【連載】逆襲のアキラ「第5戦 ジャズに生き、ブルースに生きた、女帝の神!Amy Winehouse!出撃!」

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皆様コンニチハ、2,5次元ロックアーティスト逢瀬アキラです。満開だった桜も散り、2016年も気付けばもう4月。「あれ?ついこないだ年越さなかったっけ?もう4月なの?!嘘だ!うちのカレンダーはまだ1月だもん!嘘だ嘘だ嘘だあああああああああああああ!!!!」と若干の(というかかなりの)焦りを引きずりながらも女帝、1ミリも春を満喫しないままもう春が終わります。お花見、、、行きたかったな誰にも誘われてないけど。今も冬真っ盛りのエロゲやってるし。いいもん。みんな水着で可愛いから、、、いいもん。寂しくなんか、、、ないもん、、、。;;

さて、気を取り直して今回も大好きなアーティストを語らせて頂きます。


5年前、彼女の訃報を知った時、全身に水をぶっかけられた様な戦慄が走る。同時に彼女のあどけない笑顔がよぎり涙が止まらなくなった。女帝が1番敬愛していた海外アーティスト、Amy Winehouseが亡くなったのだ。薬物中毒、アルコール依存症、様々なゴシップで世間を騒がせていた彼女の突然の死に世界中が混乱していた。どういった原因で亡くなったのか、何か事件に巻き込まれたのか、その時そんな事はどうでもよかった。私はただ、エイミーは哀しみと寂しさに溺れ、たった独り泣きながら逝ってしまったのか、それだけが気がかりで堪らなかった。彼女には笑っててほしかった、愛する人と笑っててほしかった。どんな些細な幸福でも良いから、「幸せ」を感じながら満ち足りていてほしかった。寂しがりやで脆くて誰よりも繊細なエイミーが、絶望と孤独の渦の中で死んでしまったとしたら、あんまりじゃないか。神様、こんなのってないよ。

彼女を知ったのはとあるLIVE映像をみたのがきっかけだった。黒髪のロングヘアーにタイトなドレスを着たグラマラスな体系のエイミー。その時はお馴染みのビーバイヴヘアでもなければ派手派手なタトゥーも見えず、コックニー訛りが強い地域語を照れながら話す彼女の笑顔はとてもチャーミングで幼く見えた。ディナーショーの様なお洒落な雰囲気の箱でギターを抱え演奏していたのだが、生演奏バンドに乗ったビリーホリデイを思わせるなんともハスキーで癖のある歌声に私は猛烈に引き込まれた。才能の塊の様な人だと思った。すぐにCDを購入したいと調べたのだが日本ではまだ売っておらず、輸入版をやっとの思いで手に入れたのがデビューアルバム「Frank」だ。英国内で67万枚を超えるヒット作で、プラチナセールスを記録し彼女がブレイクを果たしたアルバムだった。ジャズ、ブルース、R&B、ソウル、ポップス、そしてヒップホップの融合とも言えるこのアルバムは私を一瞬で虜にさせた。初めて付き合った7歳年上の彼氏に振られた経験を元に作ったアルバムと言う所も刺激的だったし、このアルバムが発売された当時、エイミーがまだ二十歳だった事に驚きと感動を覚えた。


Amy Winehouseという名が日本に爆発的に広まったのはセカンドアルバム「BACK TO BLACK」だろう。トレードマークのビーバイヴヘアに太いキャッツアイライン。ドラッグ、アルコール、セックス依存症等のゴシップも手伝って、この頃のエイミーは、一目見たら決して忘れる事のない強烈な危うさと美しさをギラつかせていた。音楽ファンなら誰もが耳にしたであろう「REHAB」という曲。関係者や父親にアルコール依存を断ち切るためにリハビリ施設に入ることを強く勧められるも頑として受け入れない痛快な一曲だ。「リハビリに行けってみんなが言う。冗談でしょ。そんなのまっぴらよ」このアルバムは翌2007年に全英で最も売れたアルバムとなり、第50回グラミー賞では最優秀新人賞や最優秀楽曲賞を始めとする5部門を受賞した。60年代を思わせる幅広いサウンド、ヒップホップ世代の現代的感覚、そしてエイミーの狂おしいほど危うく燃える魂そのものの様なソウルフルすぎる歌声。これほどまでに血腥いアルバムがこの世の何処に存在するのだろうか。

エイミーの書く詞を知るには覚悟しておいた方が良い。私は楽曲の詞を読んだ時、猛烈な孤独に襲われて、痛々しい彼女の笑いながら泣き叫んでいる血ヘドの様な暗闇を受けとめきれなかった。不器用する彼女の刹那的で自虐的な詞を読むたびに、なんでそんな悲しい事を言うんだ!と理不尽に心を掻きむしられた。「女」すぎる彼女はそれ故に血みどろで、それ故に美しかった。こっちの気も知らないで、彼女は底の無い孤独の暗闇で己の無垢すぎる心を塗り潰しているんだ。「あなたにとって私って真っ暗闇みたいなものだし」違う。「私はろくでもない道をずっと踏みならしてる。もうすっかり手詰まり。私は、あの真っ暗闇に戻るしかないのね」違う違う。「そう、あたしは単なる厄介。わかってるわね、まともじゃないって」違う違う違う!彼女は知らない。逝ってしまた今でも、狂おしいほどに、引き裂かれそうなほどに自分を思い焦がれ泣いている人間が居ると言う事を!これは呪いだ。切望も叶わない憂鬱の暗闇の底で、彼女だけが与えてくれる狂った快楽に溺れ続けた罰なのだ。彼女の代わりは世界中探しても居ないし、彼女はもう帰ってはこない。


エイミーの曲を聴き、彼女を知ろうとするには一筋縄じゃいかない。どのCDが何万枚売れたとか、どんな名誉な賞をとったとか、彼女を語る上ではもうそんな事どうだっていい。どうだっていいんだ。完全すぎる音楽性と不完全すぎる人間性のバランスが生み出した唯一無二の存在が、いかに圧倒的でいかに壊れていていかに狂おしいか、私は彼女をもって知る事となった。彼女が生涯の全てと引き換えに手にした物は、彼女が求め続けたたったひとつの「愛」であってほしかった。しかしどんなやりきれない哀しみも、この曲を聴くと救われた気持ちになってしまう。彼女が逝ってしまった後発表されたアルバム、「LIONESS:HIDDEN TREASURES」のラストに収録されているレオン・ラッセルの名曲「A Song For You」彼女が彼女の中の暗闇と戦っている最中に、彼女の自宅でワンテイクで録音された一曲。まるで彼女が隣で、自分だけの為に子守唄を歌ってくれているようだ。

「この命が尽きた時には思い出して。二人が一緒にいた時のこと。私達は二人きりで、私が貴方の為にこの歌を歌ったこと。忘れないで」

不器用すぎる、正直すぎる彼女は、この世の誰よりもアーティストだったと私は思う。彼女の太く短い27年間を、私は絶対に忘れない。

◆【連載】逢瀬アキラの『逆襲のアキラ』
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