【ライブレポート】℃-ute、℃ONCERTOツアー終了。岡井千聖、22歳の抱負は「現状維持」

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<℃-uteコンサートツアー2016春 〜℃ONCERTO〜>が、6月20日の日本武道館でファイナルを迎えた。ダブルアンコールを含めた全24曲で構成されたライブは、℃-uteの10年を超える経験と培ったスキルで観客を圧倒する一方、6月22日のバースデーイベントをもって活動を一時休止し、声帯結節の手術を受ける岡井千聖への誕生日サプライズなども行なわれるなど、℃-uteとteam℃-uteだからこその空間を生み出していた。

◆<℃-uteコンサートツアー2016春 〜℃ONCERTO〜>画像

天井に吊るされたシャンデリアと真紅の幕が荘厳な雰囲気を醸し出すステージ。ショータイムの始まりを告げる「Overture(℃maj9)」で、5人のシルエットが浮かび上がると、詰めかけた観客は一斉に大きな歓声をあげて応える。そして℃-uteは、スパンコールを散りばめたコルセット風衣装に身を包んで、ドラマティックな「男と女とForever」に「人生はSTEP!」、そして「羨んじゃう」とライブをスタートさせていく。体全体を使ってセクシーな曲線美を強調したり、椅子を使ったパフォーマンスで大胆に魅せたりと、大人なステージングに冒頭から誰もが視線を釘付けとなったのは言うまでもない。

矢島舞美と岡井千聖による「心の叫びを歌にしてみた」では、客席の間を移動するトロッコが投入される。その近い距離感にファンが熱狂すれば、メンバーも目を見て、手を振って応える。全員の衣装チェンジが終わり、無数のペンライトの森の中に浮かび上がるような「大きな愛でもてなして」。さらにセンターステージに移動しての「都会の一人暮らし」では、ファンと近い距離でテンションが上がった鈴木愛理の場位置を修正するかのように、後ろから笑顔で衣装の裾を引っ張る岡井の姿も観られるなど、興奮の度合いはオーディエンスだけではなく、メンバーからも伝わってきた。

「Kiss me 愛してる」では、センターステージの5人が次々にフォーメーションを変え、四方向を向いて披露する。ステージ上で複雑な動きをしていたため、メンバー同士がぶつかるのではないかとも思ってしまったが、そんなことは一切なく、なんともスムーズに、文字通り“クルクル”と方向を変えていく様は、まさにハロー!プロジェクトNo.1のパフォーマンス集団といったところ。あらためて℃-uteというグループの持つ恐ろしいほどのパフォーマンス力の高さをこれでもかと見せつけられてしまう。

また心配されていた岡井の喉も、(トークでは若干異変を感じられるものの)歌に大きな影響はなく、そのパワフルな歌声で“ライブハウス武道館”を揺らしていた。

中盤のMCでは、翌日が22歳の誕生日当日となる岡井千聖へのバースデーサプライズが行なわれる。岡井千聖、萩原舞、中島早貴が衣装を変えるために、ステージ上ではすでに着替えた矢島舞美と鈴木愛理がふたりでトーク。℃-uteのツアーファイナルなのに雨が降らないことを悔しがる鈴木愛理と、「すごくない? 晴れ女ってハッピーだね。」と、“ハロプロ最強の雨女”(だったはずの)矢島舞美は嬉しそう。

そんなトークの最中に、今回のライブに参加していたハロプロ研修生たちが「シーッ!」と、人差し指を口元にあてながらステージへとやってくる。何を勘違いしたのか、「(自分たちのトークに対して)静かにしてください?」と訊ねてしまう矢島舞美。続けてバースデーケーキが運び込まれると、すべてを悟った会場1万人のteam℃-uteは、誰一人驚きの声など発することをしない。空気を見事に読んでサプライズに協力するteam℃-uteだったが、「みんなってすごいねー! これがteam℃-uteだな!」と、そんな姿にいきなりひとりで感心し、言葉にしてしまう矢島。「そういうことをさ、言わないのがさ、いいと思うよ。」と、隣りの鈴木愛理も、1万人のteam℃-uteも、このリーダーに苦笑である(なお余談だが、矢島はライブ開演7分前に駆け込みで白米だけを食べたそうだ)。

そして3人の着替えが終わり、“今日の武道館のスター”岡井が最後にステージイン。ステージ上のケーキを目にして「わっ! びっくり!」と声を上げる。全員で岡井の誕生日を祝うと、岡井は、「千聖が(ステージに)出ていこうとしたらさ、なっきぃが千聖の腕を掴んで、『中島が先に行けって言われてる!』って言ってきて。何? って思ったの。で、(中島が、ステージ袖にある暗幕を)バサッと被せてきて。何やってんのこの人……って思ったら(笑)」と、ステージ袖で繰り広げられた一部始終を暴露。サプライズ成功の裏には、中島早貴による事前バレを阻止するための涙ぐましい抵抗もあったのである。

22歳の抱負を訊かれた岡井は「現状維持。現状維持は大切。」と一言。今後も引き続き「みなさんを楽しませられるように頑張りますので、よろしくお願いします。」とコメントした。そして鈴木愛理からのリクエストに応える形で、22歳を迎える岡井がケーキを前に「にゃんにゃん(22)」と可愛らしくポーズをとると、岡井のメンバーカラーの緑に一面染まった武道館の客席からは冷やかしの声が飛んでいた。

白を基調としたドレスに衣装チェンジをしての「Summer Wind」からは、幻想的な雰囲気の中でスローバラードを並べ、聴かせる℃-uteで魅了していく。「夜風のMessage」で、武道館のステージに浮かび、5人を柔らかく照らす満月。奇しくも6月20日はストロベリームーンである。

色とりどりのペンライトの光とともに、再び武道館が躍動していく「Midnight Temptation」に、発光するアイウェアをかけて、まさにタイトルどおりデジタリックな演出を見せた「デジタリック→0(LOVE)」。赤く染まるステージで、鈴木愛理と岡井千聖のパワフルなボーカルが一気に吹き上がる「悲しきヘブン(オリジナル)」で、観客はソウルを激しく揺さぶられ、引き込まれると「嵐を起こすんだ Exciting Fight!」で、5人は惹きつけた観客のハートを強烈に煽っていく。「情熱エクスタシー」で中島早貴が「声出していくよ!」と言い放つと、激しいコールが響き渡る。オーディエンスもペンライトを高く掲げてクラップ、そしてジャンプを繰り返す。そしてここに℃-uteのライブにおける超テッパン曲「まっさらブルージーンズ(2012神聖なるVer.)」「Danceでバコーン!」を並べて、5人と1万人が生み出す熱量が日本武道館を突き上げんとするほどに、中島早貴の腰つきよりも激しいほどの最高潮へ。

そして汗だくになりながら5人も全力で楽しんだ「超WONDERFUL!」で、本編は締めくくられた。
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