【ライヴレポート】アンスラックス、デビュー30年を超える絶対的王者の証明

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2016年2月に発売となったニュー・アルバム『フォー・オール・キングス』が絶好調のアンスラックス。本国アメリカをはじめイギリス、ドイツ、フランス、日本など世界各国のチャートを席巻している彼らはアルバムの発売を待たずしてラム・オブ・ゴッドとの北米ツアーをスタート。3月に入って中南米ツアーを行った。

◆アンスラックス画像

アンスラックスはアイアン・メイデン公演のスペシャル・ゲストとしてメキシコ・ツアーに参戦。首都メキシコシティの大会場『パラシオ・デ・ロス・デポルテス(=スポーツ・パレス)』で2公演が行われた。彼らはメイデンの自家用機『エド・フォース1』で現地入り、2万5千人の大観衆が待つ会場のステージに立つことになった。

『フォー・オール・キングス』の冒頭を飾るインストゥルメンタル「インペイルド」のイントロ・テープが流れるだけで、既に“出来上がっている”観客たちは大声援を送る。そしてバンドが姿を現し、「コート・イン・ザ・モッシュ」でショーをスタートさせると、アリーナには幾つものサークル・ピットが出来上がり、まさにタイトル通りのモッシュ空間となった。

そして間を置くことなく「マッドハウス」のイントロが鳴り響く。世界にスラッシュ・メタルという概念を知らしめたこの名曲は、メキシコにおいてもメタル・キッズを“マッドハウス”に叩き込んだ。


標高2千メートルを超えるメキシコシティだが、バンドは酸欠覚悟のライヴ・パフォーマンスをぶちかます。スコット・イアンはスラッシュ・リフを奏でながら激しく首を振りまくり、もはや必殺ギター・デュオの一角として欠くことの出来ないジョン・ドネイが鮮烈なリード・プレイを弾きまくる。昨年、手の疾患でファンを心配させたチャーリー・ベナンテも絶好調で、フランク・ベロとの鉄壁のリズム・セクションで観衆を襲う。ジョーイ・ベラドナのヴォーカルにもハリがあり、昨年10月の『ラウド・パーク15』で日本のキッズを吹っ飛ばしたステージがさらに大きな舞台で炸裂した。

近年は物価の高騰により場内で売られるビールも安いものではないが、観客は次々と中身の入ったプラスチックカップを放り投げ、もう汗だか涙だかビールだか判らない状況だ。世界有数の荒っぽいメタル・ファンがいることで知られるメキシコゆえか、ビールやドリンクの売り子が平然とアリーナの中にも入っていく姿が見られた。

もはやアンスラックスのライヴでは欠くことができない「アンティソーシャル」など、クラシックスの連打でメキシコシティの観衆のハートを掌中に収めた彼らだが、前作『ワーシップ・ミュージック』からの「ファイト・エム・ティル・ユー・キャント」も既に“クラシックス”のひとつとして認知されていることは明らかだ。ジョーイがタイトルを告げ、イントロが奏でられるだけで、会場が破裂したような声援で包まれた。


まだメキシコ国内で発売されて数日の『フォー・オール・キングス』から披露された「イーヴィル・ツイン」と「ブリージング・ライトニング」だが、場内のファンの多くは既に曲を熟知しており、首を振り、拳を突き上げ、コーラスを歌う。アルバムを聴いていない観客も、そんなの関係ないとばかり思い切り首を振ることで、新しいアンスラックス・クラシックスの到来を祝福した。

「インディアンズ」のイントロと共にジョーイは「みんな、ファッキン・クレイジーになれ!」と観衆を煽るが、そうする必要などないほどの盛り上がりだ。約50分のショーだったが、余力をまったく残させない完全燃焼ライヴは、アンスラックスがデビュー30年以上を経て最強のメタル・バンドであり続けることを証明するものだった。


4月2日土曜日放送のBSフジ「伊藤政則のロックTV!」ではメキシコシティ公演で収録してきたスコット・イアンとチャーリー・ベナンテの最新独占インタビューをオンエアする。

2016年3月3日(木)
Palacio de los Deportes, Mexico City, Mexico Impaled
1.Caught in a Mosh
2.Madhouse
3.Antisocial
4.Fight 'Em 'Til You Can't
5.Evil Twin
6.Medusa
7.Breathing Lightning
8.Indians


◆アンスラックス『フォー・オール・キングス』オフィシャルページ
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