【ライヴレポート】ROOT FIVE、逆境を乗り越えた全国ツアーに幕

ツイート

ROOT FIVEが、7月24日東京・品川ステラボールにて<ROOT FIVE STORYLIVE 2016「序」~舞闘絵巻~>のファイナル公演を行なった。

◆ライヴ画像

オフィシャルから届いたレポートをお届けする。

  ◆  ◆  ◆

人は、誰もが平穏な人生を望み、それを理想とする。もちろん、そうであることが、1番の幸せとされるのかもしれない。しかし。平穏とは真逆にある、逆境や挫折を味わったときにこそ、人間は成長という喜びを手に入れる事が出来るのだ。

7月24日。品川ステラボールで全国24ヶ所24公演のツアーを締めくくったROOT FIVEは、それを証明してくれたように思う。今回彼らが行なった、3月11日からの『ROOT FIVE STORYLIVE TOUR 2016「乱」〜國盗草子〜』と、5月15日からの『ROOT FIVE STORYLIVE TOUR 2016「序」〜舞闘絵巻〜』という4ヶ月に渡るツアーは、まさにマイナスからプラスを生むという事例であったと言い切ってもいいだろう。

2015年の10月末にメンバーの蛇足が脱退するという、グループにとってはこれ以上にない大きな痛手を負ったROOT FIVEにとって、今回のツアーは、マイナス要素をプラス要素に変えることが出来るのか、はたまたマイナスをマイナスのまま終らせ、未来を塞いでしまうことになるのか、明暗を分ける大きな分岐点となる重要なツアーであったのだ。

故に失敗は許されなかった。彼らは今回のツアーを【STORYLIVE】と銘打ち、自らに負荷を与えた。それは、単に楽曲を届け、オーディエンスと盛り上がるといった通常のライヴとは異なり、通常のライヴと、鬼若丸(石城)、平清盛(藤谷)、源義経(江川)、那須与一(駒沢)に扮した4人が記憶を失った状態で平安時代へとタイムスリップするという、日本の歴史を独自にアレンジしたストーリーで演じて魅せていくライヴと芝居を共存させた、まったく新しい企てであったのだ。彼らがこのツアーを成功に導くために費やした時間は想像を遥かに越える。「役者」としての経験がほぼない石城結真(みーちゃん)、駒沢浩人(koma’n)はもちろん、ソロ活動で俳優業を経験している藤谷慶太朗(けったろ)、江川直樹(ぽこた)にとっても、本格的に殺陣を取り入れたステージは初であったことから、周到な準備が必要であった。


万全の体制で初日を迎えるはずだった。しかし。更なる試練が彼らを襲う。2016年1月末、このツアーの見せ場となる殺陣の稽古中に、江川が左目を負傷しドクターストップ。診断は絶対安静。これを受けて4人体制の初ライヴとしていた1月31日の公演は中止(延期)。3月11日の柏を皮切りに全国24ヶ所で行なわれるはずだった『ROOT FIVE STORYLIVE TOUR 2016』の内容はすべて白紙に戻され、急遽内容を変更し、コントと16の国(ツアーの本数)の天下統一を試みるSTORYLIVEで必要となる心技体ゲームを組み込んだ『ROOT FIVE STORYLIVE TOUR 2016「乱」〜國盗草子〜』、5月15日のEX THEATER ROPPONGI公演からは『ROOT FIVE STORYLIVE TOUR 2016「序」〜舞闘絵巻〜』と、2本立ての【STORYLIVE】へと構成を変えていったのである。

マイナス要素をプラス要素に変える事が出来るのか。はたまたマイナスのまま終息へと向かうことになってしまうのか——。

彼らにかかった負荷はあまりにも大きかった。しかし。その結果は明。誤解を恐れずに言うのなら、再起をかけた命がけのツアーであったからこそ、彼らはこの結果を手に出来たのかもしれない。



7月24日。ファイナルとなった品川ステラボールに立った4人が魅せた、ROOT FIVEの新たな基軸【STORYLIVE】は、『ROOT FIVE STORYLIVE TOUR 2016「序」〜舞闘絵巻〜』の初日であった 5月15日のEX THEATER ROPPONGIを遥かに越える最高のステージとなったのだ。上記のような困難に立ち向かい、この後半戦の『「序」〜舞闘絵巻〜』にかける想いは、彼らの中でより色濃いものとなっていったのだろう。1曲目に届けられた、6月8日にリリースされたニューシングル「参乱-MAIRAN-」でも、このツアーの初日にはリリース前であったが、このツアーを経て大きく成長した姿を見せつけてくれたのだ。

【STORYLIVE】とあって、全編がセットリストというよりは、1つの演目として届けられることから、曲順やライヴ自体の流れは初日と同じであったのだが、やはりライヴと芝居の共存とあって、1本1本が“生のライヴ”なのである。同じ型で演じられた殺陣も、初日の緊張感とはまた違った、この日にしかない重厚な緊張感へと変化していた。さらに、彼らは決められた台詞にアドリブを加え、1回だけではなく何度も足を運んでくれたファンたちも楽しめるように、その日にしか見られない芝居を届けてくれたのだ。また、実際の彼らの状況にもリンクさせてあるストーリーであることから、今現在のリアルな彼らの心境を窺い知ることができ、深く胸を打たれ、熱いものが込み上げてくる場面も幾度かあった。そんなところこそも、紛れもない“ライヴ”だったのである。


江川の怪我もあって、殺陣に向かう彼らの目は真剣そのものであるのに対し、芝居やライヴの中ではカッコイイだけじゃない、オーディエンスを笑顔にさせたいという彼らのセンスと優しさが感じられた。これもまた、誤解を恐れずに言わせていただくが、はっきり言ってROOT FIVEはカッコイイだけのグループではない。カッコイイだけは3日で飽きる。彼らはそれぞれが抜群の歌唱力を持ちながらも、それを見せつけるようなことはしない。この日も、長台詞と殺陣、見事なフォーメーションとパフォーマンス、そして聴き手を惹き付ける見事な歌唱とダンスで盛り上げるのだが、時おり曲中、急に江川と駒沢が妙な踊りを始める。オチサビを歌うメンバーをイジり、歌えなくさせる。そんなプッっと吹き出してしまいそうな“ダサさ”を盛り込んでくるのだ。これこそが彼らの手口。反則技の確信犯である。しかし、彼らの場合、その素顔こそが反則技というところが、カッコイイのである。

アンコールを届け終わり、完全燃焼した彼らにオーディエンスは、大きな拍手を贈った。ダンサーや殺陣の相手役としてこのステージを共に支えてくれたアンサンブルメンバーと、しっかりと手を握り合い、深々と頭を下げる4人。そんな姿からは、彼らがこのツアーに、そしてこのファイナルのステージに、すべての想いを注いでいたことが伝わってきた。オーディエンスは、全身全霊をかけ、4ヶ月間戦い抜いた4人に鳴り止まない拍手をおくり続けたのだった。

彼らが生み出した【STORYLIVE】は、この先、ROOT FIVEの1つのスタンダードとなっていくに違いない。独自の新たなエンターテインメントを生み出したROOT FIVE。終演後には、2016年11月9日にこの公演のDVDが発売されることも発表され、ここからが本格的な4人でのスタートとなる。彼らの未来に期待という言葉をおくろう——。



text:武市尚子

◆メンバー コメントページへ
この記事をツイート

この記事の関連情報