【ライブレポート】cinema staff 三島「愛のない奴には絶対負けない」

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cinema staffのアルバムリリースツアー<cinema staff oneman tour 2016 “about eve”>のファイナル公演が6月18日に東京・Zepp DiverCityにて開催された。

◆cinema staff 画像

今回のツアーは自身5枚目のフルアルバム『eve』をひっ提げての全7公演。また、この日のライブはニコニコ生放送で中継も行なわれ、全国からの視聴者がニコ生で彼らのライブを見守った。


メンバー三島想平の「俺たちが岐阜県から来ましたcinema staff、始めます」というオープニングコールとともに、1曲目は最新アルバム収録の「希望の残骸」からスタート。流行りにとらわれず、シンプルなステージ構成で記憶に長く残る良い曲を出そうというコンセプトは彼らの良い意味で変わらない部分だ。ライブ部分をニコ生やCD付属のDVDで気前よく見せてくれることも多い彼らだが、もし一度も生音を聴いたことがないのなら一度は現場へ足を運び、脳細胞をクリアにしてcinemaの生音に耳を傾けてみてほしい。三島のストイックなベース、久野洋平のシャープでパワフルなドラム、辻友貴の衝動的なギター、飯田瑞規のクールさと優しさを併せ持つボーカルと、現場ではそれぞれの確立したパフォーマンスが巧みに絡み合う様を聴き分けることができる。


飯田のボーカルも伸びやかな「theme of us」「切り札」などの疾走感ある楽曲で固めた序盤を経て、中盤「lost/stand/alone」からは音圧をぐっと上げ、エッジーにかき鳴らす。続く「世紀の発見」で4人がダイナミックに音を止め、久野のドラムから他の3人がぐっと音を押し出すプレイも鮮やかだ。ちょっと懐かしいナンバー「ニトロ」では観客もクラップからのコールをあげ、会場には心地よい熱気が流れていた。


MCでは、ボーカルの飯田が「(このツアーの)大阪や名古屋の公演で、お客さんが笑顔で見てくれていることに初めて気づいたんですよ。今まで余裕がなかったのかも。こんなに楽しそうに見てくれてるんだね」と、ここ2・3本のライブで急に視界が広がったことを明かした。久野が「結構最近だね」と合いの手を入れると会場からは笑い声が。さらに久野は「(ツアーの)1本目が100パーセントで、段々パーセント上げて最終的には200パーセントになってるんですよ。今日は350パーセントで」と途中から一気に飛躍した数字で仕上がりのよさをアピールする。

今回のライブで特に印象的だったのは、中盤で披露された「person on the planet」だ。『eve』にも収録されているこの曲は、ソングライティングを担当している三島の極秘リサーチに基づく“cinema staffに足りない曲=横ノリでフェス受けする曲”というニーズを埋めるべく生み出された曲とのこと。終始開放感のあるミディアムチューンに観客から自然と湧き上がるクラップ、そしてコール&レスポンスをレクチャーする三島のテンションがかつてなくチャラいことも手伝って、これまでのcinema staffのライブではほとんど見られなかった“フェス感”で会場の観客全体が躍動し始めた。

ここで「世田谷区を、救急車が走ります」という三島のアナウンスから、辻が突然しゃがんでサイレン付きのヘルメットをかぶる。サルゲッチュのピポサルならぬピポ辻の出現だ。cinema staffの持ち味であるエモいメロディにパンクな歌詞がのった「crysis maniac」で暴れた4人だが、続く「第12感」ではシリアスに攻めサビで観客のコールを引き出していた。


後半戦では辻と辻の元カノのことを歌っているという「エイプリルフール」を皮切りに、しっとりとしたパートへ突入。cinema staffの楽曲はアルバムを重ねるごとに、4人の突き詰めたやりとりを経てどんどん明るくなっていっている。ディープな浮遊感がたまらない「AIMAI VISION」まで披露したあとには、「想像力」から激しいラストスパートへ。「GATE」では観客のシンガロングが会場を満たし、三島のMCを経てcinema staffの新境地を感じさせる讃歌「overground」で本編を締めくくった。

「『eve』はすごく楽しく作れたアルバムでした。発見がすごく多くて、一番多くのチャレンジと、これからどういう表現をしていきたいか、ひいてはどういう生活をしていきたいか、ライフスタイルまで話し合って作ってきた決意・生き様の結晶みたいなものになったと思います。それが僕らを支えてくれる、僕らに愛を注いでくれる皆さんにとって、素敵なものだったら幸いです。

僕は皆さんが笑っていたのは、結構前から気づいてました。(会場笑)皆さん本当にありがとうございます。僕達みたいな衣食住じゃないところの仕事には何が大切かって、ちょっと恥ずかしいこと言いますけど愛ですよ。愛なんです。全部。支えてくれる人達や音楽自身への愛。僕達は音楽を通してですけど愛していける仕事だと思いますし、ひいては愛こそ全てじゃないかと思う仕事です。これからも僕たちは愛をこめて音を鳴らしていきたいと思います。愛のない奴には絶対に負けないですよ」 ── 三島想平(cinema staff)

アンコールでは、最初に出てきた久野が観客の笑顔に向けて「ガラにもなく泣きそうになっちゃいましたね」と思いをこぼす。すっかり熱気あふれる会場で披露されたのは「AMK HOLLIC」、三島がギターを弾いてからの「優しくしないで」の2曲。

感動的に締めるかと思いきや、この日はツアーファイナルということでダブルアンコールに突入。飯田が面白イントネーションで「アリガトウ!」を連呼した挙句「ニコ生どうせ映ってねえし!プレミアムだけだし!」と言い放つなど一気にノリが怪しくなり始める(4人中、三島と久野がプレミアム会員とのこと)。なお辻はアンコールの段階で3回はギターを置いて観客にダイブしていたが、破壊的なシャウトと悪ノリが冴え渡るラスト曲「Poltergeist」ではシャツを脱ぐに飽きたらず靴もズボンも脱いでパンツ1枚でギターを弾ききり、そのまま何も着ないで普通にステージを去った。

cinema staffは今月から夏にかけ、各地の対バンイベントやフェスに出演する。また、10月22日には地元・岐阜にフィーチャーした自主企画イベント<OOPARTS>を開催。こちらにはcinema staff・ART-SCHOOL・アルカラ・tricot・夜の本気ダンス・delta sleep (from UK)・Shift Controlら7組の出演が決定した。オフィシャルサイトでのチケット先行受付は6月26日23:00までとなっている。

写真:ヤオタケシ

セットリスト<cinema staff oneman tour 2016 “about eve”>6月18日 Zepp DiverCity公演

SE.
01. 希望の残骸
02.theme of us
03. 切り札
04.exp
05. lost/stand/alone
06. 世紀の発見
07. ニトロ
08. person on the planet
09. crysis maniac
10. 第12感
11. エイプリルフール
12. somehow
13. AIMAI VISION
14.想像力
15. deadman
16. 西南西の虹
17. GATE
18. YOUR SONG
19. underground
20. overground
EN1.AMK HOLLIC
EN2.優しくしないで
WEN1.Poltergeist

<cinema staff presents“OOPARTS 2016”>

2016年10月22日 岐阜CLUB G
http://ooparts2016.tumblr.com/

5th FULL ALBUM『eve』

2016年5月18日発売
・初回限定盤PCCA.04380/¥3,600(税抜き)
・通常盤PCCA.04381/¥2,600(税抜き)
収録楽曲
1. eve
2. 希望の残骸
3. エイプリルフール
4. lost/stand/alone
5. 切り札
6. somehow
7. crysis maniac
8. person on the planet
9. 境界線
10. deadman
11. AIMAI VISION
12. YOUR SONG
13. overground
■初回限定盤 DVD収録内容
cinema staff「waypoint 2015」
2015年12月2日 豊島公会堂 ライブ映像

◆cinema staff オフィシャルサイト
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