今や毎年恒例となったKREVA主催による“音楽の祭り”<908 FESTIVAL 2016>を、今年は変則的に9月3日“クレさんの日”に移して日本武道館にて開催したばかりのKREVAが、“クレバの日”となる9月8日と9日、ビルボードライブ東京にて<KREVA in Billboard Live>を2夜連続で4公演を行なった。クレバの日はファンクラブ「KFC」会員限定ライブだったため、ここでは一般公演となった9日のライブ、その1st Stageのレポートをお届けしよう。

◆<KREVA in Billboard Live> 画像

武道館の908FESのときのKREVAでもない。かといって、ライブハウスのときのKREVAとも違う。これは、間違いなく東京で観客をうっとりさせる夜景が拝める、大人の、ムーディーで、ラグジュアリーなライブ空間ならではのスペシャルKREVAだ。

オープニングから、KREVAの小粋な演出にすでにとろけそうになるファン続出だった。バックメンバーが静かにステージにスタンバイしたと思ったら、突然客席にスポットが当たり、KREVAが3階席に登場! すると場内はたちまち異様な悲鳴に包まれる。サングラスに攻めのワインレッドスーツでビシッとクールにキメたKREVA。狭い空間だからこそ、至近距離で見るホンモノはその仕草や立ち振る舞いにダンディズムや色気がビシバシ感じられて、いるだけでそのオーラに女性はクラクラ。六本木の夜景にもスマートにフィットした大人男性っぷりには、同性も憧れの眼差しを注ぐ。そんなKREVAが“調子良けりゃ 両手に花束”とラップしながらどんどん観客に近寄っていって、いつの間にか1階の客席を優雅にランデブーし始めると、再び客席からは悲鳴が上がる。先日、日本武道館のステージにいたあのKREVAが、目の前に立ち止まって自分だけを見つめて“振り返った瞬間にすぐに恋に落ちた”なんて歌われてしまったら、ファンは悶絶するか気絶するしかない。そんなファンの気持ち全てを見抜いての1曲目「瞬間speechless」チョイスで、のっけからファンの驚き&満足度1000%を叩き出すKREVA。まだまだこの人の凄さは計り知れないと深く痛感。


ビルボードといえば、アコースティックセットでしっとり大人っぽくまとめて上質感を出そうとするアーティストが多い中、KREVAは武道館と同じ1DJ+バンドセットのまま、新たなKREVAワールドを提示していく。「ようこそ、ビルボードライブ東京へ。今夜は、集まった」というところで挨拶を止め“君のために~”とグラサン外しから「王者の休日」へとつないでいって、シッティングのフロアにいつもながらの一体感ある景色を作り出したのはお見事。ドラムでシームレスにつないで「成功」が始まると、KREVAのラップするときのビートのなかのブレスの位置、それと連動する手の動きやボディバランス。さらにサウンドを構築していくグルーヴィーなリズム隊のうねりや、華やかなのにセンチメントな要素たっぷりの鍵盤フレーズなど、いつの間にか歌とサウンドのディテールに耳が釘付けとなり、ものすごい集中力で楽曲に浸っている自分がいることに気づかされた。これもKREVAがこの会場で狙ったKREVAのNext Stage。つまり、それだけ、ソウルのエッセンスをあちこちにちりばめたトラックとセンチメンタルな主題を絡めたKREVAのきらめくメロウネスな楽曲たちが、このラグジュアリーな極上空間とぴったりはまっているということなのだ。

しかし、MCでは「今晩は。ワインレッドです(笑)」といって“も~っと勝手に~恋したり~”とスーツの色にちなんでいきなり「ワインレッドの心」(安全地帯)をアカペラで歌ってみせて、ファンは驚愕(笑)。そして、今日のライブは通常よりも短いことを伝えた後は「女子のみなさんは今のうちから俺を“ガン見”して」といって場内を笑わせた。実はこのセリフが次のブロックへのフリとなっていて、この後から女子全員をうっとりさせる“君”とのロマンチックパートへライブは突入していくのだ。

まずは「今日はやらないけど」といいながらオートチューンをかけた声で「今夜はブギー・バック」のサビをアカペラでプレゼント。そこから“うぉおおー”と歌いつないで聞こえてきたのは「I Wanna Know You」。“君のおかげ 受け入れる事ができそうだよ 光と影” で照明がパパッとその場に光と影を作って見せたり、間奏でDJのスクラッチが終わるとKREVAが腕をパーンと横に広げ、それに合わせてドラムのハイハットが入るなど、この日はあちこちにちりばめられた“生感”満載のスリリングなパフォーマンスにハートがワクワク。

この後に用意されたミッドグルーヴの「It's for you」では“オレらはなんで知り合って~”のドキッとする一節でぐぐっと客席との心の距離を縮め、“for you”で観客それぞれを指差してそこからさらに至近距離へと引きよせ、アウトロでは“熱い夜を~”と何度もリフレインしてKREVAがパッション溢れる思いを伝える。ドラムでそのテンションをつないだまま「次はみんなの声も聞かせて」と観客の声を求め、KREVAと客席が歌でお互いの気持ちを確認するように一つにつながっていった「ビコーズ」。そうしてKREVAから“君こそMY BABY”と極め付けの甘いキラーフレーズを届けられた観客たちは、みんなその瞬間夢見心地気分に包まれた。ヒップホップ、ラップでもソウルミュージックに負けないぐらいこんな風に大人のスウィートでロマンチックな夜を作り出すことができる。それをKREVAが体現してくれた瞬間だった。