【インタビュー】リック・ニールセンが語る、『クラシックロックアワード』日本上陸

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ジェフ・ベックにチープ・トリック、さらにはリッチー・サンボラとオリアンティが同じステージに? そんな信じられない光景を、この秋、日本で見られることになる。これは11月11日(金)、東京・両国国技館で開催される『クラシックロックアワード2016+ライヴパフォーマンス』の場で実現するもの。そのタイトルが示す通り、当日は、権威ある賞の授賞式と、受賞者たちのライヴという二部構成によるショウが行なわれ、豪華な出演者たちによる一夜限りのコラボレーションが実現することになるという。

◆『クラシックロックアワード』出演アーティスト第1弾 画像

このアワードは、英国の『クラシックロック』誌の主催によるもので、今年で第12回を迎えるもの。参考までに、2015年度のバンド・オブ・ザ・イヤーにはAC/DCが、またアルバム・オブ・ザ・イヤーにはアイアン・メイデンの『魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ』が選ばれている。当然ながらその授賞式が日本で執り行われるのは史上初ということになる。


この画期的な催しの実現に先駆け、去る5月末には、第一弾の出演者として発表されたチープ・トリックのギタリストであるリック・ニールセンが単身来日。六本木にある高層ビルの一室で取材に応じてくれた彼は、いつものように「どこまでが本気でどこからが冗談?」と問いたくなるような独特の話術で、このイベント出演について語ってくれた。

「コニチワ。こうしてまたチープ・トリックのことが大好きなやつ(=筆者のことである)と再会できるのは嬉しいことだ。日本にはそういうやつがたくさんいてくれる。えっ? 今回日本に来た理由? 見当もつかない(笑)。だって誰も説明してくれないんだ。いや、本当は『クラシックロックアワード』の件で来た。5年前、ロンドンで俺たちは『クラシックロック』誌の企画するこの賞をもらったことがあるんだ。『at武道館』に対してね。グレイトな気分だった。チープ・トリックは長いこと、賞というものに縁がなかったからね。『ロックンロール・ホール・オブ・フェイム』以前は、1回か2回しかもらったことがないと思う。で、今から2~3ヵ月前のことなんだけども、“リック、日本に行きたいか?”という申し出が先方からあったので、“当たり前じゃないか!”と答えた(笑)。俺は飛行機で長時間座ってることくらい我慢できる男だぜ、とね(笑)。で、実際こうして東京にやって来た。聞くところによると、11月11日、相撲のアリーナでプレイすることになるようだ。もちろんその時はバンドも一緒だし、演奏もする。相撲をするわけじゃない。ニュー・アルバムの曲もプレイすることになるよ!」

クラシックロックという言葉は年々よく目や耳にするようになってきたが、その定義については不明瞭なところもある。また、なかにはそう呼ばれることをあまり好まないミュージシャンもいるようだ。そう告げるとリックは次のように答えていた。

「年寄り扱いされてるような気分になるやつも、おそらくなかにはいるんだろう。でも、それは仕方のないことだ。俺にとっては単なる現実だからな(笑)。でもまあ、その定義については『クラシックロック』誌の誰かに聞くべきだろうし、俺がとやかく言うべきことじゃない。ただ、クラシックというからには品格があるというか、とにかく長いこと続いてるものじゃないと条件は満たさないよな。しかも単に長続きしてるだけじゃ駄目だ。長く存続しながら、しかも世の中に強烈なインパクトを残したことがあるもの。それが、クラシックロックとしての条件の一部だと思う。チープ・トリックはそれを満たしてるんじゃないのかな。ただ、もちろん俺たちはお前も知っての通り、現役バリバリだけどな!」

彼の発言中にもあったように、チープ・トリックは今年、ついにロックンロールの殿堂入りを果たしている。4月に行なわれたその授賞式の際には、リックは「スピーチをまとめるのに困った」のだという。「なにしろ50年にも及ぶ俺自身のキャリアについて1分間で喋れって言うんだから(笑)」と。しかし当然ながらその栄誉を彼は喜んでおり、次のようにも発言している。

「まさに完璧なタイミングでの受賞だった。というのも、ちょうどマネージャーが変わり、ドラマーが変わり、新たに契約を交わし、まさに新しい人生が始まったところだからな。素晴らしい新章の始まりだ。しかも相変わらず俺はグッド・ルッキングなままだし(笑)」

来年にはデビュー40周年を迎えるチープ・トリック。これまでには紆余曲折も経てきたが、去る4月にリリースされた最新アルバム『バン・ズーム・クレイジー・ハロー』は、まさに新たなマスターピースと呼ぶに相応しい躍動感に満ちた作品だ。長年のドラマー、バン・E・カルロスの姿こそそこにはないが、今作からはリックの実の息子であるダックス・ニールセンが正式に参加。まさに新たな歴史の始まりを象徴する作品でもあるのだ。

「ダックスについては、最初のうちは臨時起用のつもりだったけども、結果的に彼はここでフルタイムで叩くようになった。あいつにとっても良かったと思うし、もちろんそれはバンドにとっても良い判断だった。実際、彼のおかげでバンドは良くなっている。そもそも俺は、自分の息子だからという理由で彼を雇ったわけではない。ホントにいいドラマーだから声をかけたんだ。今回のアルバムがこうした躍動感のあるものになったことについては、ドラマーが変わったことによる部分も大きいと思う。つまりダックスが叩いているということがね。この新しいエンジンはとても性能がいいし、文句も少ないんだ(笑)」

というわけで、話しが続くほどに笑うに笑えない話が出てくるリックとの会話はこのへんで止めておくことにするが、常にライヴ活動を絶やすことのないこのバンドは、当然ながら現在も全米ツアー中。11月、両国国技館のステージでもライヴ・バンドとしての絶対的な魅力を堪能させてくれるに違いない。もちろん2017年には結成40周年記念にちなんだスペシャルな出来事も期待したいところだが、まずは最新アルバムを熟聴しながら、『クラシックロックアワード』での再会を待つとしよう。そして、この先第二弾、第三弾と発表されることになるはずの、このイベントの出演ラインナップにも注目したいところだ。

取材・文◎増田勇一





■『クラシックロックアワード2016 +ライヴパフォーマンス』

2016年11月11日(金)  東京・両国国技館
時間:17:00開場 18:00開演(予定)
▼出演アーティスト
ジェフ・ベック、チープ・トリック、リッチー・サンボラ、オリアンティ and more…
※出演アーティストについてはオフィシャルサイトにて順次発表されます。
http://classicrockawards.jp/

◆クラシックロックアワード2016 オフィシャルサイト
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