【ライブレポート】東京カランコロン、野音に刻んだ結成2534日のすべて

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東京カランコロンが2016年4月10日、日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ<東京カランコロン 祝!結成2534日アニバーサリーだよ全員集合! in YAON>を開催した。“結成2534日”というなんとも歯切れの悪い数字は、現体制による初ライブ、新宿Motion公演から数えてのもの。2016年1月には最新アルバム『noon/moon』をリリースし、2~3月に全国9ヶ所のツアーを周ってきた彼ら。本公演はそのファイナルという位置付けに加え、これまでの活動を包括する記念碑的なライブとなった。

◆東京カランコロン 画像



1曲目は壮大なリズムと美しい旋律が合唱を誘う「カラフルカラフル」でスタート。続いてインディーズ時代の1stシングル「少女ジャンプ」、『noon/moon』から「シンクロする」、『東京カランコロンe.t.』(2010年)収録の「マリメッコとにらめっこ」と、新旧の代表曲を交互に並べる。特に「シンクロする」からせんせい(Vo&Key)やおいたん(G)がステージ前方へ飛び出すなど、盛り上がりが加速していく。



「ウキウキエブリデイ」、「泣き虫ファイター」とライブが進行するにつれ、改めて東京カランコロンの良さを痛感させられる。それは観るものを笑顔にしてしまうということ。ポップな男女ボーカルはもちろん、せんせいがジャンプするなど小さな体をめいっぱい使って歌う姿は微笑ましく、佐藤全部(B)はMCの裏で観客と帽子を交換してしまうなど、あっと驚くパフォーマンスで沸かせる。


同時に、やはり強靭なライブバンドであるということも大きな魅力だ。いちろー(Vo&G)のエモいギター・ストロークやかみむー氏(Dr)の出音は場面によって観客を圧倒し、おいたんはキャリアを積む中で徐々に舞台上での存在感を増し、今やソロでは会場中の視線を独り占めしてしまう。だから彼らのライブは、バンドが売れない時代にあって着実に人を集めるのだ。



「みなさんでフォークダンスを踊りませんか!?」という言葉とともに「フォークダンスが踊れない」を披露した後、MCで初ライブ当時を回想。そして一番古い曲だという「ヴァージニアだったっけ?」を1音1音大切そうに演奏する。これは2009年リリースの1stデモCDの2曲目に収録されたもので、遊び心と少しの毒気を含んだ彼ららしい1曲。一番古い曲を彼ららしいと言えるのは、ブレずにここまで来たことの証明であろう。

2015年に中野サンプラザ公演を経験しているものの、この会場は過去最大級。にもかかわらず、自分たちがステージに立っているということをしっかりと自覚し、“観せる”ライブを届けてくれる東京カランコロン。




今回は野外ということで昼の部と夜の部に分けており、後半は和メロと浮遊したギター・リフが心地いい「スパイス」で口火を切った。夜の部ということで照明で雰囲気を作りながら、「ラブ・ミー・テンダー」、「It’s more wonder」と哀愁ナンバーをしっとりと歌い上げる。切ないメロディーが夕暮れの情景にぴったりだ。ここでメンバーは一度ステージを去り、なんとモノトーンの衣装へお色直し。そして「在日ファンクホーンズ」の後関好宏(Sa)、ジェントル久保田(Tb)、村上基(Tp)を招聘し、ブラック・フィール溢れるセッションから「じゃがいも殺人事件(with 在日ファンクホーンズ)」へ突入した。ホーン隊は次の「空中遊泳」にも参加。この編成での披露は初めてのことだ。



終盤は「ヒールに願いを」「いっせーの、せ!」「恋のマシンガン」とシングル曲、もしくはアルバムのリード曲を畳み掛け、あっという間に本編が終了。

振り返れば2534日のうち、メジャー・デビューしたのは2012年8月である。この3年強の間に、彼らはメジャー・レーベルに在籍しているからこそできる、たくさんのことを経験したと思う。そのうちの一つが、著名音楽家とのコラボレーションだ。「ヒールに願いを」は亀田誠治によるプロデュース、「恋のマシンガン」は蔦谷好位置によるプロデュース、また前半に披露した「泣き虫ファイター」は元チャットモンチーの高橋久美子が作詞を担当している。昨今メジャー/インディーの垣根がなくなったと論じられることも多いが、彼らが大きな舞台で戦ってきたことは決して無駄ではなかったのだと、この日のセットリストはそう言っているようにも感じた。




アンコールではまたもスペシャルな企画を実施。新曲「つよがリズム」の演奏風景をそれぞれの観客に撮影してもらい、後にミュージックビデオを制作するという試みだ。夜の野音に浮かぶ無数の液晶画面は、図らずもそれ自体が舞台装置であるかのように会場を彩った。そして、ラストは「バンドとしての底力を感じられた曲」と語った「ハロー(始まり)」。特にギター陣がアンプの目の前でギャンギャンにフィードバックさせながら、16分のストロークを必死にかき鳴らす様は、バンド全体の強さを象徴していた。

東京カランコロンは今後、6月と7月に自主企画<復活!ワンマ ソ2016>の開催を発表している。これからも彼らは、アンコールの舞台のようにファンの力を借りながらも、5人の強さと個性を生かし、どこまでも進めるはずだ。

取材・文◎秋摩竜太郎
撮影◎Taku Fujii

■<東京カランコロン 祝!結成2534日アニバーサリーだよ全員集合! in YAON>
2016年4月10日@日比谷野外大音楽堂セットリスト

【昼の部】
01.カラフルカラフル
02.少女ジャンプ
03.シンクロする
04.マリメッコとにらめっこ
05.ウキウキエブリデイ
06.泣き虫ファイター
07.フォークダンスが踊れない
08.ヴァージニアだったっけ?
09.CAN’T STOP 運命線
10.マチャアキとしっぱい
【夜の部】
11.スパイス
12.ラブ・ミー・テンダー
13.It’s more wonder
14.じゃがいも殺人事件(with 在日ファンクホーンズ)
15.空中遊泳
16.true! true! true!
17.16のbeat
18.ヒールに願いを
19.いっせーの、せ!
20.恋のマシンガン
【アンコール】
01.つよがリズム
02.ハロー(始まり)

◆東京カランコロン オフィシャルサイト
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