【インタビュー:中編】フルカワユタカ、Base Ball Bearを語る「兄気心というか親心」

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フルカワユタカとBase Ball Bearによる対バンライブが本日6月18日、下北沢Gardenにて開催される。<play with B>と題されたフルカワユタカ主催ライヴは自身のソロに加え、Base Ball Bearのサポートギタリストとして1日2ステージで臨むものとなる。

◆フルカワユタカ/Base Ball Bear 画像

御存知のとおり、Base Ball Bearは3月2日、オフィシャルサイトにてギタリスト湯浅将平の脱退を正式発表した。同時に、3月5日スタートの全国ツアー<LIVE BY THE C2>および<日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2~>はフルカワユタカをサポートギタリストに迎えて開催することもアナウンスされた。フルカワユタカサポート参加告知やツアー中の一幕については、自身のオフィシャルブログやBARKS連載コラムで触れられていたものの、そこに至る経緯やBase Ball Bearメンバーとのやり取りについては、これまであまり語られることがなかった。が、サポートはフルカワユタカでなければならない理由があったようだ。

BARKSでは、“ART-SCHOOL対バン”インタビューに続き、その中編として“Base Ball Bearサポート”インタビューを敢行した。フルカワユタカの発言は深く、取材中も慎重に言葉を選びながら質問に答えてくれた姿が印象的。後輩バンドとそのギタリストに対する優しさ溢れるインタビューをお届けしたい。ちなみに、先ごろ公開した【BARKS連載:フルカワユタカはこう語った 第8回】のラストカットは、<VIVA LA ROCK 2016>出演時のBase Ball Bearのステージを見守るフルカワユタカだった。敢えて説明書きはしなかったが、この一枚にも彼の人間くささが溢れている。

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■正義感とか責任感というよりも
■僕が弾いたほうが湯浅もイヤじゃないのかなと

──Base Ball Bearのツアーにサポートギタリストとして参加することになった経緯から教えていただけますか? フルカワさんのオフィシャルブログでは「彼らのマネージャーから連絡を受け、一旦断りましたが再度オファーを受け、悩んだ上で引き受けました」とありましたが。

フルカワ:脱退した湯浅とはすごく仲が良くて。というか、むしろ湯浅とだけ仲が良かったんですよ。そもそもBase Ball BearとDOPING PANDAは、昔はマネージメントも部署も一緒でしたし、入った時期もほとんど同じだったんです。と言っても歳はだいぶ離れているし、DOPING PANDAはすでにインディーズでの実績があったので、後輩って言えば後輩ですよね。

──では、DOPING PANDA時代から付き合い自体はあったと?

フルカワ:いや。僕も当時は尖っていたので、なかなか他のバンドと仲良くなることはないんですよ。あの頃の僕ら世代のバンドって、“絶対負けねーぞ”みたいなムードがありましたよね。イベントとかで他のバンドと楽屋で会っても、メンバー同士ではキャッキャ言ってるのに、他のバンドの前では目頭尖らせてるみたいな。木下理樹とだけはホント例外(笑)。

──他のバンドとは火花バチバチみたいな?

フルカワ:そう。だからBase Ball Bearともそういう感じで。DOPING PANDAの全国ツアーのときは、地方のオープニングアクトで出てもらったりもしたんですけど、まぁ仲良くはならないですよ。僕らから話しかけることはないし、Base Ball Bearも若くて人見知りだったので。

──では、湯浅さんと接近することになったのは?

フルカワ:現Base Ball Bearのマネージャーは、DOPING PANDAの初期マネージャーなんですよ。彼と僕は昔から飲み仲間で。彼がきっかけで湯浅と遊ぶようになったのかな? 具体的な出会いは覚えてないですけど。


──BARKSの連載コラムでは、「アイツにも何度かギターを教えて欲しいと頼まれたが、一緒に腕立て伏せをしたり、発声練習をしたり、あとは教えない理由を教えたりした」と記されていたように、湯浅さんとの関係には深いものがあったようですね。

フルカワ:僕がソロになってからも、イベント的な感じで一回サポートギターとして出演してもらったこともあったし、Base Ball Bearのライブによく行っていたのも、そのマネージャーとか湯浅から誘われたからだったんですよね。だから、Base Ball Bearの相談事も聞くようになっていたんです。「今、アルバムを録ってるんですけど、ギターでちょっと悩んでて」とか「小出くんが作曲に煮詰まってて」とか、まぁバンドっていろいろあるじゃないですか。それに対しては、軽くアドバイスする程度で、直接的にバンドと関わることはなかったんです。それが、この2月ですよね……。

──Base Ball Bearは3月5日の仙台公演を皮切りとする全国ツアーを控えていたこともあって、脱退発表はその直前となったわけですが、同時に「元DOPING PANDAのフルカワユタカ氏をサポートに迎え、ライブを敢行いたします」というアナウンスがありました。フルカワさん本人に訊くものどうかとは思いますが、なぜフルカワさんだったんでしょう。

フルカワ:これはスタッフに後々聞いたことなんですけど、以前から小出くんと僕をつなげたいと思っていたらしいんですよ。まぁ、僕の性格も小出くんの性格もマネージャーはよく知っているので、そういう機会がなかったというか。理由がないと一緒に音を出すこともないわけで。もちろんBase Ball Bearには湯浅っていうギタリストがいましたし。で、湯浅が参加できなくなったときにそういう話があったという流れで。

──ブログには、「一旦断りましたが再度オファーを受け」とありました。断った後に紆余曲折があったわけですね。

フルカワ:「メンバーは、フルカワさんにお願いしたいと言っている」と、ベボベのマネージャーから電話が掛かってきたんです。「小出くんも?」と聞いたら、「小出が、「フルカワさんにやってもらいたい」と言ってる」と。しかも、ベボベのマネージャーには恩があって。というのも、僕はDOPING PANDAを解散して事務所を出たんですけど、戻ってくるきっかけを作ってくれたのもそのマネージャーだったので。

──マネージャーに報いる気持ちと、ギターを弾くのがフルカワさんなら湯浅さん自身も納得するかなという気持ち、ですか?

フルカワ:Base Ball Bearのメンバーと同世代の湯浅の知らないギタリストが弾いてツアーを廻るよりも、僕が弾いたほうが湯浅もイヤじゃないのかな、とは思いましたね。それは正義感とか責任感というよりも、本当にそう思えて。

──おそらくBase Ball Bearファンにとっても、そうでしょうね。

フルカワ:そうですね、それもありました。

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