【ライブレポート】モーニング娘。'16 鈴木香音が笑顔で卒業。「最高すぎて、これ以上の感情が見当たらないの。私、すごい幸せものだわ!」

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大きな「香音」コールと、1万人のひとりひとりが灯す、鈴木香音のメンバーカラー=緑のサイリウムが揺れる日本武道館。ステージに設置されたモニターには、ファンのお手製のメッセージボードが映され、いよいよ鈴木香音の卒業セレモニーが行なわれるアンコールの時間がやってくる。

暗転したステージに人影。ライトがその姿を照らした時、彼女の好きな花、彼女のような花、いくつもの向日葵が描かれたドレス姿の鈴木香音が浮かび上がり、観客からは大きな歓声が沸き起こる。

「たくさんの方から支えられて、私は濃くて幸せな5年半を過ごすことができました。大切なことをいっぱい教わったので、私はこれからも自信を持って生きていけます。」

“みなさんに伝えたいこと”として、鈴木はこれまでの活動を支えてくれたスタッフ、メンバー、そしてファンへの感謝の気持ちを手紙にしたため、笑顔で読み上げる(手紙の全文は先に公開した記事『【手紙全文】モーニング娘。'16 鈴木香音「これからもずっとモーニング娘。のファンでいます。」』に掲載)。そして、卒業に際して、鈴木が自らセレクトした1曲は、モーニング娘。初代メンバー・福田明日香から伝統となっている卒業ソング「Never Forget」。過ぎていく時間の中で、彼女は向日葵のように、我々の前で光り輝いたのだった。

モーニング娘。'16メンバーがひとりずつ、鈴木にメッセージを送る卒業セレモニー。涙に濡れてしんみりムードの中でも「真莉愛、とっても嬉しかったです」と自分の持ちネタをぶっ込んでくる牧野真莉愛。小田さくらからは「鈴木さんは私の心の支えでした。鈴木さんがいてくれてよかった」と同期がいない中で、鈴木が相談相手だったことが明かされる。佐藤優樹は、鈴木の卒業発表を聞かされて「よっしゃあ! もう怒られない!」って思ったとぶっちゃけて会場を爆笑させつつも、怒られた裏側にあった鈴木の愛情に気づいて涙する。「笑顔の連鎖」を絶やさないと誓った石田亜佑美に、鈴木と「一生の付き合いをしていきたい」と語った飯窪春菜。「これからは、メンバーじゃなくて、お友達に、なりましょ?」と、焼き肉の約束を取り付けた生田衣梨奈。そして、譜久村聖は「……ハグしていい?」と、メッセージを送る前に鈴木に一旦甘えて、そして「香音ちゃんのキラキラの笑顔が大好きだから、明日から11人のモーニング娘’16になるけど、そのキラキラなままで。……ギラギラで、明日から頑張るから。」と、鈴木が安心して卒業できる、ギラギラなモーニング娘。を作ることを約束した。

アンコールは、最新曲「泡沫サタデーナイト!」、そしてこの夜のラストソング「愛あらばIT'S ALL RIGHT」へ。鈴木からのメッセージが入ったハート型の緑色の風船も空から舞い降りてきた日本武道館で、鈴木香音は、約5年半にわたるモーニング娘。としての活動に終止符を打った。最後の最後まで、彼女は、そのトレードマークの笑顔を絶やすことはなかった。

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ところで卒業前日、アンジュルム田村芽実の卒業公演を観覧した後に鈴木は自身のブログを更新し、気持ちを綴っていた。

「私は不器用だからか、感情を隠す事が苦手なんです。だから、ただの鈴木香音っていう、アイドルじゃない普通の女の子な私を多く見せてきてしまったんだと思います。」

「私にとっては、ファンの方々…というより、1人1人の人との大切な出会いだったんです。」

「こんなに自分の素を出してきてしまった私だけど、だからこそ、いち人間として、自信を持つ事が出来ました!」

アイドルという“仮面”をつけての活動だったなら、自分の気持ちをもっと簡単に整理することができたかもしれない。しかし彼女は、その仮面をつけることなく、ひとりの女の子として、モーニング娘。の活動をしてきた。でも、そんな自分を受け入れて応援してくれる人がいたからこそ、それが自信につながり、自分のことをちゃんと考えることができるようになり、そして次の人生への決断をすることができた。

トレードマークと言われるほどに、彼女の笑顔が多くの人に受け入れられたのも頷ける話である。それはつまり、多くのアイドルがファンに対して向けるそれではなく、むしろ素の、普通の女の子として、心の底から自然に溢れるそれだったから。彼女が言葉の壁を超えて世界で愛された理由も、もしかしたらそこにあったのかもしれない。

モーニング娘。としての日々をアイドルとしてではなく、女の子として嘘偽りなく過ごしてきた鈴木香音は、公演終了後、正真正銘、普通の女の子に戻った。次の人生もまた、その向日葵のような笑顔に溢れる日々であってほしい。そう願うばかりである。

「最高すぎて、これ以上の感情が見当たらないの。出会えてよかったです。私、すごい幸せものだわ!」── 鈴木香音

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
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