【インタビュー】ファンキー加藤、「ライブの熱量を持ってレコーディングしたいと思って汗をかこうとブースの空調を切りました(笑)」

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■演技は一旦ミュージシャンという意識を捨てることにしました
■ミュージシャンという感覚でいると逃げ道になるなと思ったから


――熱さと温かみを併せ持った歌になっています。せっかくですので、映画『サブイボマスク』に関することもお聞きしたいです。最初に主演という話を聞いた時は、どんなことを感じましたか?

加藤:最初は、お断りしました。荷が重いと。いきなり主演なんてできないですと言って。僕は、過去に本当のチョイ役で、ドラマに出演したことはあるんですよ。僕の3rdソロ・シングル「太陽」が『ST 赤と白の捜査ファイル』というドラマの主題歌になって、第一話にバーのバーテンダー役で出たんです。その時は台詞はホンの2~3行で、話題作りの一環みたいな感じだったから、そんなにナーバスにはならなかった。でも、今回はレベルが違うというか。そんなビッグ・プロジェクトの主演、主題歌、挿入歌を自分が一人で背負うのは無理だと思って、実は一度お断りしています。


――その気持ちは、よく分かります。

加藤:面白そうな映画だから、関わりたいという気持ちはあったんですよ。一番良いのは主役じゃなくて3~4番手くらいの役で、主題歌も作らせていただくという感じだな…みたいな(笑)。それなら自分の立ち位置も活かせるし、あまり責任も負わなくて良いし、プロモーションもしてもらえるから。でも、脚本家さん、監督さんから熱意のこもったオファーを再度受け、事務所からの後押しもあり、最終的には事務所の社長にやれと言われました。断るのは、逃げだろうと。それで、腹を括りました。

――ミュージシャンはMVを撮ったりするので、ある程度演技ができるというイメージが世間的にあるみたいです。でも、MV撮影と本格的な演技は別ものですよね。

加藤:全く違います。僕も長年ミュージシャンをやってきているから人前で何かをするということに対して照れがないし、撮られ慣れているというのもあるから、ある程度対応できるかなと思ったんです。でも、全然違っていた。ミュージック・ビデオを撮ったり、音楽番組でカメラに向かって歌ったりするのは一方通行。こちらから想いを届けることで完結する。だけど、演技となるとキャッチボールになって、投げかけるのはまだしも、受け止め方が分からなくて。相手が喋っている台詞に対して、どうやって頷いて、どういう心境で、どういう表情で受け止めるか…というのが最初は分からなくて、とまどいました。


――そういうことに関して、誰かからアドバイスを貰ったりしたのでしょうか?

加藤:演技レッスンに通うことにしました。俳優になることを目指している20歳の男の子と女の子と同じ立ち位置で、それこそ発声から始めていって。一緒にレッスンを受ける中で、僕はミュージシャンという肩書を盾にしていることに気づいたんです。20歳の子達は、本当に熱心に演技の練習をされていて。そういう姿を見て、“俺はミュージシャンだから”と、どこかで言い訳をしている自分が恥ずかしくなって。それで、一旦ミュージシャンという意識を捨てることにしました。ミュージシャンという感覚でいると、逃げ道になるなと思ったから。もう一新人としてすべてを学ぼうという気持ちになって、そこから撮影が終わるまでの間は、音楽のことは一度忘れました。

――覚悟を決めたんですね。

加藤:そうじゃないと失礼になると思ったから。音楽の現場もそうだけど、映画の現場も沢山のスタッフさんがいらっしゃって、皆さんプロフェッショナルなんですよ。1シーンを撮るために照明を細かく調整するし、それこそ後ろの看板の位置を5センチずらしたりという風に徹底している。そういうプロの現場を見た時に、これは生半可な気持ちでやっていたら失礼だなと思ったんです。

――関わっているすべての人が深い情熱を注がないと、良い作品は生まれませんからね。撮影を終えて試写を観た時は、どんなことを感じましたか?

加藤:『サブイボマスク』はストーリーが素晴らしいし、共演者の皆さんの演技も素晴らしいし、印象的なシーンも多くて、素敵な作品だなと思いました。ただ、自分の演技は未だに客観的に見れなくて、どうなのかなという感じです。ただ、その時点での100パーセントを出すように、一生懸命がんばったつもりではいますけどね。

――そこに関しては、監督を始めとしたプロフェッショナルがOKを出したわけですから。

加藤:そうですね。それを信じたいと思います。

――話をうかがって、一層早く『サブイボマスク』を観たくなりました。今作を機に、もっと役者にも挑戦したいという気持ちになりましたか?

加藤:なりました。慣れない現場で精神的な疲労とかはあったけど、自分自身が甚平春雄という役にガッと入り込んだ瞬間から撮影が楽しくなったんです。自分ではない誰かの人生を疑似体験できるというのは魅力的なことだなと思って。そういう経験から音楽へのフィードバック云々というのは、まだ分からない。分からないけど、単純に加藤俊介として人生が豊かになるなと思って。だから、今後は演じるということにも積極的に向き合っていきたいです。

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