【インタビュー】fhana「“本当は何もない”という前提から一周回った希望を表現したのがアルバムの大きな軸なんです」

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■「Relief」は佐藤さんが純粋に自分の好きな音楽を作った
■いい意味で肩の力が抜けた1曲でもあったんです


──英詞を乗せた「Relief」も、また新たなfhana色でもありますよね。

佐藤純一:そうですね。サウンド的にも歌詞としてもメッセージを色濃く見せたかったのは、「Relief」でしたから。世界に発信したいなという思いがあって英詞にしたというところもあったんです。2015年アトランタでライヴをしたり、NHKの世界で放送されてる番組で、前回のアルバムのリード曲「Outside of Melancholy」が海外の投票で3位に選ばれたんです。その番組で演奏もしたんですけど、そのときに、この先、世界にも発信してしていきたいっていう思いが強まったこともあり、英詞の曲を作ろうと思ったんです。もちろん、日本語でも世界に発信していけるんですけど、より直接的にメッセージを届けるという意味では、英語の曲もあっていいなって。そんな中、「追憶のかなた」の中にある英語のパートを歌ったtowanaの歌がすごく良くて。これは全編英語で歌っもらおうって思ったんです。「Relief」は、タイアップ曲でもなかったので、自分の好きなテクノやハウスという音楽性をふんだんに吐き出して作った1曲になりましたね。テクノやハウスに、生のバンドサウンドと絡ませながら、シンプルに洗練させられたかなと思っていますね。

──そうですね。歌詞的にはどんなメッセージを込められたんですか?

佐藤純一:「Relief」って、救いという意味があるんですが、冒頭で話した、このアルバムのテーマとも繋がる部分で、人間は誰しもが何かしらの救いを求めて生きていると思うんです。経済的に豊かな生活を送っている人も、生死を彷徨うような生活をしている人も、それぞれ何かしら救いを求めることってあると思うんです。でも、その救いっていうのは、他人から与えられるものではなくて。そういう安易な救いって怖いんですよね。ある意味カルト的なところがあって。その先には破滅が待っている場合もある。そうじゃなくて、人は孤独なものなんだっていうことや自分の孤独を受け入れた上で、自分を救うのは自分自身であり、自分を救うことは他人を救うことにも繋がっていくんだということを、この「Relief」では歌っているんです。この曲もアルバム全体のテーマとシンクロしつつ、大事なことを歌っている1曲です。


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──なるほど。本当にいろんな流れの中で、少しずつきっかけが生まれて1枚になっていったアルバムでもあるんですね。今、話にも出た「追憶のかなた」のtowanaちゃんの歌は、本当に迫るものがありましたからね。

towana:ありがとうございます。「追憶のかなた」はコーラスワークも素敵だなって思いますね。この曲はテレビアニメの『コメット・ルシファー』の特別エンディングとして作った曲でもあったので、当時はアニメの中のキャラクターとかストーリーを思い浮かべて歌った感じだったんですけど、アルバムの中にこうして入ってみると、すごく存在感が増しますよね。でも、この中の英詞の部分に佐藤さんが引っかかってくれて、「Relief」が生まれたのは、すごく嬉しかったです。「Relief」は、佐藤さんも言っていたように、佐藤さんが純粋に自分の好きな音楽を作ったという、いい意味で肩の力が抜けた1曲でもあったので、歌詞ももちろんなんですけど、個人的に曲が大好きだったりするんです。リズムがすごく好きな曲でもあるので、そこに英詞がすごく気持ち良くハマって、とても心地良く歌えているんです。

──そういう意味では純粋なfhanaの個性でもありますね、「Relief」は。

yuxuki waga:日本語だと“歌”として聴いちゃうんですけど、英語だと“曲”で聴けるので、そんなところも個人的にはすごく気に入っている1曲ですね。アニメの主題歌となると89秒の中で魅せる世界観を意識しての曲作りになるのですが、「Relief」はそれに捉われないアプローチを感じましたね。たぶん、いろいろと1曲の中で展開したり、転調したりしていくのがfhanaの特徴だって思ってる人も多いと思うんですけど、「Relief」を聴いて、こういうのもあるんだよっていうところが伝わってくれたらいいなと思いますね。

kevin mitsunaga:展開させるのも好きだけど、展開するだけがfhanaではないっていうね(笑)。

──私的に、シングルではありますが、13曲目の「コメットルシファー ~The Seed and the Sower~」は、素晴しく深みのあるサウンド感だなと思いました一つ一つの楽器の音を追って聴くと、すごく難解なことをしているなって。それが一つのバンドサウンドになると、不思議な調和を生み出していて。

佐藤純一:この曲は、クオリティを上げようと、相当頑張った1曲でもありましたからね。

──ディテールの細かさを感じましたよ。

yuxuki waga:シングルと比較して、ギターをよりいい音で録り直したり、ミックスをブラッシュアップしたりしています。

kevin mitsunaga:ですので、そういう聴き方をしてもらえるのは、すごく嬉しいですね。

yuxuki waga:音を細かく聞いてもらえると本当に嬉しい。

kevin mitsunaga:全体としてキャッチーでスッと入ってくる曲だけど、細かく聴いたときに、あれ? 結構いろんなことやってるなっていうところに気付いてもらえたら嬉しいなと常に思っているんで。

yuxuki waga:他にも今回いろいろとやりましたからね。「Critique & Curation」のカッティングっぽいギター部分は普通に弾かずに、自分でギターのサンプリングを作って組み替えたりもしましたし。結構いろいろと思いつきで、面白そうだなと思ったことをやってみたりしています。

──「Critique & Curation」はスラップも利いてますよね。すごくいいアクセントになってて。そこはリクエスト出したんですか?

yuxuki waga:スラップはデモの段階ではなかったんですけど、ベースを弾いてくださったクラムボンのミトさんが入れてくれたんです。その解釈の面白さに感動しましたね。すごく面白いバランスになったと思います。最初自分で打ち込んでたのは、シンセベースでもあったので、随分印象が変わったんですよ。

──シンベだったら、また印象が違ってたでしょうね。

yuxuki waga:そうなんですよね、全然印象は違ってたんですけど、いいレコーディングマジックだったなと思いますね。さっきkevinも言ってましたけど、今回のアルバムでは、1stでは無かったいろんなところを詰め込んでいる1枚にもなっているので、アルバムの大きなテーマを感じてもらいつつ、是非、そんな細かいサウンド面のこだわりにも注目してもらえたらと思います。

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