第一興商が、松本市・信州大学と共同で退職後男性の生きがいづくりのための介護予防・健康増進プログラム「スポーツボイス大学院」実施を発表

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▲写真左より:第一興商 執行役員 エルダー事業開発部長 戸塚圭介氏、信州大学 人文学部 准教授 長谷川孝治氏、松本市 商工観光部 健康産業・企業立地担当部長 平尾勇氏、GOLDWAX 代表取締役 東哲一郎氏

2016年8月9日(火)東京丸の内「日本工業倶楽部会館」にて、第一興商・松本市・信州大学共同記者発表会が行われ、介護予防・健康増進プログラム「スポーツボイス大学院」の実施に関する記者発表が行われた。

これは、閉じこもりが心配される定年退職後の男性を対象として2015年に第一興商・松本市・信州大学の「産学官」が連携して松本市で実施された、集団で全身運動、声帯ストレッチや腹式呼吸に重点をおいたボディ&ボイストレーニングを行うプログラム「スポーツボイス大学院」の実証実験による成果を踏まえて行われるもの。第一興商が松本市の「退職後男性の生きがいづくり」事業を受託する形で2016年9月から2017年3月まで、松本市の福祉ひろば5地区において介護予防・健康増進プログラム「スポーツボイス大学院」が実施される。


この日の発表では、松本市 商工観光部 健康産業・企業立地担当部長 平尾勇氏から松本市の取り組みについて挨拶があった後、信州大学 人文学部 准教授 長谷川孝治氏から、閉じこもりがちな定年退職後の男性に対して「スポーツボイス大学院」が寄与する効果について解説が行われた。

続いて第一興商 執行役員 エルダー事業開発部長 戸塚圭介氏より、同社の生活総合機能改善機器「DKエルダーシステム」と今後の事業展開について説明された。このシステムには、介護予防・健康増進に役立つコンテンツが400以上搭載されているが、集団で歌を練習し、発声練習として筋力トレーニングを行う「スポーツボイス」が加わるという。また、介護予防・健康増進のコンテンツプログラムを効果的に役立てるため、インストラクターの育成も行っていることもアナウンスされている。「DKエルダーシステム」は現在、介護施設を中心に約2万カ所に導入されているとのこと。

ここで、2016年2月21日(日)に松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)にて行われた「スポーツボイス大学院」松本市3地区合同発表会の模様がビデオ上映され、ヨーロッパ「ファイナル・カウントダウン」をBGMに、スーツ姿で「マイ・ウェイ」や「アメイジング・グレイス」を歌う参加者たちの凛々しい姿が紹介された。


後半には、「スポーツボイス」の開発者であるGOLDWAX 代表取締役 東哲一郎氏により、「スポーツボイス」の実演・解説がスタッフと共に行われた。東氏によると、「スポーツボイス」は自身が20年ほど前にアメリカで超一流歌手のツアーメンバーと一緒にレコーディングをしたときに、あまりにもその歌の技術がすごかったため、日頃どんなトレーニングをしているのかを考えて開発されたものだという。男性スタッフと共に行われた「スポーツボイス」の実演では、音楽に合わせて体を動かしながら口を開いて横隔膜を動かしたり、ストレッチしながら声帯を伸ばす方法、声を出す方法等を披露した。一見してもかなり激しい運動量を感じさせるものだが、松本市で行われた際に参加した人たちは毎回1時間ずつ汗を流して発表会までトレーニングを続けたそうで、単なるボイストレーニングではなくアスリート的な肉体の使い方が、参加した男性たちのやる気を掻き立てていたのではないかと感じさせた。


また東氏によると、発表会では「カッコイイ」ということを1つのキーワードとしていたため、選曲にもこだわっていたとのこと。「例えば、『紅葉』みたいな童謡を歌ったら、普通の高齢者のコーラスと変わらないじゃないか、ということになりますよね。そこで、洋楽のスタンダード曲を取り入れました。英語の歌詞については、最初は嫌がる人もいたんですが、“やっぱり英語の方がカッコイイ所を見せられるかもね”って話して歌ってもらったんです。でもそれがいかにも無理した日本語英語だとカッコよくならないと思ったので、若い人が聴いてもカッコイイと思えるように、「マイ・ウェイ」なんかの英詞をカタカナに直してカッコよく聴こえるように歌ってもらいました。他には、「アメイジング・グレイス」や「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」を歌いました。参加者の方からはザ・ビートルズの「ヘルプ!」や「レット・イット・ビー」というリクエストもあったんですけど、ちょっと難しいところもあって、今回はスタンダード曲を選んだんです。最後は全員で日本語で「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)を歌って、すごく盛り上がりましたよ。」(東氏)

第一興商は10月には、高齢者の介護予防や健康増進に役立つ生活総合機能改善機器「DKエルダーシステム」に、「スポーツボイス」を新たなエルダーコンテンツとして搭載する予定。

「スポーツボイス」搭載でよりコンテンツが充実したDKエルダーシステムを活用し、全国の自治体で高齢者の外出機会創出や地域コミュニティの形成に役立てたいと考えている。

取材・文・写真:岡本貴之

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