【インタビュー】Versailles、再集結。「美しいマネキンに魂も入れるバンドでありたい」

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本日9月14日に、Versaillesのリテイク・ベスト・アルバム『The Greatest Hits 2007-2016』がドロップされた。ファンから愛され続ける代表曲に加え、新曲が2曲収録された同作は、2012年末に活動休止し、このたび再集結を果たした彼らの最新の音楽をも体感できるアルバムである。よって今回のインタビューは、Versaillesの“過去、現在、未来”を解き明かすべく実施した。

◆Versailles 画像

Versaillesと言えば、“薔薇の末裔”として活動を重ね、美麗なヴィジュアルと耽美主義という思想を確固として持つバンドであり、その完成された世界観から、フォロワーバンドも数多い。だが何故、今回のベストアルバムはこれほどまでに、永遠の輝きを放ち得るのだろうか。どうしてVersaillesというバンドは、リスナーの耳と眼と心を虜にしてやまないのだろうか。そして、彼らが“耽美”を哲学として掲げる真意とは? ライターの清水素子女史が、5人全員に迫った。

  ◆  ◆  ◆

■ KAMIJOさんの愛の大きさが大きくなった

▲KAMIJO(Vo)

── 遂に完全復活を果たされましたが、その実感ってどんな瞬間に感じられました?

KAMIJO:ファンのみなさんに新曲を聴いていただいた瞬間ですね。8月7日の舞浜アンフィシアターで、今回のベスト盤にも収録されている新曲「Melodic Thorn〜美の暴力〜」と「Chandelier」を披露しましたが、僕たちが新しく生み出したものを聴かせられた瞬間、“どうだ、俺たちがVersaillesだぞ”と、すごく胸を張れる気持ちになりました。

── KAMIJOさんの話を聞きながら、今、TERUさんが激しく頷いてましたけど。

▲TERU(Gt)

TERU:はい。ライヴ中に、曲を皆さんに聴いてもらうことが復活の証なのかなぁって、思ったんです。あとは単純にやることがとても増えて、忙しくしてる自分に対しても“ああ、復活したんだな!”っていうのは感じました(笑)。

YUKI:あとはアンフィシアターのオープニングで、舞台下からせり上がってきて、仮面を取った瞬間に3年ぶりにローズライトがバーッと開けてる光景を見たときは、すごく気持ち良かったです。

MASASHI:今、全く同じこと言おうとした(笑)。そういう演出もVersaillesらしいし、ローズライトだとかVersaillesにしかない光景を見たときには、やっぱり“復活したな!”と思いましたね。

HIZAKI:ただ、それから1ヶ月経った今では、復活だとか活動休止だとかっていうのも、もはやどうでもいいというか。気持ちは次に進んでいるので、僕はもう、1ヶ月前のことは忘れました!

KAMIJO:確かに。あえて“復活”という言葉を使うのだとすると、その場限りではなく、Versaillesが次に向かって動いているという事実が、本当の復活の証なのかもしれないですね。

── では、活動休止からの3年を超えるブランクも、あまり感じていない?

KAMIJO:それはブランクではないですね。あくまで準備期間であって、Versaillesにとってはすごく必要だった3年8ヶ月。その間、それぞれがより研ぎ澄ますべきところを研ぎ澄ましてくれたので、Versaillesという集合体の中で各自が持つ“らしさ”が、これから個性として発揮されていくんじゃないかなと思います。

── 逆に楽器隊からKAMIJOさんを見て、変わったなと感じることはあります?

▲HIZAKI(Gt)

HIZAKI:優しくなったというか……まぁ、前から優しかったんですけど(笑)、優しさの種類が変わったような気がします。ザックリ言うと愛の大きさが大きくなったというか。

KAMIJO:ハハハ!(笑)ザックリ過ぎ!

HIZAKI:やっぱりソロ活動をやったことで、ファン一人ひとりを今まで以上に大事に見るようになったと思うんですね。楽曲も歌詞も全て一人で作って、より愛情という部分が深まっていると感じるし、そういうところが新しいVersaillesの強みでもあるのかなと。

▲YUKI(Dr)

YUKI:今、HIZAKIくんが言ってたようなことは、たぶん、みんな感じてますよ。おかげで仕事の話が早くなったというか、制作の過程でも互いに何を求めているのか?っていうやりとりが、すごくスムーズになった感じがしますね。

── となると今後が楽しみですが、その第一弾が9月14日リリースの新緑ベストアルバム『The Greatest Hits』になるわけですね。

KAMIJO:はい。今回ワーナーミュージックさんと一緒に復活を盛り上げようということになり、そこでベストのお話しをいただいて。ベストを出すというのは過去を大切にするということでもありますし、もちろん新曲だけのアルバムを出すこともできたんですけど、そうなると復活のタイミングから新曲ばかりを演奏することになってしまいますからね。やっぱりファンの方々からすれば昔の曲も聴きたいでしょうし、そういったことも踏まえてベストというのは良いんじゃないかなと。その中で少なからず未来も感じさせたいということで、新曲を2曲加えたリテイクベスト盤『The Greatest Hits』になりました。このタイトルも決して僕たちの過去が“The Greatest Hits”なわけではなく、これからの作品を含め“The Greatest Hits”でありたいという気持ちを込めてつけたものなので、すごく未来に向かった作品ではありますね。

── 既発11曲も、シングルやアルバムのリード曲、ライヴの定番曲と納得のラインナップで。選曲もスムーズだったのでは?

KAMIJO:そうですね。あとは今回、スケジュールの都合で録りの場にメンバーがいない状況が多かったので、メンバーに対してサプライズな気持ちで歌ったところはありました。“新しいテイクはこんなだぞ!”って驚かせてやりたい気持ちというか、楽器隊の演奏に対しても“こんなふうに変わったんだ”と感じるところがあったので、じゃあ、僕はこう行こう!って。

HIZAKI:それこそベースがMASAHIくんに変わった曲は“お!”っていう発見や、新たなノリが生まれたりしましたね。

▲MASAHI(Ba)

MASASHI:新曲を含めて半分くらいは僕、初めて録った曲だったんですよ。中でも思い入れが深いのが「DESTINY−The Lovers-」で、2010年に加入して最初に出したシングルだったから、聴くたびに当時を思い出してしまうんです。レコーディング風景だとか、加入発表したときのスポットライトを浴びたシーンだとか。

◆インタビュー(2)へ
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