【インタビュー】Rayflower短期連載第三弾、Sakuraが語る「俺自身は変わらない」

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■20年くらい前とかは俺が主張しないと
■という妙な過信みたいなものがあったんだ

──結果的に、キャッチーな音楽が好きなリスナーとテクニカルなプレイを好むリスナーの両方が楽しめる音楽になっています。

Sakura:Rayflowerは高度なテクニックを持ったメンバーが揃っているけど、マニアックなことをやって“どうだ!”という人達ではないから。お客さんに楽しんでもらうことを一番大事にしているメンバーばかり。そのためのツールとしてバンドがあるという考え方なんだ。俺が思うに、本当に凄い人というのは、難しいことをいとも簡単そうにやるんだよね。たとえば、バディ・リッチとかは凄いことをやるけど、エンターテイメントに徹して演奏しているから、明日から自分にも出来るんじゃないかと思わせたりする。Rayflowerで言うと、それが出来るのがIKUOさん。すごくハイレベルなことをやっているのに、それを感じさせない。田澤の歌も、YUKIのギターもそう。2人とも本当に上手いし、そこに対してプライドも持っているけど、“がんばってやってます!”という感じはしないでしょう?

──しないです。メンバーの人選が絶妙だったといえますね。

Sakura:でもね、最初から今みたいにいい状態だったわけじゃなくて、しだいにそうなっていったんだと思う。メンバー5人で、このRayflowerというバンドをどういう風にしようかという意志の疎通ができたのが、前回の『Color & Play』ツアーだった。あのツアーをすることで、それぞれがRayflowerであることに責任を持つようになったというか。そのうえで、全員がこのバンドを楽しんでいる。そういう形になるように仕向けたのは都であり、田澤の力も大きいと思うよ。そのツアーの氷山の一角が入っているのが、今回のライブアルバムということだよね。

──全貌を知るのは難しいとしても、『TOUR 2015~Color & Play~@品川ステラボール』は2枚組ということで曲数が多いじゃないですか。なので、Rayflowerの入り口としては、お薦めだと思いますが?

Sakura:そうだね。たとえば、こうやってインタビューを受けていること自体もそうだけど、どんな音楽性や主張を持っていても、俺はそれを人に知ってもらわないと意味がないと思っているんだ。知ってくれた上で、好きか嫌いか、その人の判断に委ねるもの。だから音楽で飯を食っていくなら、知ってもらうための努力は惜しんじゃいけないと思う。知ってもらうための努力を媚びを売っていると感じるなら、それはそれで構わない。そういうところで、『TOUR 2015~Color & Play~@品川ステラボール』はRayflowerを知ってもらうための入り口としてのアルバムだと思っているから、多くの人に聴いてほしい。でも、これで理解したと思うなよと(笑)。

──最新形のRayflowerにもぜひ触れてほしいですね。では続いて、ドラムの話をしましょう。ドラムに関しては、Rayflowerではスケールの大きいビートとテクニカルなフィルの取り合わせが基本になっている印象を受けました。

Sakura:どうだろう? 俺は昔から何も変わってないと思う。一緒に音楽を奏でている人間だったり、スタッフやお客さんといったものによって、自分の中にある引き出しのどれを使うかが変わっているだけだから。音楽と向き合ったり、ドラムを叩く上での根幹は変わっていない。たとえばIKUOさん主体の曲とかはドラムが激しいんだよ。そういう時は、自分の中のそういう引き出しを開けているだけだし、バラードをやる時はバラードにフィットする引き出しを開ける。そういう感じなんだよね。

──面白いです。では、フィルワークに関してはいかがでしょう? テクニカルなフィルを叩いても、絶対にグルーヴを壊さないことが印象的です。

Sakura:そこはそうなりました(笑)。俺がフィルで主張しなくても、もう成り立っているよねというのがあるし。あと、フレーズとして“これをこういう風に叩くとこういう風になる”という風に、トータルを考えるようになったかもしれない。20年くらい前とかは、“俺がガァーっと主張しないと、この曲は周りを納得させられるところまでいかない”という妙な過信というか、自意識過剰みたいなものがあったんだ。それこそL'Arc〜en〜Cielをやっていた頃は“歌うドラム”と言われていたし、今ももちろん歌っているつもりはある。ただ、当時の“歌う”ということは、主張の強さの現れだと取られた部分もあるのかなと思っていて。自分がリスペクトする諸先輩方で、たとえば村上“PONTA”秀一さんとかは“やる美学”ではなくて“抜く美学”なんだよね。抜くことによって成立させる。それは、爺さんっぽい考え方かもしれないけど、俺の中でそれは大いにアリなんだ。

──分かります。Sakuraさんのドラミングはすごく存在感のあるのに、押しつけがましくないですから。

Sakura:そう言ってもらえると嬉しいな。そこをもっとたくさんの人に分かってもらって、もうちょっとチヤホヤされたいんだ(笑)。IKUOさんや、YUKIみたいにチヤホヤされたい(笑)。もちろん冗談だけど…。

──チヤホヤって(笑)。では、『TOUR 2015~Color & Play~@品川ステラボール』に収録されている楽曲で、ドラムの面で気に入っている曲や自分らしいと思う曲は?

Sakura:いや、別に…かな。

──ええっ?

Sakura:だって、俺聴き返してないもん(笑)。いや本当にね、変な意味に取られるかもしれないけど、興味ないんだ。だって過去のものじゃん。あの日のライブでやったことには全部責任を持っているつもりだから、それをいちいち事細かに確認したりはしない。好きにしていいよという感じなんだ。

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