2015年夏、N.W.A.のバイオグラフィー映画『Straight Outta Compton』が記録的なヒットを樹立したが、その要因の1つに、Facebookでユーザーの好みやタイプにより異なる予告編を流していたことが挙げられるかもしれないという。

◆『Straight Outta Compton』予告編映像


ユニバーサル・ピクチャーズのマーケティング責任者ダグ・ニール氏とFacebookのエンターテイメント部門トップ、ジム・アンダーウッド氏が、米オースティンで開かれた<サウス・バイ・サウスウエスト>のパネル・ディスカッションに出演し、そのマーケティング戦略を明かした。

ニール氏によると、「彼ら(アフリカ系アメリカ人やスパニッシュ系でない人たち)の中には、N.W.A.についてよく知らず、アイス・キューブを俳優、ドクター・ドレーをBeatsの顔と認識している人が多い」ため、彼らに向けてはN.W.A.を全面に押し出すことはせず、2人の男の栄進をフィーチャーした予告編を特別に制作したという。

逆に、ブラック系と思われるユーザーには、N.W.A.とコンプトンを強調した予告編を提供した。また、スペイン系と推測されるユーザー向けには、スペイン語を使った予告編を流したそうだ。

Facebookはユーザーに人種を明かすよう義務づけていないため、彼らが好んで使用する言葉の種類、参加するグループ、お気に入りに登録したページなどからタイプを分類したそうだ。このため、黒人だからといってN.W.A.やコンプトンをフィーチャーした予告編が流れるとは限らない。

『Straight Outta Compton』は世界で2億万ドル以上の興行収入を記録した。全米では8月中旬に公開されて以来3週連続でボックスオフィスの1位に輝き、音楽系のバイオグラフィー映画としては、ジョニー・キャッシュの『Walk The Line』を抜き、最大のヒットとなった。

Facebookでの戦略がどれだけ功を成したのか、具体的な数字は出ていないが、SNSで独自のプロモーションが可能なことを実証した。

N.W.A.は今年、ロックの殿堂入りを果たす。来月行なわれるセレモニーでは、ケンドリック・ラマーがそのプレゼンターを務める。

Ako Suzuki