【インタビュー】パレードパレード「一番できることを出し合った結果、シティーポップと呼ばれるようになった」

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札幌のライブ・シーンで注目を集めていた逸材が、ついに決意の上京&全国デビューだ。パレードパレード、略称パレパレ、平均年齢24歳。リスナー層の限られるロックでもダンスでもアイドルでもなく、あらゆる世代に届く歌とメロディを追求する正統派ポップバンド。初の全国流通盤となるサード・ミニアルバム『Squall』には、70年代からのグルーヴィーなシティーポップスの系譜と、90年代J-POPの持つ華やかさをブレンドし、2016年に生きるポップスとして仕上げた会心の一作だ。ライブ当日のリハーサル前、昼下がりの吉祥寺の喫茶店。大松沢ショージ(Vo&Key)と松本晃貴(G)に話を訊いた。

◆パレードパレード 画像

■ずっと歌ものでした。歌が主体になってる音楽が大好きです。(大松沢ショージ)
■歌ものポップスって、僕が高校生ぐらいの時にあまりいなくなっていて、ロックバンドが流行ってきた時だった(松本晃貴)


▲大松沢ショージ(Vo&Key)

──はじめまして。みなさん、出身は札幌ですか。

大松沢:地元は札幌じゃないんですけど。(松本は)高校進学のタイミングで札幌に行って、僕は大学進学のタイミングで札幌に引っ越して、そこで出会ったんです。

──もともとは?

大松沢:帯広です。

松本:僕は寿都町です。人口3000人の町です。

──北海道のバンドって、独特の空気感を持ってる気がする。透明感、スケールの大きさ、シンプルな強さ、屈託のない素直さとか。抽象的な言い方だけれども。

松本:北海道のバンドを自分が聴くと、北海道っぽいなと思うんですけど。自分のバンドは、どうなのかな。ロックをやっている人には、北海道っぽさをすごく感じますね。

──たとえば?

松本:モノブライトさんとか、北海道っぽいなと思います。北海道で何回か、見てたのもあるかもしれないですけど。

大松沢:もっと先輩になると、玉置浩二さん、吉田美和さん、大黒摩季さんとか。時代のせいかもしれないですけど、歌謡系を歌ってる方も多いんじゃないかと思います。

──玉置さん、プロフィール資料の“好きなアーティスト”に入ってますね。ショージさん。

大松沢:むちゃくちゃ大好きです。

──二人は、どんな音楽が好きだったんですか。

松本:バンドを始めるまでは、ビジュアル系が大好きでした。GLAY、LUNA SEA、La’cryma Christiとか、あこがれてましたね。ポップスが好きだったんですけど、ビジュアル系ってけっこうポップスのニュアンスというか、聴きやすいメロディがあるので。もともとWANDSとかTRFとか、90年代感のあるポップスが大好きで、小さい頃よく聴いていたので。それが歌もののバンドをやろうということにつながったと思います。

大松沢:もうちょっと前だよね。まだ生まれていない頃とか。

松本:レベッカとかPERSONZもすごく好きで。このバンドを始めてからは洋楽を聴くようになって、やっぱりギタリストなのでブルースに傾倒して、影響を受けました。

──ショージさんは何を。

大松沢:J-POPばかり聴いてました。ピアノ教室に通って、ちょこっとだけクラシックもやったりしたんですけど、バンドをやろうと思ったきっかけというか、一番ハマッたのがaikoさん。ピアノで曲を作っているし、演奏もピアノ主体だし、生の楽器の音をしっかり出しているのがすごく好きで。僕もこういう音楽をやりたいなと思ったタイミングで、歌をやってる友達とバンドを組んだんです。中3の学校祭で。そのバンドは高3までやっていて、ずっと歌ものでした。最近も、ポップスを聴くことが多いです。秦基博さん、星野源さんとか、歌が主体になってる音楽が大好きです。

──歌ものポップスというのが、キーワードですかね。このバンドの。

松本:僕のお母さん世代が、“90年代は歌が良かったんだよ”ってよく言ってたんですよ。確かにそういう歌ものポップスって、僕が高校生ぐらいの時にあまりいなくなっていて、ロックバンドが流行ってきた時だったので。僕はそういう歌ものが大好きで、メンバーも共感してくれて、歌を中心としたバンドを組もうというのは最初にありました。

──同世代に、そういうバンドは?

松本:札幌でライブしてた時の対バンにも、似たようなバンドはいなくて、ロックバンドの中に僕らがいる感じになってました。

大松沢:ロックなバンドが多いひとつの理由として、鍵盤を弾いてる人が、札幌にあまりいなかったので。僕は当時から曲作りをしてる中で、ある程度音楽理論は学んだつもりだったので、ちょっと小難しいこともしつつ、鍵盤じゃないと出せないような和音をかっこよく響かせたいなとか、これはギターだけのバンドにはできないぞ、とか。そういうところをポップスとして出していきたいということは、昔から意識しているし、今もそういう気持ちはあります。

──同じ鍵盤でも、シーケンス的に使ったりするバンドも多いけれど。ショージさんはとても鍵盤らしい弾き方をする。

大松沢:そういうところは、aikoサウンドというか、僕のルーツだと思います。

──aikoさんって、アレンジは誰でしたっけ。

大松沢:島田昌典さんがずっとやっていて、最近は違う方がやってます。バンドでボーカルを始めるまでは、サウンド・プロデューサーでキーボーディストになりたかったので、島田昌典さんにずっとあこがれてました。

──島田さんは、最近だといきものがかり、back numberとか。そうか、そう考えると、みんな歌ものだ。それとファンキーな感じ、ギターのカッティングであったり、グルーヴィーなリズムの感覚は、山下達郎さんとか、角松敏生さんとか、好きだろうなと思ったんですけどね。そのへんって、ルーツにありますか。

▲松本晃貴(Gt)

松本:実は18、19の頃に、10個ぐらい年上の人とバンドをやってたんですけど、それがどファンクバンドで、踊りながらやるバンドで。なので僕がファンクを死ぬほど好きで研究したというよりは、2年間先輩に怒られ続けながら、ひたすらカッティングをやっていたというエピソードがありまして。

──それだ!(笑)

松本:だから、死ぬほどアース・ウィンド&ファイアーが好きというわけじゃなくて(笑)。そういうルーツがあるわけでは無いのですが、カッティングが得意だという気持ちはあります。

──面白い。ショージくんは達郎さんとか、日本のファンクやソウル、AOR、シティーポップとかを意識して聴いていた時期はあった?

大松沢:そうですね。山下達郎さんは聴いてましたし、でもめちゃくちゃハマッたという感じでもなくて。カッティングと16ビートがうまく絡み合っていたりとか、ああいうかっこよさは好きなので、取り入れたいんですけど、ずっとそれにしたいというわけではないので。島田さんみたいな、歌のポップスの中にそういうニュアンスのものを取り入れたいという気持ちで、アレンジはしてますね。

──ああ。なるほど。

松本:今話してて気づいたんですけど、ショージくんは島田さんみたいな方法が、たぶん出会った時に一番できることで。僕が出会った時に一番できることが、たぶんカッティングだったんですね。一番できることを頑張って出し合った結果、シティーポップと呼ばれるようになった感じはあるかもしれないですね。

──面白い。そうしようと思ったわけじゃなく、そうなってしまったと。

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