レナード・コーエン、旅立つミューズへ贈った言葉

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先日、レナード・コーエンが60年代に交際し、彼のミューズ的存在だったマリアンヌ・イーレンの訃報とともに、コーエンが、亡くなる直前に彼女へ手紙を送っていたことが伝えられたが、その内容が明かされた。

マリアンヌの長年の友人でドキュメンタリー監督のJan Christian Mollestadは、入院した彼女から白血病により残された時間は少なく、それをレナードに伝えて欲しいと頼まれたという。

MollestadはCBCラジオのインタビューでこう語った。「彼女に、白血病の末期で、もう数日しか残っていないって言われたんだ。なにが起きているかレナードに伝えて欲しいと頼まれた。だから、家へ戻り、“残念ながら、あと数日しかないようだ”って書いて彼に送った。そうしたら、たった2時間でレナードからマリアンヌへ美しい手紙が届いたんだ」

その内容を問われると、彼はこう明かした。「マリアンヌ、僕ら、とても年を取り、身体がボロボロになる時期が来たんだよ。僕もすぐ君の後を追うことになると思う。僕は、君が手を伸ばせば届くほどすぐ後ろにいる。僕がいつだって君の美しさと知性を愛していたことは知っているよね。でも、それについて僕はもうこれ以上語る必要はない。だって、君はすべてを知っているから。でもいま、素晴らしい旅になるよう祈っているとだけ伝えたい。さようなら、旧友。永遠の愛を。向こうで会おう」

この2日後、彼女は意識を失い、永眠についたという。Mollestadは、レナードに彼女の死を知らせる際、「君からの手紙を読み上げたとき、彼女は、マリアンヌしかできない笑顔を見せた。君が彼女に触れることができるほどそばにいると語るのを聞いたとき、彼女は手を持ち上げた。君が彼女の状態を知っているということは、彼女の心に深い安らぎをもたらした。そして、この旅立ちへの君からの祝福は、彼女にさらなる強さを与えた。あのメッセージがどれだけ彼女に意味があったか目のあたりにした友人たちは、これだけ迅速に、そして愛と慈悲に満ちた返事をくれた君に大変感謝している」と綴ったという。

1960年、子供が生まれたばかりでご主人を亡くしたマリアンヌはギリシャの島でレナードと出会った。そのときのことをMollestadはこう明かしている。「街にはお店が1つしかなく、マリアンヌは赤ちゃんを連れて、そこへ行き、泣きながらギリシャ人の女性と話をしていた。そのとき、彼女は入り口に現れたシルエットが“君がマリアンヌだね。なにが起きたか、知っているよ。さあ、太陽の下でワインでも飲もう”って言うのを聞いたんだ。それがレナードだった。彼は本当に彼女に尽くしてくれた」


Ako Suzuki
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