【ライヴレポート】D’ERLANGER x Justy-Nasty、「Time Machineは未来へも行ける」

ツイート

D’ERLANGER x Justy-Nastyによる対バンイベント<The Time Machine Never Destroyed 2016>が8月7日、猛暑となった京都FANJにて開幕。続く8月11日の渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演を合わせて関西/関東全2公演の規模で行われた同イベントの模様をレポートしたい。京都公演は時系列に沿ったライヴレポートを、渋谷公演は特筆すべきポイントを掘り下げてお届けする。

◆D’ERLANGER x Justy-Nasty 画像

大反響を呼んだTetsu(D’ERLANGER)とROD(Justy-Nasty)によるBARKS対談が実現したのが6月のこと。開演前の京都FANJには大きな期待と大きな夢が充満していた。公演前にソールドアウトがアナウンスされ全二公演ともにソールドアウトとなったことも、その熱気に拍車をかけているようだ。






定刻を少し過ぎた頃に80’sのBGMがアウト、場内が暗転してSE「Blade Runner」が響き渡ると男衆の大きな声が上がった。ステージにはJusty-Nastyがゆっくりと登場し、冒頭からROD(Vo)が「騒ごうぜ!!」とオーディエンスを煽り、「BLEED LIKE ME」へ。公演タイトルよろしく、“Time Machineにはまだ乗らない”という意思表示なのか、セットリストは中盤まで、2015年の復活オリジナルJusty-Nasty以降からの選曲が続いた。PunkishなSHOWY(B)、表情を変えず終始COOLなLEZYNA(G)、大きなアクションと笑顔のRALF(Dr)。4者4様ではあるが、バンドとしての存在感がオーディエンスを圧倒した。

「DON’T YOU FEEL」から状況が一変する。BARKS対談にて、「僕がJusty-Nastyなんです」と語ったTetsu(D’ERLANGER)が曲中にステージへ登場、これにはオーディエンスが大いに沸いた。この乱入は“Time Machineには乗らないのか?!”というメッセージにだったのか。続く「PLASTIC ROMANTIC」から1990年代の楽曲を次々投下。温度の上昇と反比例し、場内の酸素濃度は低下し続ける。ラスト「ROOM#13」では、オーディエンスも力の限りのシャウトで“Time Machine”を体験した。

再び暗転したステージでは舞台転換が。決して大きくないステージにD’ERLANGERの楽器が舞台袖からスライドして現れると場内はどよめき、転換中に冷気を入れるためにドアが開けられていたが、その効果もなくなってしまったほどだ。






「Under the Pretense」で登場したD’ERLANGERの出で立ちはいつもと変わらない。「SADISTIC EMOTION」「Skelton Queen」と続くセットリストに、どうやらD’ERLANGERは“Time Machine”に乗るつもりは無いらしい。

「D’ERLANGERが京都に帰ってきたぜ!」──kyo(Vo)

kyoは最初のMCから容赦なくオーディエンスを煽り続ける。二度目のMCに続き、SEELA(B)とTetsu(Dr)の重厚かつハイスピードなリズムで「dummy blue」を駆け抜け、セットリストに「新曲2」と表記された曲へ突入する。長いイントロダクションからブレイクし、CIPHER(G)が奏でたのは、なんと「新曲2」ではなく、「ROOM#13」。Justy-Nastyには、本番まで徹底的にその演奏が秘匿されていたという。たとえば、スタッフへ配布するセットリストをはじめ、ステージ用のそれにも「新曲2」と表記されていた徹底ぶりである。D’ERLANGERの乗った“Time Machine”は心憎いばかりの演出だった。終演後、Tetsu(Dr)は、「D’ERLANGERが演奏する、この「ROOM#13」こそ、Justy-Nastyへのリスペクトと友情とD’ERLANGER流の復活祝いだ!」と語っていた。


D’ERLANGERの演奏が終わると、会場内の期待感は爆発寸前。先週来のSNSなどで、両バンドが合同リハーサルする模様が発信されていたからだ。少しのアンコール待ちの後、登場したkyoが、SEELA、LEZYNA、RALFを呼び込んだ。Tetsuの2バスセットで演奏するRALFとkyoの掛け合いもあり、少しアットホームな雰囲気で。LEZYNAのギターから始まった「盗まれた瞳」(Justy-Nasty)、RALFが鐘の音を奏でた「MOON AND THE MEMORIES」が披露される。4人が本当に楽しそうに、特に普段はクールで通すSEELAが見せた笑顔が4人の“Time Machine”を物語っていた。


そして、しばしのアンコール待ちの後に流れ出したのは「威風堂々」だ。残るメンバーはROD、SHOWY、CIPHER、Tetsu。1992年5月18日の渋谷公会堂「SPY」がここに再び。当時さながらにゆっくりと登場した4人は、“Time Machine”に乗って現れたかのようだ。24年前も演奏された「ジェラシー」「BLUE」「SPY OF LOVE」の3曲を投下し、客席のボルテージは最高潮を迎えた。

「SPY」の4人が去ったステージは、またもやアンコール待ちの様相だ。マイクスタンドがセンターに並べられたステージにRODとkyoが登場。RODがD’ERLANGERメンバーを、kyoがJusty-Nastyメンバーを呼び込み、二十数年前には同じ“Time Machine”に乗ることなど想像しなかった8名が勢揃い。「Malibu Beach Nightmare」(HANOI ROCKS)、クラウドサーファーも続出した「I LOVE YOU」(BODY/CRAZE)の2曲を演奏し、客席は8月7日の国内最高気温を間違いなく記録して、3時間半に及ぶ“Time Travel”の幕を閉じた。






   ◆   ◆   ◆

京都公演から4日後の8月1日(山の日)、渋谷duo MUSIC EXCHANGEに“Time Machine”がやってきた。リハーサルもスムーズに進行するが、印象に残ったのはD’ERLANEGER、Justy-Nastyのリハーサル時、それぞれのメンバーが全員相手のリハーサルを見学していたことだ。アーティスト然として同じパートの奏でる音をじっくり聴く者、客席最前列でさもオーディエンスの様にリズムに身を任せる者、はたまた正面からその一瞬も逃さず記憶に刻み付けるがごとく見つめる者など、楽しみ方は異なるが大きな敬意と絆に、少しの警戒心が見えた。






先攻は京都同様、Justy-Nastyから。冒頭より「RUN BABY RUN」「ジェラシー」といったナンバーを発射など、“Time Machine”全開で超満員の客席が一気にヒートアップした。また、会場入りの後にバックステージに貼り出されたセットリストには「NEW SONG」と書かれたナンバーがあった。それを見たD’ERLANGERの4人もピンときたはず。「京都のお返しにしっかり演奏するため、渋谷のスタジオに今朝10時半から入った」とRODがMCで告白。「素敵な曲です。みんなで歌ってください」と演奏されたのはもちろん「NEW SONG」ではなく、「LULLABY」(D’ERLANGER)だった。

京都での「D’ERLANGER流の復活祝い」のお返しは、D’ERLANGERへのリスペクトと友情の証に他ならない。しかしやられたらやり返す“お返し”でもあったのだ。また、「SHOT THE VANITY」ではTetsuが「ただ今、RALF演奏中」と書かれたプラカードを背負い、ドラム台の前にしばらく仁王立ち。「5人でのJusty-Nasty」が完成した瞬間も特筆しておく。






そして、後攻めのD’ERLANGERは対照的にSE「SEX ON THE CARPET」から「Skelton Queen」という最新アルバム『Spectacular Nite -狂おしい夜について-』のナンバーで幕を開けた。いよいよ“Time Machine”に乗り込むのか? この日のセットリストにはあらかじめ「ROOM#13」と記載されているなど、単なる共演バンドのカヴァーではなく、僅か演奏2回目でD’ERLANGERの熟成された楽曲に感じられたあたりはさすがだ。Justy-Nastyの「NEW SONG」とD’ERLANGERの「新曲2」。ともに共演バンドの代表曲をカヴァーしたものだったが、演奏するまでの経緯と理由、自然発生したそれに対する想い。共演バンドの曲をカヴァーし合うという対バンイベントの当たり前の光景の中で、他ではあまり見られない強烈なものが<The Time Machine Destroyed 2016>に存在した。このことこそが2本のライブの本質だったのかもしれない。



アンコールは、京都と同様のセットリストだった。しかし、kyoとRODのそれぞれのセッションの最終曲MCは、京都のそれとは異なるものとなっていた。kyoは「全てのD’ERLANGERとJusty-Nastyを愛してくれる奴らに、この曲を、このメロディを送ります」とお馴染みのMCを入れれば、RODは「SPY OF LOVE」のイントロをバックに、“Time Machineロス”に陥っていること、渋谷公会堂でこの4人でライブをして“Time Machine”に乗って再現することを語った。2本目にして最終日の渋谷公演ということで、自然に湧き出た言葉であったことが強く感じられた。

ライヴはそんな2人によるとりとめも無いMCからALL STARSが呼び込まれ、「Malibu Beach Nightmare」「I LOVE YOU」の2曲を演奏し、“Time Machine”から一旦降りた8人が静かにステージを去っていった。わずか2公演の<Time Machine Never Destroyed 2016>だったが、ステージを去る8人には名残惜しさは無い。彼らの視界には次の“Time Machine”が入っていたに違いない。それは、RODが「SPY OF LOVE」の前に語ったように、「Time Machineは現在から過去へ行くだけでなく、未来へも行けるもの」だから。



■<D’ERLANGER peek a boo TOUR 2016>

2016年09月17日(土)高崎club FLEEZ
open17:30 start18:00
(問)HOT STUFF PROMOTION03-5720-9999
2016年09月22日(木・祝)長野LIVE HOUSE J
open16:30 start17:00
(問)FOB新潟025-229-5000
2016年09月24日(土)金沢EIGHT HALL
open17:30 start18:00
(問)FOB金沢076-232-2424
2016年10月01日(土)京都VOX HALL
open17:30 start18:00
(問)キョードーインフォメーション0570-200-888
2016年10月02日(日)京都VOX HALL
open16:30 start17:00
(問)キョードーインフォメーション0570-200-888
2016年10月08日(土)仙台MACANA
open17:30 start18:00
(問)ニュース・プロモーション022-266-7555
2016年10月09日(日)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
open16:30 start17:00
(問)HOT STUFF PROMOTION03-5720-9999
2016年10月16日(日)福岡DRUM Be-1
open16:30 start17:00
(問)GreeN Music092-714-0230
2016年10月22日(土)岡山IMAGE
open17:30 start18:00
(問)夢番地岡山086-231-3531
2016年10月23日(日)高松DIME
open16:30 start17:00
(問)DUKE高松087-822-2520
2016年10月29日(土)HEAVEN’S ROCK 熊谷VJ-1
open17:30 start18:00
(問)HOT STUFF PROMOTION03-5720-9999
2016年10月30日(日)柏PALOOZA
open16:30 start17:00
(問)HOT STUFF PROMOTION03-5720-9999
2016年11月03日(木・祝)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
open16:30 start17:00
(問)HOT STUFF PROMOTION03-5720-9999
2016年11月05日(土)郡山CLUB #9
open17:30 start18:00
(問)ニュース・プロモーション022-266-7555
2016年11月12日(土)梅田クラブクアトロ
open17:00 start18:00
(問)キョードーインフォメーション0570-200-888
2016年11月13日(日)名古屋SPADE BOX
open16:30 start17:00
(問)サンデーフォークプロモーション052-320-9100
2016年11月20日(日)赤坂BLITZ
open16:00 start17:00
(問)HOT STUFF PROMOTION03-5720-9999
▼チケット
前売:¥6,000 当日:¥6,500
(税込・オールスタンディング・ドリンク代別)
※未就学児童入場不可/小学生は要保護者同伴・有料
一般発売:2016/8/13(土)

■<D'ER≠gari 2016 feat.DEZERT>

2016年11月26日(土)大阪STUDIO PARTITA
2016年11月27日(日)名古屋BOTTOM LINE
2016年12月02日(金)品川ステラボール
出演:D'ERLANGER, cari≠gali, DEZERT
チケット発売・時間等他、詳細は後日発表

■Justy-Nasty LIVE 情報

▼Justy-Nasty
12/04(日) 新宿MARZ[ONE-MAN]
12/11(日) 神戸Harbor Studio[C/W THE SLUT BANKS]
▼KENICHI FUJISAKI
HAUNTED HOUSE Vol.6
10/07(金) aube渋谷[solo]
▼LEZYNA
10/08(土) 下北沢garden[EX-ANS]
10/22(土) 心斎橋FANJ[EX-ANS]
▼岸根光
10/24(月) 池袋手刀[+yukino+EBY]

◆BARKS×TICKET DELI オフィシャルサイト
◆D'ERLANGER オフィシャルサイト
◆Justy-Nasty オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報