【インタビュー】家入レオ「『WE』には東京に出てきてからの1stアルバムという感覚がある」

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家入レオが自身のターニングポイントとなるニューアルバム『WE』をリリースする。日本テレビ系土曜ドラマ『お迎えデス。』の主題歌に起用された「僕たちの未来」、月9ドラマ『恋仲』の主題歌になり、幅広い世代に支持された「君がくれた夏」、そして映画『ペット』(8月11日公開)のイメージソングに起用されることが発表された、「Brand New Tomorrow」の3曲を含む全12曲。17才でデビューした家入レオが自身の殻を破り、20才の女子の素顔も解き放ったのが本作である。2016年の今、この瞬間を生きている自分が歌いたい曲、鳴らしたい音を表現したというアルバムはアーティス写真のとおり、色に例えると新たな始まりをイメージさせる“白”だ。その心境の変化、スタイリッシュな楽曲に挑戦したという曲のエピソードについて、たっぷり話を聞いた。

◆家入レオ~画像~

■以前は生活感を曲の中に出すのがイヤだったんですが
■今回は日常的な私がたくさん散りばめられています


──4thアルバム『WE』を聴いていて、次にどんな曲が出てくるんだろうとワクワクしました。凛とした魅力をそのままにさまざまな顔を見せてくれますね。

家入レオ(以下家入):今回のアルバムが完成してホントに気持ちが楽になったんです。人は誰でも陰と陽の部分を持っていると思うんですが、私の場合、デビュー以来、陰にスポットが当たりがちで。もちろん、それも間違いではないんですが、「私も友達と遊園地に行ったり買い物に行ったりしますよ」って言っても曲のイメージのせいか驚かれることが多かったんですよ(笑)。

──浮世離れしたイメージがあったのかも。

家入:これまでは生活感を曲の中に出すのがイヤだったんです。そういう気持ちも今回は解き放ったので、日常的な私がアルバムの中にたくさん散りばめられていると思います。

──なぜ生活感を出すことに抵抗があったのですか?

家入:もっと強いこと、深いことが歌いたかったんです。観念的な意味で“愛って何だろう?”とか。日常を歌うのは格好良くないっていう美学が自分の中にあったんです。“ありがとう“だったら言えるんだけど、“愛してる”っていう言葉を言うときの日常のシチュエーションが描けなかったり。


▲『WE』(初回限定盤)


▲『WE』(通常盤)

──『WE』の収録曲「シティボーイなアイツ」には下北(下北沢)が登場しますけど、そういうことですか?

家入:そうです。

──そんな自分の中の殻を破った時期の曲というと?

家入:曲でいうと「僕たちの未来」ですが、気持ち的に大きかったのは「君がくれた夏」ですね。リリースした時期にスタッフさんから、「メディアを通して見る家入レオも素敵だけど、実際に接している時の家入レオも魅力的だよ」って言われて、その言葉がすごく響いて「もっと私、挑戦していこう」「ありのままでいよう」って思う様になって。その出来事があってからプロデューサーの多保孝一さんを始め、いろいろな人とコラボできるようになりました。

──もっとありのままの家入レオを出したほうがいいというアドバイスもアルバムに反映されているんですね。

家入:はい。私自身は自分を出しているつもりだったので最初は「何が違うんだろう?」と思ったんですけど、「そうか。みんなと普通にしゃべっている時のまんまでいいんだな」って。以前はカメラを向けられると緊張して固まっちゃってたんです。「自然に笑えないし、どうしよう」って思っていたのがクールでちょっと攻撃的なイメージに映っちゃったんでしょうね。今は結果や世の中の見え方も昔よりは気にしなくなったし、『WE』では“こういう明るい部分もあるんだよ”ってちゃんと表現できたと思っています。

──そのあたりの心境の変化と『WE』という複数形のタイトルも関係しているんでしょうか?

家入:そうですね。1stアルバム『LEO』は西尾芳彦さんの支えがありつつ、自問自答しながら作ったということもあって、タイトルを自分の名前にしたんですが、今作では多保さんやミュージシャン、アレンジャー、エンジニアだったりと多くの方々が関わってくれて、みなさんからいろいろなエッセンスをいただいて曲がどんどん成長していったんです。もちろん、私のことを応援してくれるファンのみなさんの存在はいちばん大きかったので「一人で作ったんじゃない。みんなで作ったんだ」っていう想いがあって『WE』にしました。

──前回のインタビューでも、希望や未来=ファンの人たちだって気づいたって話してくれましたものね。

家入:はい。「僕たちの未来」がなかったら、このアルバムはできなかった。それぐらい転機になった曲ですね。自分の中で『WE』は東京に出てきてからの1stアルバムという感覚があるんです。これまでは福岡に住んでいた頃の青春の葛藤をどこかで引きずっていたと思うんですよ。音楽面においても、昔から大好きなビートルズはいつの時代も名曲として評価されるから、自分もそういう曲を作っていきたいと思っていました。でも、私は2016年に音を出しているんだから、今という思う音を出したいって。東京でいろんなアーティストのライヴを見るようになって「スタイリッシュなことをしたいな」と思ったのが『WE』には反映されているし、新たなことに挑戦できた1枚になりました。

──ちなみに中でもチャレンジだと思う曲は?

家入:「シティボーイなアイツ」ですね。

──個人的にかなりツボな曲です。

家入:嬉しい! この曲はポップ・エトセトラ(POP ETC)のChristopher Chuが編曲してくれているんですけど、キッカケは自分が好きなGalileo Galileiというバンドのアルバムをプロデュースしていたからなんです。「私の曲もアレンジしてくれないかな」と思ってオファーしたら、いい返事がいただけて実現したんです。かなり80'sなテイストの曲でそういう意味でもチャレンジだし、歌詞も自分の日常が見えるといいなと思って書きました。“LINEぐらいな軽さで”という歌詞が出てくるのは私が最近やっとLINEを始めたからなんです(笑)。

──ヴィンテージボーイに恋しちゃったっていう内容の歌詞ですよね。

家入:そうですね。今ってシティボーイ・リバイバルじゃないですけど、アナログのレコードだったり、コーヒーのいれ方にこだわっている男のコが増えていますよね。私自身も下北沢にレコードを買いに行くし。後半に出てくる描写はニルヴァーナのカート・コバーンのイメージなんです。なぜか、ニルヴァーナには縁があって、初めて買ったエレキギターもムスタングだし、ジャック・パーセルもよく履いてるんですよ。“胸ポケットにはウィンストン・ライト”っていう歌詞もカート・コバーンが吸っていたタバコなんです。

──モデルがカート・コバーンだったとは! ライヴでクラップしたり、踊れたりする曲調という意味では「Party Girl」にも驚きました。“っていうかマジメだと誤解してない?”とか“お嫌いにならないでね”とか今までのレオさんになかった言葉使いをしていますよね。

家入:はい。この曲は2人組のエレクトロユニット、80KIDZに参加してもらって華やかで派手なサウンドにしています。ライヴで盛り上がる曲にしたいと思って作った曲です。明るい家入レオも表現できたらいいなと思って。

◆インタビュー(2)へ
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