モノ作りの祭典<Maker Faire Tokyo 2016>レポ第2弾、ドローンで音をコントロール、お掃除ロボでDJ、扇風機で音楽!?

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世界最大のDIYイベント<Maker Faire Tokyo 2016>レポ第2弾。シンセサイザー、MIDIコントローラーを中心に取り上げた第1弾に続き、さらにバラエティに富んだ楽器・音楽関連の出展を紹介する。

■ドローンの動きに合わせて光と音を演出


▲網越し&あまりに速すぎてわかりにくいが、中央右あたりの緑の光が飛行中のドローン。床にはテープ状の照明装置がある。ドローンの動きに連動してこの照明と音がコントロールされる。

<Maker Faire Tokyo 2016>の目玉の1つとなっていたのが、「FPVドローンレース」。小型のドローンがコースを周回し、タイムを競い合うスリリングなレースだ。レース場では、ドローンの動きに合わせて音と光をダイナミックに変化させるデモフライトも行われた。スピード感あふれるアクロバティックなフライトとともに、刻々と変わる光と音楽がその場を盛り上げる演出には、大きな拍手が起こった。「FPVドローンレース」の演出協力として名を連ねていたのがヤマハ、そしてこのデモフライトに使われていたのが、AMEIの「Creators' Hub」というプログラムだ。

AMEI(一般社団法人音楽電子事業協会)は、電子楽器間の演奏情報転送に使われるMIDI規格の新仕様・新企画の検討・制定・管理などを行っている業界団体。そのAMEIが、MIDIのほかOSC(OpenSound Control)、Web Socketを流れるJSONなど、異なるプロトコルやアプリケーションのメッセージを相互に変換するために作成したのが「Creators' Hub」。これにより、音楽や映像などさまざまなメディアデバイスが連動した作品制作が容易になる。音楽に通じた開発者はMIDIを、VJプログラムなどを手掛けるプログラマーはOSCを、ウェブ、スマホで開発を行っている人はJSONをといった具合にそれぞれが得意な分野を担うことで、これまでにない創作活動が可能になるのだ。

その一例として今回提示されたのが、ドローンのフライトデモ。ドローンのコントローラーからの信号を受信機-Arduinoを介してパソコン上のCreators' Hubに送信、MIDIに変換してシンセサイザーを演奏、OSCで照明機器を制御するというのがおもな仕組み。Creators' Hubにより、今後さまざまなデバイスがつながっていくことが実感できるデモとなっていた。


▲左はシステムの一部。音楽を奏でていたのはヤマハのフラッグシップシンセサイザーMONTAGE。


▲左はデモフライト中のPCの画面。RUDDERとTHROTTLE、2つのメーターが動き、これを基に音楽や照明が変化する。写真右は受信機とマイコンボードのArduino。PCに信号を送る役目をする。

■かわいい楽器から、扇風機、お掃除ロボット、たわしまで!

<Maker Faire>の会場内はいくつかのゾーンに分かれており、楽器・音楽関連の出展の多くは「ミュージック&サウンドゾーン」に集まっている。子供が喜びそうなかわいい楽器から、映像と音楽のシンクロ、一見音楽とは関係なさそうなお掃除ロボットや扇風機を使ったぶっ飛んだものまで、ユニークなアイディアに満ちた出展が揃っていた。ここではスポンサーゾーンはじめ他のゾーンの出展もあわせて紹介する。

▲奇楽堂&Companyのブースにあったのは、パンチカードとハンドルで動かすアナログMIDIシーケンサー。学研大人の科学の手回し鳥オルガンを改造。空気で鳴らすのではなく、新たに取り付けたLEDと光センサーによる検出結果をArduinoでMIDIに変換してMIDI音源を鳴らしているという。写真右は楽器関連イベントではおなじみ、宇田道信さんの電子楽器「ウダー」。最新版はCPUの高速化により短いタッチも確実に検出できるようになったとのこと。演奏中は人垣ができ、終了後は大きな拍手が。


▲Raspberry Piを使ったDJ用デジタルバイナルシステム(DVS)を展示していたのはDm9 Records。買うと高いDVSも自作なら安く済むのが制作のきっかけ。Raspberry Pi 3用のI2Sオーディオインターフェイス、DJ用のアイソレーター、ミキサーなども。


▲こちらもDm9 Records。左はツマミ、LED、スイッチが各4個付いたUSBコントローラーを制作するキット。その場ではんだ付け、制作できるハンズオンも実施。右はLEDマトリクスペンダント(キット販売)と「プヨーっと音が鳴るマシーン」。電池とスピーカー内蔵で確かにプヨーっと音が鳴る(謎)。


▲打楽器の演奏と映像の見事なシンクロを超小型のワイヤレスセンシングデバイスで実現していたのがShow4(ショーフォー)。子供にも大人気だったこのシステム。ドラムに取り付けたセンサーの信号をデバイスが受信、Bluetoothでスマホに送信、専用アプリで映像をポン出しする。デモではスマホの映像をプロジェクターに出力し、バスドラムに映していた。ドラムを叩く際の強さの検出は64段階。0~30までは映像A、31から50までは映像Bといった指定ができるので、ドラムセットや演奏者に合わせた調整が行える。


▲お掃除ロボットのルンバでDJをしていたのはDum6 Sen5e。「Create 2 DJ Turntable II」はiRobotルンバを用いたアナログ・ターンテーブル。ルンバのメンテナンス用端子とArduino(写真下)を使いコントロール。PCに接続したMIDIコントローラーのボタンを押すと、ターンテーブルが逆回転(もちろんルンバも逆回転)、スクラッチまで可能。自動車の自動運転プログラムを使っているとのこと。すごい!


▲左はu.kokolabによるウェアラブル心セサイザー「Cardiaction!」は着用者の心電波形からも音源を生成。模様の鍵盤が実際に引けて、ツマミでシンセの音色変化も。右は昼用な音を得るために電子回路から作るDIYバンド「The Breadboard Band」のブース。ArduinoとサウンドライブラリMozziのためのシールド基板「mobileBB shield for Mozzi」は販売も実施。


▲扇風機をギターのように抱えて演奏(?)していたのは和田永「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」。扇風機には羽の代わりに右の穴の空いた円盤を取り付け、後ろから光を当てる。羽の穴を抜けた光をCdSという光を検出する部品で受け取り発音する。穴の空け方でスケールが変わり、回転速度でピッチが変わる。


▲デジファブギター工房はパソコンのデータからレーザーカッターでカットしたMDFの板を重ねて作ったギターを展示。少ない手間で好きな形にできるのが利点。ただし意外と重い。一番右は万力を用いたネックやボディが存在しないギター。万力で挟めればどんなものもギターになってしまう!


▲blues walkerは折りたためるエレキギター(ケースはアンプ内蔵)や3つの鍵盤ハーモニカを使い足踏みで空気を送れる楽器(これも折りたたんで箱にしまえる!)を展示。手回しオルガンや木製のスマホ用スピーカーなども。


▲R-MONO Labの作品。左は鍵盤をたたくとMIDIで制御されたソレノイドが水滴をドロップ、その水滴に同期してサウンドと映像がリアルタイムに生成されるアート作品、水滴ドロップ「WALTER MIDI」。水面に見えたと思った波紋は、水槽の底にあるMacBookのディスプレイに表示された映像だった。右上は16ステップのトレモロ・エフェクター、右下は自走型たわし。バッテリー内蔵モデルとソーラー発電モデルがラインナップ。


▲R-MONO Labのハイブリッド・リコーダー・パイプオルガン。RP-103とRP-09。リコーダー9本を使ったRP-09のフットプリントはA4サイズしかない。空気を送るのは人力(右上のポンプ使用、ある程度空気が溜まれば重りによりしばらくは空気を送り続けられる)だが、リコーダーの弁の開閉はPC、Arduinoを使いMIDIにより制御されている。鍵盤で弾けるし、PCによる自動演奏もOK。


▲子供が大喜びで触っていたのがPanon Musicによる「loop(ループ)」(写真左)。箱に空いた穴に球形の「音のつみき」をはめるだけで曲が作れる楽器。左下の顔のつみ木で音色も変えられる。本体内にはArduino、背後のMacでCycling '74 Maxが動いている。写真右は株式会社スリックのMIDI対応オルゴール「カナデオン」とハンドベルにMIDIインターフェースを搭載した自動演奏ハンドベル「ベルナール」。これもかわいい。


▲モジュラーシンセに憧れて作られた小型ラック「モジャラーシンセ」を展示したのは立体音楽団(写真左)。コルグvolcaなどを複数収納できるラックにステレオミニジャックのミキサーも用意。さらにlittleBits用スペースもある。左上ブレッドボードのジャンプワイヤがモジャッと感。写真右は3Dプリンタと電子回路による歌う電子楽器「ぼかりこ」などを展示したnegi.moeのブース。ポケット・ミクやRaspberry Piが使われている。


▲スポンサーゾーンのヤマハのブースには冒頭で紹介したAMEIのCreators' Hubと、身近なモノで作れる「手作りIoTギター」を展示。Creators' HubはコントローラーとMIDI鍵盤によるビジュアルパフォーマンスをデモ。「手作りIoTギター」はピエゾピックアップを取り付ける、子供向けのようでいて意外と本格派な作り。


▲スポンサーゾーンのMAKER HART INDUSTORYは台湾のメーカー。Arduino内蔵のドラムパッドや、ギター型のコントローラーを出展。音源内蔵で単体で遊べるほか、BluetoothによりiOSデバイスのMIDIコントローラーとしても使用可能。キットでの提供となるが30分ほどで完成するとのこと。どちらも1万円台前半で買えるのも魅力。


▲クラウドファンディングのMakuakeのブース(写真左)では、ポータブルDJシステムGODJの次期モデル、A4サイズにスピーカーを搭載したGODJ Plus、やわらかい3Dタッチパッドを搭載したTHE CELL MUSIC GEARを展示。写真右は、ゆるUnity電子工作部のクラギ用モバイルギターコントローラー。出張の外出先でもクラシックギターを練習が可能。ギター型コントローラ(34cm×5cm)+タブレットで構成、スチール弦をマイコンで読み取りタブレットから音を出すことで演奏できる。


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