【インタビュー】Purple Stone、新曲に「狂気と正気、歌舞伎町の二面性が面白い」

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Purple Stoneが4月20日、ニューシングル「歌舞伎町バタフライ」をリリースする。自身4枚目のシングルとなる同作はタイトルが暗示するとおり、正気と狂気の間で揺れる“夜の蝶”を描いたナンバーだ。

◆「歌舞伎町バタフライ」ミュージックビデオ

重厚なサウンドは刺激に満ちた危うさをはらみ、歌謡的な甘い旋律は毒を潜めて妖艶。楽曲をドラマティックに彩るのはダークさと煌びやかさを兼た彼らならではのアレンジだ。「ストレートなロックでいこう」をテーマに臨んだという制作は、彼らの剛速球が投影された反面、Purple Stoneが本質的に持つ一筋縄ではいかないアンサンブルの妙が露呈して聴きどころに事欠かない。さらにカップリングには自身の過去と現在をつなぐナンバーが収録された意欲作の完成だ。そのサウンド&リリックのひとつひとつを探るロングインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■歌詞で“華やかさ”と“切なさ”を
■歌でも陰と陽を表現できているんじゃないかな──Keiya

──4月20日に、ニューシングル「歌舞伎町バタフライ」がリリースされますが、制作前にテーマなどはありましたか?

Keiya:「ストレートなロックでいこう」と話し合ってから制作に入りました。小手先で何かをするんじゃなくて真っすぐいこうと。それを踏まえてメンバーそれぞれが作った曲の中から選んだのが「歌舞伎町バタフライ」です。

風麻:かなりの数の曲があったよね。

GAK:うん。特に表題曲は候補曲が本当にたくさんあった。

▲Keiya(Vo)

Keiya:表題曲をどれにしようかという話になった時、最初はカップリングの「RIVER」がいいんじゃないかと言っていたんです。でも、もうちょっといけるんじゃないか、という気持ちがみんなの中にあって。それで改めて曲を出し合うということを何度か繰り返したんです。その間にいろいろやり過ぎていたことを感じたので、一度原点に立ち返って、ストレートなロックでサビがガツンとくるようなものを作ろうと。

──結果、そういう楽曲になりましたね。

Keiya:はい。ずっとギターを触っていたら、すごく流れの良いきれいなコード進行が出来たんです。それに合わせてメロディーを口ずさんでみたら、これだ!と。そこから「歌舞伎町バタフライ」の原曲を作って、GAKにアレンジしてもらいました。

GAK:Keiya君のデモ音源は結構作り込んであって、ギターリフとかもちゃんとある状態でした。だから今回のアレンジはラクでしたね。一番こだわったのはサビパートかな。サビはオンコード(分数コード)を使ったりしていて、ストレートな中にも旨味が含まれているから、それを上手く活かすことを意識したんです。それに、ストレート過ぎると印象が薄くなってしまうので、間奏に4つ打ちリズムの上でラウドミュージックっぽいリフを弾くパートを入れ込みました。

──ハード&スタイリッシュな味わいが印象的です。歌詞はいわゆる“夜の蝶”への恋心を描いた内容になっています。

風麻:突っ込まれたいがゆえに、こういう歌詞を書きました(笑)。

Keiya:あはは! インタビューで突っ込まれるだろうと思っていたので、制作当時、僕は突っ込むのを控えていたんです(笑)。

──ありがとうございます(笑)。曲を聴いた時に“夜の蝶”のイメージが湧いたのでしょうか?

風麻:いや、そういうわけでもなくて。僕らは東京に遠征する時、新宿のRuido K4でライブをやらせてもらうことが多いので、よく歌舞伎町に行くんですね。夜に大阪を出発して、歌舞伎町へ朝に到着する。で、ライブが終わったら、その夜に出発したりするんですよ。

▲「歌舞伎町バタフライ」A-type

──つまり夜中と明け方のディープな歌舞伎町をよく見ているわけで。

風麻:そう。街並みを見ていて、これは面白いものが拾えるんじゃないかなと。そこからイメージを膨らませて、歌詞を書きました。だから今回の歌詞は妄想の産物です(笑)。ただ、歌舞伎町という舞台から切り離したところの“想ってしまう”という心情の部分は、自分の実体験的なものを入れ込みました。

──歌舞伎町はなにか得体の知れないエネルギーが渦巻いているようで、刺激を受けるのはよく分かります。

風麻:初めて来た時は夜で、狂気やなと思いました。でも、早朝の4時とかに着いた時は、みんなわりと正気な感じなんですよ。疲れ果てて、毒気が抜けたのかもしれないけど(笑)。それで、この街は二面性があって面白いと思ったんです。「歌舞伎町バタフライ」は、メロディーはきれいなのに、リフがすごくハードじゃないですか。そういう曲だから、“みんな、がんばって生きていこうぜ!”というような歌詞は合わなくて。二面性という言葉が自分の中に引っ掛かっていたところで、歌舞伎町のイメージは使えるなと思ったんです。

Keiya:最初にタイトルを見た時は、“なんだこれは!?”と思いました(笑)。でも、心に残る内容だし、僕が曲を作っていた時に感じていた“華やかさと切なさ”という二面性を歌詞でも現してくれていた。だから歌ももう余計なことはしないで、歌詞の雰囲気をそのまま出そうと決めました。歌の面でも陰と陽を表現できているんじゃないかなと思います。

──特にサビパートがそうですが、心に響く歌になっています。

Keiya:ただ、レコーディングは難しかったです。普通にロックテイストを押し出して歌うこともできるけど、サビのオンコードがきれいにバッと広がるので、あまりガツガツいくとtoo muchなんですよ。だから、少し流れる感じにしたいなって。この曲の前にカップリングの「RIVER」をレコーディングしたんですけど、その時に風麻から、「もう少しゆったり歌うと良いんじゃない」というアドバイスを貰ったんですね。その時に少し変えた歌い方で「歌舞伎町バタフライ」を録ったから、自分的にはいつもよりも大きく歌ったかなという気がしています。

──単に感情を込めて歌っても、こういう歌にはならないんですね。

Keiya:そうなんです。歌詞を見て、どこで息を抜くのか、どこで息を吸うのか、入り口を弱くするのか、ガツンと入るのかといったことを入念に考えないと、伝わる歌にはならない。“世界観をガチガチに決め込んで、こういう気持ちになって歌えば伝わるだろう”というのは、シンガーとして違うと僕は思っています。この曲も細部までしっかり考えた上で歌いました。

◆インタビュー(2)へ
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