【インタビュー】ANCIENT MYTH、アルバムを引っ提げて、欧州でのデビュー公演へ!

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東京を拠点に活動してきたANCIENT MYTHが、通算4枚目のアルバム『Aberration』で、ついにヨーロッパでのデビューを果たした。音楽的にはシンフォニック・メタルとされるバンドだが、ジャケットのアートワークを著名な写真家、野波浩が手がけるなど、ヴィジュアル面でのこだわりも強い。“異形”を意味する言葉をタイトルに冠した作品はいかにして生まれたのか。10月には世界的に知られる、ベルギーの『Metal Female Voices Fest』(ヘッドライナーはTARJAとLEAVES’EYES)への出演も決定するなど、新たな展開が見えつつある中、これまでの歩みも含めて、シンガーのMichalに語ってもらった。

◆ANCIENT MYTH~画像&映像~

■ピアノ、賛美歌、そしてファイナルファンタジー
■個性派シンフォニック・メタルのルーツ


――まずはANCIENT MYTHを初めて知る人に向けて、バンドの成り立ちから簡潔にお話をお願いします。

Michal:はい。2002年にドラマーのMITTUが中心となって、音楽学校のクラスメートで結成したバンドなんです。2005年ぐらいまでの間にメンバー・チェンジが結構あって、その頃までは、ほぼ同級生やその友達という仲間内で構成していたみたいです。私は2008年に二代目のヴォーカリストとして、ベースのNaokiと今はいないギターのTOMOと同時に加入をしました。その後もメンバー・チェンジは何度かあって、すでに結成当時のメンバーはいないんですが、私は一つのことを続けるということに、すごく意味を感じているんです。オリジナル・メンバーがいようといまいと、一つのバンドのイメージというのは、お客さんから見て変わらないはずですし。

――ANCIENT MYTHには、どのような経緯で加入したんですか?

Michal:私はデザイナーとしても活動をしているので、最初は以前やっていた別のバンドも所属していたレーベルから、いろいろ仕事を頂いていたんです。そこであるとき、ヴォーカルを探しているバンドがあるということで紹介をされて。もともと音楽的に似たような系統のバンドをやっていたんですが、その頃にはなくなっていたので、まずはまた同じような感じでバンドができるなぁと思ったんです。あとは何よりも、それまでの活動で一番苦労したのが、同世代のドラマーとキーボーディストがなかなか見つからないことだったんですよ。ANCIENT MYTHはそもそもリーダーがドラマーだし、キーボーディストもいたので、じゃあ探さなくていいんだと(笑)。そこが私的には安心材料でしたね。あとはトントン拍子で進んでいくはずだと。

――しかし、その二人も後にバンドを去ってしまうんですよね。ご自身はどのような音楽的なバックグラウンドを持っているんですか?

Michal:小さい頃からクラシックのピアノをやってたんです。その後にカトリックの学校に12年間通ったので、毎日、賛美歌に触れて育ちました。音楽と英語にすごく力を入れていた学校で、たとえば、合唱コンクールも、負ければみんな泣くぐらい、盛り上がる大きな行事だったんですよ。そういった日々の中で、気がついたら、カトリックの曲の和音であったり、ラテン語の歌唱だったりが、自然と身に付いていったんです。そもそもクラシックだけではなく、みんなの和声で何かを組み立てるのも大好きなので、そこがシンフォニック・メタルを好きになるキッカケにもなったのかなと思ってます。

――ヘヴィ・メタルはどのような経緯で聴くようになったんですか?

Michal:私は他の方々とはちょっと異なるタイプで、どちらかというと、ゲーム音楽から入ったんです。『ファイナルファンタジー』のシリーズに出てくる、バトルのシーンの音楽って、すごくカッコいいんですよ。そこでいろんな人に、こういう音楽は他にないかなと思って聞いてみたら、ハード・ロックとかヘヴィ・メタルがいいんじゃないかと。そしてCD屋さんに行ってみたら、「ハード・ロックを聴き始めるんだったら、FAIR WARNINGがいいよ」って言われて(笑)、さらにTENも勧められて。そこからなんです。その後は自分なりに、いろんなバンドを聴くようになったんですが、私が好きなメロディアス系のとてもいいポジションにいる、HELLOWEENとかはちょっとダメだったんですね。何と言うんですかね……キラキラしすぎているのもちょっと苦手だったみたいで。ヴォーカルに関しても、メタルはハイ・トーンを出さないとダメなのかという疑問符みたいなのが出てきた中で、私が「おぉ!」と思ったのは、DARK MOORだったんです。エリサの声が、そんなにオペラティックでもなく、最初に聴いたときは男なのか女なのかわからなくて(笑)。彼女の声は自分にとって、新鮮な発見だったんですよ。音楽的なところで言えば、私が親しんできた賛美歌とかは、わりと暗いコードを使ったりするんですけど、終わりの感じも和音が落ち着いていて……その感じを、往年のバンドからはあまり感じられなかったんでしょうね。それから、結構、メタルってマッスル信仰みたいなものがあるじゃないですか。そことはちょっと相容れない部分が私の中にはあったんです。力強さが最優先のバンドというよりも、惹かれたのは耽美だったり……今でもストレート過ぎる感じのメタルはそんなに得意ではないです。

■幾度となく降りかかったメンバー・チェンジ
■前進することで逆境をはねのけてきた歩み


――なるほど。では、もう少し具体的に活動を追っていきたいのですが、2010年にリリースされた初のフル・アルバム『Astrolabe In Your Heart』はどんな作品だったと振り返ります?

Michal:最初に出たミニ・アルバム『Antibes』(2005年)の頃は、当時のメンバーがNIGHTWISHとかに影響を受けていたみたいなので、もっとテンポの遅い、ゴシック・メタルっぽい曲が多かったんですよ。ただ、それだけだとお客さんもライヴでのりづらいというのもあったので、ちょっと速い曲を書いてみて欲しいなと、その当時のギターに言ったんですね。そこで出てきたのが、タイトル曲の「Astrolabe In Your Heart」だったんです。多分、この曲によって、私たちはメロディック・スピード・メタルのバンドだって認識のされ方に変わったと思います。そこがバンドにとって大きな転換点だったと思います。

――その後、2012年にはセカンド・アルバム『Akashic』が出ましたが、その前年にはリーダーであったMITTUさんも抜けて、オリジナル・メンバーはいなくなった。バンドとしてどう進んでいくべきなのか、熟考せざるを得ない状況でもあったでしょう?

Michal:そうですね。バンド名を変えるか、新たに始めたほうがいいんじゃないかって考えもあったんです。でも、そうなると、また1からの活動になりますよね。過去の経歴に甘えるというわけじゃないですけど、一つのことを続けていかないと、お客さんに認知してもらうまでに時間がかかっちゃうし、今までいたメンバーが作り上げたものをまったく引き継がないというのも、個人的にはどうかなと思ったんです。確かにしんどいですよ。でも、そのとき残っていたギターのYURIとベースのNaokiと私の3人は仲も良かったんです。だから、他の人生を送ることは簡単だけど、ここで何とか頑張ろうよって言って。そこでまずは「Against The Fate」という曲を作り、シングルとして無料配布したんですね。ANCIENT MYTHには、また新しい時代が来ますよっていう意味も込めて。

――この曲は『Akashic』にも収録されていますね。

Michal:はい。『Akashic』では、もう一回、もともとのANCIENT MYTHのイメージに近づけたかったんですね。とはいえ、メロディック・スピード・メタルのようなものではなく、展開的にも凝ったものだったり、オーケストラ・アレンジなど、いろいろと学ぶところがあったので、昔のことも取り入れつつ、また一つ新しい鎧を身にまとって大きくなろうと。そういった性格のアルバムでしたね。

――ところが、その後に再びメンバー・チェンジが起こる。ホントに山あり谷ありですが、そこからの活動が逞しいですよ。特に興味深いのは、2014年2?3月に新曲「Aerial Memories」のビデオ・クリップを、YouTubeのみで公開した件です。同一の曲でありながら、英語詞の「true」と日本語詞の「false」があり、相反する世界が描かれている。

Michal:そうですね。そこには複合的な理由があるんですけど、まずはインターネットを介した動画配信が、もっともっと世の中に必要になっていく年だったと私は理解していたんです。今でこそ、すべてのバンドが必ずといっていいほど動画を用意しますけど、そもそも私たちが2009年にシングル「AURORA」を出したときには、インディーズのメタル・バンドがPVを作ってもしょうがない、そこにお金をかけるぐらいだったら、他にやりようがあるとも言われてたんですよね。ただ、私はやっぱりゲームとかから始まっているので、音像が一致していることがすごく重要だと思ってたんです。CD-Rなどで無料配布することは簡単ですけど、それはつまらない……と言うと変な言い方になりますけど、自分らしくないやり方だと思ったんです。映像の形で無料公開して、よりたくさんの人にシェアしてもらったほうが、今後の財産になるんじゃないかなって。でも、動画を一本ポンと上げるのはあまりに普通のことなので、あえてそこは、あの曲にいる女性と男性、二人の主人公を活かした、二本立ての映像を公開しようと。実際のストーリーも、日本語のほうは女性の気持ち、英語のほうは男性の気持ちを描いているんです。

――実際の反響はどうでした?

Michal:それまでの所属レーベルを抜けた後だったので、自力で宣伝するしかなかったから、再生回数だけを見るとショボっと思うんですけど(笑)、それがようやく功を奏してくれて。先月、ドイツの雑誌などからインタビューを何本も受けたんですけど、すべての媒体から、あのPVに関する質問があったんですよ。ちゃんと興味を持って観てくれている人がいるんだなって。これは数字だけではわからない部分ですよね。やった意味はあったなと思います。

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