【ライブレポート】Dream5、玉川桃奈ラストライブ。「最後の、最高の時間をありがとうございました。」

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暗転した会場にアンコールを求める声。しかも玉川桃奈を呼ぶ「桃奈!」の大きなコールが起こる。Tシャツに着替えた5人が「アンコールありがとうございます!」と回転扉の向こう側から並んで登場すると、1曲目「I don't obey ~僕らのプライド~」のイントロで、桃奈も客席側の異変に気づいて目を丸くする。観客全員が緑のサイリウムを振っているという、ファンからのサプライズだ。もっとも、アンコールはステージ上のメンバーにとっても、5人で立てる最後の時間。この6年間の想いをすべて出し切るかのようなパフォーマンスが終始繰り広げられて、その想いは言葉にせずとも客席へと伝わり、オーディエンスの胸を打ち続けた。

「桃奈コール、ありがとうございます! 嬉しい。すごい、緑だよ。」と、ことりが桃奈に声をかけると、「今まで見てきたどんな景色の中でも、どんなイルミネーションよりも、海よりも、何よりも一番綺麗な景色をみせてくださって、ありがとうございます。」と桃奈が応える。するとことりが「ねえ、洸くん。“綺麗だよ”って言ってあげて。」と、ここで洸に話を振る。「綺麗だよ。」と、洸が少しぎこちなさを見え隠れさせながらつぶやくと(だかそこがいい!)、このキラーフレーズを前に集まったファンは一気に大興奮。「おかしいから!」と照れるあきらきゅんに、ことりは「男の人の“Fuー!”の方が多いんだよね!」と、笑ってみせた。

そして玉川桃奈からの最後の挨拶が行なわれる。

「約6年前ですね、運とタイミングが重なってチャンスをいただき、私はDream5になりました。今まで6年間すごしてきましたが、メンバーやファンのみなさんに出会うことができて、私はなんて幸せ者なんだろうと、本当に感じています。今まで、いろいろありましたけど、今日という日が、本当に最高な一日で終わることができて、本当に、嬉しいです。今はこうしてステージに立っていますけど、これが私が立つ最後のステージだと思うと、ちょっぴりさびしくなるんですけど、みなさんと最後の時間を、最高に楽しい時間を過ごすことができて、私は、本当に本当に幸せでした。最後の、最高の時間をありがとうございました。私は新しい夢、美容師という新たな道に向かって歩いていきます。でも、これからも優乃、美思、洸、ことり、この4人の応援を今後とも、よろしくお願いします。本当にありがとうございました。」── 玉川桃奈

瞳いっぱいに涙を浮かべながら、しっかりと自分の想いをマイクに乗せる桃奈。その言葉を終えて、客席から大きな拍手と「桃奈!」「ありがとう!」の声がかけられる中で、舞台袖から「大丈夫?」と、箱ティッシュを持って駆け込んでくることり。そんな姿に「準備いいね。」と、涙まじりの爆笑。「じゃあ、次の曲はそれずっと持って歌ったら?」という美思には「やだよ! 邪魔だよ! 感情入らないよ!」と、即ツッコミを入れる。しかし、こんなふうに桃奈を中心としたやり取りがステージ上で観られるのも、あと数分。

そして、「さあ、ということで、ラストの曲。最後なんでね、曲フリ……じゃんけんで。」と、なぜかじゃんけんで決めだすDream5。しかも、なぜか勝ってしまう日比美思。「なんかごめん」と謝る美思に、ことりは「じゃんけんですから! 平等ですから! みこっちゃん、ビシっと『シュンカシュウトウ』頼むよ!」と、意図的に曲タイトルを口に出して、一斉にツッコミを入れられてしまう。

こんなふうに、“どこまでも普段のドリ5なライブ”を作り出していく重本ことり。ただ、アンコール最後の曲「シュンカシュウトウ」が始まると、少しだけ、いつもと違う彼女の顔を観客は目にすることになる。彼女は、5人の中で誰よりも、卒業する玉川桃奈よりも、気を抜くと涙が零れ落ちそうになるのを我慢して、笑顔を作っていたのだ。客席に背中を見せるわずかなタイミングだけ、バレないようにそっと涙を拭っていた彼女の、いつもの元気で笑顔なDream5として玉川桃奈を送り出してあげたいという必死さと、己の感情で歌えなくなることを許そうとしないボーカリストとしてのプライド。一方で、曲タイトルを口にしてしまったのは、ラストソングの曲フリという大役を受けることになって恐縮する美思の気持ちを和らげようとするリーダーとしての気遣いもあったのだろう。

もっとも、どれだけ頑張ってあがいても、曲中、ことりの涙腺は崩壊を迎えてしまうのだが。

5人は瞳を潤ませ、まつ毛を濡らしながら、5人で最後の曲を歌い終える。別れを惜しむ声の中で「みんなのこと忘れません、ありがとうございました。」と手を振り、そして一礼して玉川桃奈はステージを降りていく。しかし、アンコールが終わっても、赤坂BLITZはなおも「桃奈」を求める声で埋め尽くされる。それは、影ナレの声をもかき消すほどの大きなものだった。

しばらくして、落とされていたステージの照明が再び明るくなる。大きな歓声に迎え入れられて「再び登場、伝説のダブルアンコール。でも、何も決めてなくて……。」と、ことり。5人はその場で軽く打ち合わせを行なって、ことりがステージ袖のスタッフに曲名を伝えに行く。そして「みんなタオルの準備してください。やっぱりアツアツで帰りたいと思います。もう一回盛り上がってください!」と始まったのは「Summer Rainbow」。観客からのコールはすべて「桃奈!」(洸もバク転2連続)。そんな玉川桃奈卒業スペシャルの「Summer Rainbow」で、赤坂BLITZはこの日、Dream5の決して色褪せることのない最高に輝いた瞬間を迎えたのだった。

「ありがとうございます。ダブルアンコール。2回目ですね、私たちがいただけたのは。夢のようです。ありがとうございます。私たちもですね、5人でライブするのは今日が最後だったんですが、何度も、何回目のワンマンライブですかね。そしてワンマンライブできなくて、いつできるんだろう、ってみんなでがむしゃらに頑張っていた時期があったんですけど。単独ライブからツアーからやらせていただいて。みなさんのお陰で、ここまで成長できたんだなーと、あらためて実感できてます。桃奈が決めた大きな夢ですけども、彼女は、デビュー当時の桃奈だったら、大きなね、こういう決め事はできなかったと思うんです。でも、みなさんのお陰で、桃奈も私たちもこうして成長することができました。本当に感謝しています。ありがとうございます。そして、明日かな? 5月からかな? わからないけど、桃奈はいなくなってしまいます。ということで、Dream5は4人で活動することになります。じゃあ5、一個たりないぞ? ってなると思うんですけど、今度からは、Dream5、4人はメンバー、残りの1は(ファンの)みなさんということでね。一致団結してこれからも活動を続けていくので、応援してもらえたらと思います。これからもよろしくお願いします。」── 重本ことり

text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)


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