パンクからキャラソン・アニソンまで、SONARを駆使するパフォーマー&コンポーザー、エンドウ.(GEEKS)の曲作りの秘密を聞く vol.2

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■オーダーはかなり大雑把、「明るくて!」「アゲアゲで!」……それ無限にできるわ!

―― 提供楽曲の制作は、「こういう曲にしてほしい」というオーダーがあると思うんですけど。どういうふうにいつもオーダーが来て、どういうふうにそれに応えるのか、そのへんを……。

エンドウ. そうですね。もう「完全におまかせ!」みたいのもよくあるんですけど……。だいたいはかなり大雑把ですよ。「明るくて!」「アゲアゲで!」「ライブで盛り上がるやつ!」とか。うわー、それ無限にできるわ、そんなの!

―― (一同爆笑)

エンドウ. でも、その後一応聞くんですよね。「なんかワチャワチャした感じっすか? それともなんかこう……」みたいな、いろいろこっちもどうしていいかわかんなくなって、聞き取りもしますけど。あとは「ヒーローっぽいもの」とか一言形容詞があるだけですごく定まるんですけど。なんかこう「学園っぽく」とか。音楽に対する指定が「盛り上がって・明るくて・速いやつ」とかだと無限にできちゃうので、あと1個世界観を教えてもらって、「はいわかりました、それでやります」って。あんまり詳しく聞かないようにしてますね。

―― たとえば、「ヒーローもの」って言われると僕だったら、渡辺宙明さんじゃないですけど、ティンパニがパーンッって入るみたいな、「トリトンか!」みたいなやつとか。、「あえて王道を行くか」とか「これは変えてみよう」とかいろいろ出てくると思うんですけど。

エンドウ. そうですねえ。だからそういう時は今風っぽいドラムビートに変えてみたりとか、ただ「パパパパーッ」みたいな古臭いホーンは入れて、ヒーローっぽさは出しつつ、ビートは「ドッツー ドッツー ドッツー ドッツー」みたいにしてみるとか。そういう感じで、なんとなくやってますね。ヒーローっぽくって言われても、みんなブラウン管のテレビで流れてた曲をそのまま欲しがってるわけじゃないので。


―― ああ。

エンドウ. ヒーローっぽいエッセンスの入った、今風の音だと思うので。だいたいそういうふうにして、細かい事は聞かずに、「こんなんでどうですか?」っ聴かせると「あっ、いいねいいね」みたいになったり、「もっとこうだよ」って言ってもらって直したり。そうですね。あんまり細かいことは聞かないです。

■鍵盤弾けない・音符読めない、MIDIは全部ピアノロールで

―― たとえばじゃあ、「こういう曲でお願いします」ってオーダーを受けたら、まず最初に何をするんですか?

エンドウ. 多いのがですね、「こんなヤツ」って言われてメールに動画のリンクが3つぐらい貼ってあるんです。「こんなヤツ! でもマネとかパクリになったら絶対ダメだから。こういう雰囲気を参考にして」って書いてあって。まあ、じゃあしょうがねえからって、一応見るじゃないですか? でも、あんまり見てると、そっちに寄ってっちゃうので。

―― ああ、なるほど。

エンドウ. 1回、2回見たら、「もう見ない! よし!」って。記憶だけで。自分が感じたあの雰囲気だけでやって、まずはギターを持ちますね。僕、鍵盤弾けないので。

―― えっ?

エンドウ. 弾けないんですよ。音符も読めないので。

―― それは今もですか?

エンドウ. 今もですね。ずーっと。。で、ギターを弾いてこう、ふんふんふーんってやって、なんとなく、ワンコーラスを頭のなかで考えるんですよ。

―― それはこの記事を読んでいる方は、希望を持たれるかもしれない。僕もすごいワクワクしてるんですけども。それでもあれが作れてしまうわけですね?

エンドウ. そうですね。僕、鍵盤ができなきゃいけないって思って、16鍵ですか、一番ちっちゃいやつ。これぐらいのを買おうと思って買ったんですよ。でもやっぱり一度も使わなかったので。ウチのドラムにあげちゃいましたけど。家に鍵盤ないんですよ、僕。

―― そうなんですか! すごい……だって、特にホーンとかいっぱいありますよね?

エンドウ. そうですね。全部、僕手で入力してますからね。

―― ピアノロールをマウスで?

エンドウ. ピアノロールです。ピッピッピッピッて。

―― じゃあ、音の確認はギターで、とか?

エンドウ. 音の確認はギターっていうより、最初の作曲段階でなんとなく鼻歌を歌うときに伴奏が必要なので、コードだけギターで弾くぐらいですかね。ほんとだったらみんなピアノでやるんでしょうけど。で、ふんふんふーんって考えた時に、一番最初にドラムを打ちますね。ドラムとベースを打ちます。ドラムやってなんとなく曲構成決めて「こうかなあ」って。で、なんとなくベースでコード進行だけ打てば……ルートだけ打っとけば、なんとなくガリガリの骨組みの曲が見えるので。そこから作っていきますね。

―― たとえば、一番最初の段階で仮のギターみたいなのは、なんとなく鼻歌といっしょに流しこんだりとかするんですか?

エンドウ. あっ、ギターは入れないですね。ギター録ると、ちょっと僕時間かかっちゃうんで。もっかいやろ、もっかいやろ、みたいな。本格的になってきちゃうんで。あと、テンポが変わったりコードが変わったり……、生楽器は面倒なので。なるべく最初は打ち込みで作りますね。で、だいたいの構成を作ってメロディを……メロディがだいたいリズムのあとだったりするんですけどね。メロディを入れたあとで、「あれっ、これキーがすごく高くなったけど、あの人のトップはいくつだ?」と思って下げたりして、「じゃあ、こうしよう」ってなんとなく決めてから入れますね。一番最後かな、ギターは。

―― たとえば、だいたいメロディが浮かんだなあ、コード進行はこんな感じだなあとメモをとって、じゃあDAWに向かうって段階で「ハイッ」ってなったらここからの作業は……。

エンドウ. いつもは、ドラム立ち上げて……。だいたいテンプレートで。ドラムがもうちゃんとマルチアウトにしてあってあとはベースと……ベースはTrilianを使ってるんですけど、ベースがあってっていう。

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