【検証】フジロックが20年愛され続ける理由 ~BEAMS編~「アウトドアのハードルを下げる気軽さを提供したい」

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■現代の人は、単に「高いものがいい」ではない
■600円の定食も30万円のレザー・ジャケットも、同じ目線で見ている

▲歴代販売Tシャツ一例(※現在は非販売)
(c)Disney
(c)&TM Lucasfilm Ltd.


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──これまでBEAMSは、フジロックとのコラボTシャツをたくさん作っていますよね。

土井地:そうですね。台湾やタイのお客様の中にはフジロックへ行ってみたいという人も多くて、現地でTシャツも販売したい/欲しいという声も届いています。去年はスター・ウォーズのTシャツでしたね。僕らは音楽好きの人に響くウエアやTシャツも作っていますが、フジロックへ行ったことのない人が「なんか面白そうだな」「今年の夏休みに行ってみようかな」と思えるようなものを作っているつもりです。

── あと苗場の会場では、肩から提げて背負えるオレンジ色のBEAMSショッピングバッグが目を引く存在で。

土井地:ありがとうございます。会場などでショッパーとして使われているオレンジのプラスチック バッグは毎年作っているんですが、あのオレンジ色って、実は毎年色味が少しずつ違うんですよ。

──(歴代の実物を見て)あら本当だ。

土井地:こだわっているんです(笑)。実はこのタイプの袋を最初に作ったのは、遡ること30年前なんですよ。30周年を機に、店頭では使っていなかったのですが今年待望の復活をしました。フジロックの実体験として、暑いし、寒いし、雨降るし、晴れるし…って着替えるのにも忙しいじゃないですか。現場で活躍しそうだということで作り続けています。毎年デザインが変わるので実用的なコレクターズ・アイテムとしてもいいなと思いまして。Tシャツもそうですが、「俺、昔から来てるよ」というアピールもできますしね。

── でも、そういった考えでは商売にならないのでは?(笑)。

土井地:確かにTシャツは毎シーズン新しいものを出しているのでお求めいただきたいというのはありますが、過去のアイテムを着ていただいている姿を見るのも嬉しいことですからね。普段から、僕らは自社を“マイナーメジャー”だと思っているんです。みんな知っている存在ではありますが、プロ中のプロだとは名乗りませんし、だいぶ大きくなってはいますが実際、中小企業です。集中して売れるものを売るだけということではなくて、たとえば4月下旬にオープンした新宿のBEAMS JAPANでは、いろんなジャンルの“日本の古き良きモノ”をセレクトし揃えていて、古いカセットデッキの販売などもしているんです。

── 素敵な光景ですね。


(c)&TM Lucasfilm Ltd.

土井地:フジロックではボランティアやセキュリティのスタッフTシャツも毎年提供させてもらっているんですが、Tシャツ欲しさもあって参加する人もいると聞き、それはとても嬉しいことです。本来であれば「物を売りたい」が一番に来るはずなんですけど、それ以前に「フジロックに参加したい」という気持ちが一番なので。

── なるほど。

土井地:それだけフジロックとBEAMSの精神は非常にフィットしているんです。現代の人の価値観は、単に「高いものがいい」ではないですよね。600円の定食も30万円のレザー・ジャケットも、同じ目線/同じ気持ちで見ています。頭が柔軟になっていろいろなものに興味が向くようになり、どんなカルチャーも各々で自由に楽しんでいる印象がある。フジロックでも、ホワイト・ステージに一日中いる人やオアシスでずっと呑んでいる人、入場すらせず場外にいる人も含めて、僕はそれでいいと思うんです。現場でBEAMSができることを考えた時に、フジロックには飲食事業もあるからと言ってオアシスで出店をするのは違いますし、アーティストを抱えているわけでもない。ファッションと音楽はとても近いものなので、ファッションを通してフジロックと何かが結びつく“きっかけ作り”を行うのがBEAMSの役割です。

── アパレルブランドでありながら、音楽はとても重要なものなんですね。

土井地:そうですね。Bギャラリー(BEAMS JAPAN)では、現在、浅井健一さんの個展も行っているんです。それにフジロックに参加していることは、社員にとっても仕事へのモチベーションに繋がっていると思います。「うちの会社、わかってるな」と自負できることは大切ですから。僕自身もフジロックから多大な影響を受けています。実は、そもそもスーパー・インドア派だったんですよ。

── インドア派?

土井地:ええ、それはもう。ずっとDJをやっていたり、レコードを集めていたりして音楽は好きでしたが、すっごく好みが偏っていたんですよ。エチオピアン・ジャズが好きだったり、90年代の頭からニューヨーク・ハウスなどを聴いていて。DJをやる際もハコの中で話が通じる人とだけその時間を共有したいっていう感じでした。でも、初めて参加した99年の苗場でフジロックの凄さに痺れまして。「こんな山にこれほどの人を集められるのか」「こんな機材でこんな音が出せるんだ」…と、自分がなんだかちっぽけだなと思ったんです。この体験は、自分の仕事にも影響しました。「人が集まるところには必ず理由がある」とか「支持されているものには必ず答えがある」ということをフジロックが教えてくれました。マスとコアが同時に同じ熱を上げる場所には、ムーブメントが起きるんです。

── なるほど。

土井地:だから、世界的にも注目されてこれだけ支持されているフジロックは、好き嫌い以前に、とにかく行って欲しいんです。特に野球に興味がなくても甲子園で泣けちゃうみたいな現象が、フジロックでも起こっていると思います。音楽に詳しい必要もなくて、そこにある熱量をただ感じるだけでいい。特に若い方に伝えたいのですが、家でぼーっとしていたり、居酒屋でダラダラ呑んでいるなら苗場へ行ってしまったほうが今後の人生のためにもいいんじゃないかな(笑)。人生変わりますよ。

  ◆  ◆  ◆

フジロックに立ちはだかる一番のハードルと言えば、やはり山の中という環境だ。そしてそのための重装備、重衣装。タウンユースのファッションも広く扱うBEAMSは、一般層の目線に立つことができるブランドとしてその障壁に着目し、自らが橋渡し役となっている。フジロック未経験者にはそこで提案される“気軽さ”もぜひ味方につけてみて欲しい。そして、モノを通じて世の中の動向を捉えてきたショップとして語ってくれたように、会場では、個々のセンスをフラットに自由に置いて、独自の楽しみ方を満喫することこそきっと掛け替えのない時間に繋がるはずだ。

いちサポーターが、フジロックにある敷居の高さに真っ向から対峙しアプローチしている現実には驚かされたが、「フジロックをサポートすること」とは、それほど両者の精神性の合致によるものなのだろう。つまりはサポーター企業もフジロックを作り上げる一員。実際フジロックの会場で、一辺倒なサンプリング運動や短絡的な宣伝によってせっかくのフジロック・ムードが汚されていないのも、各企業が利己的な打算に走らない/走れないことの賜だ。

また、今回の取材において、一連のサポート活動によって得られる最大のメリットは「物を売ること」ではなく「フジロックに参加すること」だと断言したBEAMSという企業からは、ファッションや物には熱いメッセージが宿っていることも教えられた。

取材・文=早乙女“ドラミ”ゆうこ
構成=BARKS編集部

  ◆  ◆  ◆

「FUJI ROCK FESTIVAL’16 × BEAMS」Tシャツ
[Yu Nagaba]



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[販売Tシャツ問い合わせ]
5月30日(月)よりBEAMSメンズカジュアル店舗にて発売スタート
※キッズ・ロンパースについては「こどもビームス」へお問い合わせください

■BEAMS T HARAJUKU
電話:03-3470-8601

■kodomo BEAMS
電話:03-5428-4844

<FUJI ROCK FESTIVAL'16>

2016年7月22日(金)23日(土)24日(日)
@新潟県 湯沢町 苗場スキー場
■チケット:2次先行販売中
※各券種、受付などの詳細はオフィシャルサイトへ http://www.fujirockfestival.co

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