてくれなかったけどね。

──バンドは空中分解して、シド・ヴィシャスは死んだ。

Ｊ：そう。でも、それをお前が見つけるべきだろうって。そう教えてくれたんだよ。

──SEX PISTOLSも見なかった先の景色を？

Ｊ：“そこから先は自分で見つけるしかないんだな”って思わせてくれたから。

──そう考えたんですね。でも、まさにさっき言っていた誰もが手を伸ばせば届くのに誰も届かない存在になっていますよね。

Ｊ：いやいや。でも、そうなら最高だよね。

──今なお、“俺もベース弾いてみようかな”と思わせてくれる存在であることが映像から伝わってくる。

Ｊ：それが俺にとってのリアルなのかなと思うし。

──月日を重ねていくにつれてタフになっているファンのことは、どういうふうに感じていますか？

Ｊ：すごいよね。ライヴって本当にタイムラグのないコミュニケーションだと思うし、会場にいるみんなが、それぞれの日常の中でいろいろなものを抱えてライヴに来てくれるわけじゃない？　限られた時間を楽しもうとしている中、俺はとんでもなく熱いものをみんなに返したい、与えたいと思うし、客席を見て本当に俺たちも熱くなるし、不思議な空間だよね。“小さなことはどうでもいいか”と思える豪快な時間。手を伸ばせば仲間がたくさんいる特別な空間だと思う。

──ええ。もうすぐ年をまたいでのツアーのファイナル公演が5月5日に大阪BIG CATで、5月7日に東京EX THEATER ROPPONGIで開催されますね。

Ｊ：自分にとってすごく手応えを感じているアルバムのツアーのファイナル公演になるので、今までで一番熱いライヴにしたいですね。誰も感じたことがないテンションで埋め尽くしたい。より深くより大きくより激しく。まだ全然、そいつを更新していけると思っているので。

──では最後に、次に向かう場所は見えてきていますか？

Ｊ：そうだね。『eternal flames』を作った直後はエンプティだったけど、ツアーを重ねていく内に、“あれ？　まだ俺、これやってないな”、“こういう音やってみたいな”っていうのが自分の頭の中に生まれてきているのは確かなので、それを形にしていきたいなと思ってるんですよね。それはもしかしたら10枚目のさらに先にある世界なのかもしれない。

──これまで聴いてきた人が驚くような音ですか？

Ｊ：今までのように、その想像が形になればね（笑）。でも、すごくカッコいいものになると思うので、それがもっと明確になるまで楽器に向かう日々かな。途中で“やっぱり、止めた”ってなるかもしれないけどね（笑）。

──作っては壊し、作っては壊す体質なだけに（笑）。アメリカをはじめとするワールドツアーをするとか、そういう計画は？

Ｊ：機が熟したらやっても面白いとは思う。ひとつの節目を超えた自分がいて、ここから先はさらに自分のスタイルを突き詰めていくのみだと思っているので、欲望に忠実にいきたいと思ってます。

取材・文◎山本弘子






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