【ライブレポート】the GazettE、新木場に創り上げた素晴らしき“地獄絵図”

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<the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 DOGMATIC -ANOTHER FATE->のファイナル公演が8月2日に新木場STUDIO COASTにて開催された。本記事では当日のライブレポートをお届けする。

◆the GazettE 画像

【漆黒】と【教義】を掲げた『DOGMA』を基軸とする大きなプロジェクト【PROJECT:DARK AGE】の一環であった、43本のライヴツアーのファイナル公演・国立代々木競技場第一体育館(2月28日)で、彼らは新たなる展開を発表した。それはこのプロジェクトの最終章へと繋がる更なる山場でもあった。

彼らは4月27日にリリースしたシングル「UNDYING」を第6弾とし、<The Americas>と題したアメリカ大陸ツアーを第7弾、<The Far East>と題した台湾と中国ツアーを第8弾、<The Continent>と題したフランス、ドイツ、フィンランド、ロシアツアーを第9弾とし、その先に、7月から8月にかけてのスタンディングツアー<DOGMATIC -ANOTHER FATE->を発表したのだ。この<DOGMATIC -ANOTHER FATE->は、7月6日の豊洲PITから始まり、ファイナルとなった8月2日の新木場STUDIO COASTまで、全国8ヶ所10公演で行なわれた国内スタンディングツアーであった。

【漆黒】と【教義】を掲げたライヴは、幕開けの武道館と、2015年9月5日の羽生市産業文化ホールからスタートした<the GazettE LIVE TOUR 15 DOGMATIC -UN->、<the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC -DUE->という2015年から2016年を又にかけた大規模なツアーのファイナル公演であった<LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒->と名付けられた国立代々木競技場第一体育館ともに、素晴らしくコンセプチュアルなライヴであったのだが、今回のスタンディングツアーは、スタンディングという環境と、久しぶりの海外ツアーを経ての国内ツアーであったこともあってか、結成14年というバンドの歴史を改めて感じさせる息の合ったバンド力と個々のスキルアップを印象づける“ライヴ感”を持った勢いのあるものでありながらも、素舞台に近い状態の中、the GazettEという絶対的なコンセプトを見せつけてくれたのだった。

8月2日新木場STUDIO COAST。このプロジェクトライヴのセミファイナルとなったこの日、彼らは「DOGMA」を1曲目にそのステージの幕を開けた。通常は解放していない客席上手のバルコニー席までいっぱいに埋め尽くされたオーディエンスの数は半端ない。轟音のような歓声でメンバーを迎え入れると、彼らが放つその音に、大きく振りかぶりひれ伏すような力強いヘッドバンキングで乗っていく。


「新木場! 今夜も暴れて行こうぜ! 思いっきり来い!」
クラシックかつエレガントな黒を纏ったRUKIが叫ぶと、フロアを埋め尽くしたオーディエンスは全身の力を振り絞り、その言葉に声を返した。

オドロオドロしい世界観に侵蝕されたその場は、1曲目にしてすっかりthe GazettEの色に染上げられた。素晴らしき美しい毒。戒のシンバルによって繋がれた「RAGE」は、麗、葵、REITAの畳み掛ける音圧によって、コンセプチュアルなライヴからリアルを追求する直なライヴへと印象を変えた。サビのメロを受け取り、手拍子を重ね楽曲を盛り上げていくオーディエンス。絶対的なカリスマ性を持ちながらも、一方的に押し付ける洗脳的な宗教感ではなく、確実にその毒を浸透させながら、自然と聴き手を狂ったようにのめり込ませていく。まさに、サウンドで犯していくイメージとでも言おうか。自らの世界に完全に引きずり込む彼らの魔力は想像を越える。

REITAのベースがフックとなる「DAWN」から、インダストリアルな音を含む、彼らならではのダンスナンバー「DERANGEMENT」への流れも絶妙。オーディエンスは自然と体がリズムに導かれるそのグルーヴに身を任せ、大きく体を揺らして応えたのだった。そして。このタイミングでオーディエンスのハンドクラッピングによって拍車がかけられた「VENOMOUS SPIDER’S WEB」が投下された。この流れもオーディエンスからしたら絶妙のタイミングであったことだろう。この曲が生まれた先に『DOGMA』が生まれたことを改めて振り返ると、彼らが紡ぎ上げてきた1つ1つに進化と深化を感じさせられた。

ドープな世界の中に、しっかりとthe GazettEを感じさせるメロを置き、タッピングを用いた麗の独特なギターフレーズと隙間の無いドラミングで塗り潰されていく「BIZARRE」。この曲は、圧倒的なテクニックと一聴して彼らの音だと解るサウンド感を見せつけた瞬間でもあったと言えるだろう。ダークさと繊細さが同居する「DEUX」も、the GazettE以外のなにものでもない刹那的な個性を放っていく。そして。立ち込める混沌とした世界の中で麗と葵が紡ぎ出すアコギとエレキの音色が実に心地良く響く「OMINOUS」は、RUKIが呟くように声をそっと音に乗せる形でゆっくりと幕を開けていった。太く力強く抜ける戒のスネアの音が響き、エレキの音色がボリュームを上げていくとサウンドは重厚に響いた。楽曲の後半に置かれる狂おしく泣きじゃくる葵のギターフレーズに感情が掻き立てられる。オーディエンスは物音ひとつ立てず、彼らが描き出すその音に入り込んだ。


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