【インタビュー】FUKI「自分らしく、ありのままで」

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人呼んで“恋がしたくなる歌声”。2015年10月のデビュー後、あっという間にそのハスキー&エアリーなナチュラル・ボイスと、せつなくてあったかいラブソングが10~20代女子を中心に浸透していった、新世代の歌姫。その名はFUKI。洋楽直輸入ではなく、流行りのJ-POPでもない。“自分らしく素直な歌”をテーマに作られたファースト・フルアルバム『LOVE DIARY』は、様々な愛の形を描く現時点でのベスト作。アルバムに込めた思いについて歌の世界そのままの、純情、繊細、おっとり、ふんわり、笑顔のインタビューをどうぞ。

取材・文:宮本英夫

――いい声ですね。ハスキーだけどエアリーで、いわゆるR&B的なコブシを回したりしないのも、特徴かなと思います。できるだけ素直に歌いたいとか、意識していることなのかな?と。

FUKI:そうですね。素直にストレートに、何も飾らずに歌っていたらこういう歌い方になった感じです。

――キャリアをさかのぼると、もともとはダンスから入ったんでしたっけ。

FUKI:はい。5歳の時から安室奈美恵さんが大好きで、歌ったり踊ったりするのを真似していて。中学生ぐらいからダンスを本格的にやり始めたのが始まりですね。でもダンスは高校に入ってからやめちゃいました。歌に集中しようと思ったので。

――それは何かきっかけがあった?

FUKI:ダンス/ボーカル科があるような専門的な高校に通っていたんですけど、文化祭で発表する時に歌ってる子のバック・ダンサーで出演したんです。他に私は一人で歌うステージもあったんですけど、そのバック・ダンサーをやった時に“もうダンスはいいや”って、自分の中で吹っ切れて。そこからはダンス科をやめて、歌だけになりました。

――それは、人のうしろはイヤだ、自分を表現したい、というような?

FUKI:そんな感じだったと思います。

――安室さんのほかに、どんな曲を聴いていたんですか。

FUKI:加藤ミリヤさんとか、AIさんとかを聴いていました。ダンスをやるようになってからはローリン・ヒルとか。洋楽のブラック・ミュージックやヒップホップもめっちゃ聴きましたね。スピーチが大好きでした。今も、行きづまった時にはスピーチをよく聴きます。

――それからは、クラブで歌ったり?

FUKI:そうですね。ダンスの時からクラブ・イベントに出演していたので、そのつながりで歌わせてもらっていました。(そういったイベントなどで)いろいろ助けてくれる人がいて、一緒に曲を作ってくれたり、ずっとやっていたんですけど、いつも結果を残す事が出来なくて。目をかけてくれたのに、その状態が長く続いて、結局ダメということが何回か続いて、どうしようと思った時に、プロデューサーのEIGOさんと出会ったのがきっかけで、メジャーデビューを果たす事が出来ました。

――恩人ですね。

FUKI:恩人です(笑)。それが5~6年ぐらい前ですね。EIGOさんがあるアーティストの仮歌を歌うシンガーを探していて、私がたまたま暇で、ほかのシンガーさんに誘われて行ったんです。そこで仮歌を歌って「いいね」と言ってもらって、一緒にやるようになりました。あの時私が暇じゃなかったら、今はなかったかもしれないです(笑)。

――EIGOさんは、アーティスト経験もあるし、シェネルや平井大や、楽曲提供も豊富な人で。最初はどんなことを言われましたか。

FUKI:声が素敵だねと言ってくれました。聴きやすいというか、伝わりやすいというか。テクニックは練習すれば身につくけど、声は自分が持ったものだから大切にしなさいと、自分を信じて自信を持ちなさいということを言われました。私の声は“男の子の声みたい”とずっと言われていたので、自分ではそんなに好きじゃなかったんですけど、でもEIGOさんにそういうふうに言っていただいて、それからはだんだん好きになりました。

――そして去年の10月にいよいよデビュー。

FUKI:信じられなくて、すごい疑って、“ほんと?ほんと?”って何回も(スタッフに)聞いて。そのあと「キミじゃなきゃ」のミュージック・ビデオやジャケット写真を沖縄に撮りに行ったんですけど、それでやっと“ほんとなんだ”と思いました(笑)。

――そこから配信シングル4曲、コンセプト・ミニアルバム1枚、そして今回のファースト・アルバムへ。すごいスピードです。

FUKI:すごく充実してます。デビューしてからが早すぎて、あんまり覚えてないぐらい。

――デビューしてから、何を一番実感してます?

FUKI:今まで出会ったことのないタイプの人たちに聴いてもらえることが、すごくうれしくて。インストア・ライブをやると、普段私のライブには来ないような人が、ちょっと足を止めて聴いてくれて、それがすごくうれしくて。そういうことを、もっとやりたいなと思います。


――すでに“ラブソングといえばFUKI”みたいなイメージが定着しつつありますけど、やっぱり女子からの反応が多いですか。

FUKI:そうですね、ツイッターで恋愛相談をされたりします。これからどうしたらいいですか?みたいな相談がよく来ますね。「告白したいんだけど、勇気が出ない」とか。

――FUKIさんの曲って、大げさなドラマじゃなくて、もっと身近にあるようなラブソングが多いと思うんですね。たとえば「すきだよ。」とか、終電間際の電車に揺られて、ちょっと離れた君の街から帰る途中というシチュエーションに、妙にリアリティを感じたりして。

FUKI:大学1年生ぐらいの時に、好きだった男の子が越谷に住んでいて、越谷レイクタウンでよく遊んでいたんですよ。で、帰りの電車の中でこの歌詞を書いたんです。だから歌詞が、“ちょっと離れた君の街から”なんですね。で、この間越谷レイクタウンでインストア・ライブをしたので、その話をしました(笑)。

――越谷の歌でしたか(笑)。いいですね。リアルの裏付けがある曲は、やっぱりひっかかりますね。「泣きたいんでしょ?」は?

FUKI:これは私がふられて、自分を元気づけるために書いた歌詞です。今見ると、言葉がめちゃめちゃだったりするんですけど、その時のまま残しています。

――歌詞は日記みたいなものなんですかね。

FUKI:そうですね。思うことをばーっとノートに書いて、そこから作ったりするので。一人で海へ行って歌詞を書いたりするんですけど、落ち込んだ時に出てくるんですよ、私の曲作りは。自分を元気づけるためにハッピーな曲を書いたりとか、感情のままに暗い曲をいっぱい書いたりとか。

――ちなみに、海で書いた曲ってどれですか。

FUKI:「LOVE DIARY」が一番最後にできたんですけど、海でぼーっとしながら書いた歌詞です。これは今の私に一番近い曲かなと思っていて、こんなダメな私を、いつもそばで支えてくれている人への愛の歌として書いたんです。聴いてくれる人とも、そういう距離感でいたいなと思っているので、これからもよろしくねというような意味で書いた曲です。

――いきなり曲の話になっちゃいましたけど、話を戻して。今回のファースト・フルアルバム『LOVE DIARY』は、どんな作品にしようというイメージがあったんですか。

FUKI:今までは、ラブソングを歌うFUKIという感じだったんですけど、私自身は恋愛の曲ばかりじゃなく、家族に向けて書いた曲もあるし、友達に向けた書いた曲もいっぱい持っていたので、家族、友達、仲間への愛情も詰め込んだ、もっと広い意味での愛が詰まったラブソング集にしたくて。という感じですね。

――ちなみに、家族に向けた曲というのは。

FUKI:「With U」は両親に向けて書いた歌詞です。一応ラブソングということにはなっているんですけど、私の最初の想いとしては家族に向けて書いた曲なので、彼氏彼女に限らず大切な人というくくりで聴いてもらえたらと思います。

――友達に向けた曲は…、「ホンモノの恋、はじめませんか?」はそうですよね。女子同士の歌。

FUKI:そうですね、これは応援歌なので。あとは「ふたりいろ」「星になるから」も、彼氏彼女ということはそんなに意識せず、歌詞を書いてます。

――音的には、どんなものにしようと? EIGOさんと相談したことは。

FUKI:よりシンプルに、歌声と歌詞を目立たせることを一番に伝えたいという、私からの注文はそれだけで、あとは全部EIGOさんにお任せしました。「ふたりいろ」もピアノとウッドベースだけで、すごくシンプルに仕上げていただいて。「泣きたいんでしょ?」も、打ち込みなしで、バンドの音だけでやったりとか。

――リード曲の「365」は、どんなふうに作った曲ですか。

FUKI:たぶんこれが、EIGOさんと最初に作った曲です。今まで一人で作ってきた中でできなかったことが、EIGOさんとやることでちゃんとした曲になったという感じです。1曲通して、サビが全部一緒の歌詞なんですけど、最初と最後で聴こえ方が全然違うふうにしたかったんですよ。悲しくてせつない“好き”から、好きすぎてせつない“好き”まで、気持ちが変わっていくように聴こえてほしくて、歌い方にもこだわりました。最初はエアリーな感じで、だんだん強くして…みたいな。感情を表現したくて何度も録り直したので、そこが伝わったらうれしいです。


――この曲、主人公が“僕”ですけど。男の子の歌なのかな。

FUKI:聴く人によって、それぞれに受け取ってもらえればいいんですが、私的には主人公は男の子のつもりで書きました。この曲はモデルになった二人がいて、その友達が男の子だったので。話を聞いて、男の子が女の子を走って追いかける姿を想像して書いた曲です。

――それは身近な友人?

FUKI:バンド・メンバーです。

――それ言っていいんですか(笑)。

FUKI:バンド・メンバーの話はよく使います(笑)。メンバーの恋の曲、けっこうありますよ。

――使われてることは知ってるんですか。

FUKI:たぶんわかってると思います。できあがってから、あとで言ったりするので。それでライブ中に、その曲でメンバーが泣きそうになったりして(笑)。

――面白いです。FUKIさんの近くにいる人は、みんな曲にされる危険性が(笑)。

FUKI:そうですね。EIGOさんと一緒に、人の話を盗み聞きしてメモしたりして(笑)。いろんな人の話をもらって、いろんな曲ができています。

――いいチームですね。何よりFUKIさんとEIGOさんの関係がすごくうまくいってる感じがする。

FUKI:私のプライベートの恋愛も、まず相談するのはEIGOさんなんですよ。友達よりも先に。彼氏とケンカした時に、泣きながら電話して、“どうすればいいの~”って言うと、“今は待て”とか、すごく的確なことを言ってくれて。EIGOさんの言うことを聞いていると、そのまま円満に終わったりして。出会った時からそんな感じで、だから全部報告しています。

――すごい。公私ともにプロデューサー的な。

FUKI:そういう相談をすると、“じゃあ次はそういう曲を書こうよ”とか言ってくれて。「With U」も、私がスタジオに行った時に、“また親とケンカしちゃったよ”とか言って、シュンとしてる時に、“元気出せよ”って。“じゃあ次の曲は、お父さんとお母さんに向けて書こうぜ”って言ってくれて、“わかりました!”って。いつもそういう感じです。コイバナをしながら、ああだこうだ言いながら歌詞を書いてます。

――最高の関係じゃないですか。

FUKI:いつも楽しいです。スタジオに制作に来ているというよりは、パーティーみたいで、ピザを食べながら日常のことを話して、“よし、作ろう!”みたいな感じです。

――そのムード、今回のアルバムにもすごく活きていると思いますね。いろんな意味で、今のFUKIがここにありますと言える作品になったんじゃないですか。

FUKI:はい。今できることは全部やったかなと思います。今までの私が詰まったアルバムになっているかなと思います。

――このアルバム、どんな人の耳に届くイメージがありますか。


FUKI:本当にいろんな年代の人に聴いてほしいし、性別も関係なく。いつもそこにあるような、日常の一部になってほしいです。「365」という曲がリード曲になっているんですけど、365日いつもあるものという感覚で、“いつも一緒にいるよ”という感覚で聴いていただけたらいいなと思っています。近くに感じていただければ。

――FUKIさんってケータイ世代とかSNS世代とか、そう言われる世代だと思うんですけど、これ見よがしにそういう言葉は出さないし、すごく普遍的なスタンダードな歌詞世界ですよね。それは意識してやってるのかな?とか思うんですけども。

FUKI:そうですね。私自身、あまりSNSが得意じゃないこともあるんですけど。歌詞を書くのもいつもノートとペンだし、自分の字で書くのが大好きなんです。絵を描くのも大好きだし。めっちゃアナログ人間なので、コンピュータとか機械のことが全然わからないというのもあるし。10年後に聴いた時に「だって今ポケベルないし」とか思うんですよ。

――ああ~。流行りのものは、いつか廃れちゃう。

FUKI:10年後も聴いてほしいという願いがあるので、あんまりそういう言葉を入れたくないなというのはありますね。

――でもツールとして、たとえば告白するのも、今はメールだったりしますよね。直筆のラブレターとかは少ないだろうし。ましてや家に電話して、お父さんに電話を切られたりとかもないだろうし(笑)。そういう意味で、今FUKIさんの歌を聴いている10代の女子とか、接してみて思うことはありますか。ちょっと恋愛観が変わってきてるかな、とか。

FUKI:そうですね。私はLINEやメールで伝えるのではなく、たとえば誰か大切な人の誕生日には、今でも必ず手紙を書きます。なので、わからない部分も多いんですけど、そういうものを少しずつ伝えていきたいというか、もっと愛のある、あったかいことを伝えていきたいと思っています。だって、淋しいじゃないですか。

――わかります。FUKIの歌は、愛とあったかさを伝えるもの。それをどんどん伝えていきましょう。

FUKI:はい。頑張ります。

――ライブにもぜひ。

FUKI:来てほしいですね。生の声を聴いていただきたくて、バンドと一緒に作り上げている感じも、みんなに見てほしいです。

――最後に、近未来の希望、目標は?

FUKI:自分らしく、ありのままで、今より多くの人に、たくさんの場所で歌っていれればいいなという思いしかないです。本当にたくさんの人に私の歌と音楽が届けばいいということだけですね。今の願いは。

●FUKIライブ

<「LOVE DIARY」リリース記念 Special Free Live@イオンレイクタウン>
2016年9月22日(木・祝)
@イオンレイクタウンmori 木の広場
時間:14:30~
内容:ミニライブ+特典会(ジャケットサイン会&2ショット撮影)
対象商品:FUKI 9/21発売アルバム「LOVE DIARY」※イベント当日会場にて販売

<「LOVE DIARY」発売記念・タワーレコード2DAYSフリーライブ>
2016年9月24日(土)
@タワーレコード渋谷店 4Fイベントスペース
時間:16:00~
内容:ミニライブ+特典会(ジャケットサイン会&当日限定!ジャケットステッカープレゼント!)
対象商品:FUKI 9/21発売アルバム「LOVE DIARY」
対象店舗:タワーレコード渋谷店 / 横浜店 / 町田店

2016年9月25日(日)
@タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
時間:12:00~
内容:ミニライブ+特典会(ジャケットサイン会&当日限定!ポスタープレゼント!)
対象商品:FUKI 9/21発売アルバム「LOVE DIARY」
対象店舗:タワーレコード新宿店 / 池袋店 / 秋葉原店

※両会場、ライブは観覧フリーとなります。
※それぞれ対象店舗で対象商品をお買い上げの方は、ミニライブ終了後ジャケットサイン会へ参加&各会場限定のプレゼントをお渡しします。

<FUKIワンマンライブ『LOVE DIARY』>
2016年11月2日(水・祝前)
@SHIBUYA CLUB QUATTRO(渋谷クラブクアトロ)
開場:18:00 / 開演:19:00
チケット:前売り ¥3,500(税込) / 当日券¥3,800(税込) ※ドリンク代別途必要 ※オールスタンディング
ローソンチケット(Lコード:75382)
http://l-tike.com/order/?gLcode=75382
チケットぴあ(Pコード:310-821)
http://ticket.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1644321&rlsCd=001&lotRlsCd=
年齢制限:3歳未満入場不可
主催 / 企画 / 制作:NTTドコモ,PARCO,レインボーエンタテインメント,DISC GARAGE,ARTIMAGE INC.
後援 / 協力:Victor Entertainment,Inc

1st Full Album『LOVE DIARY』

2016年9月21日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD) VIZL-1047 ¥3,500(税込)
通常盤(CD) VICL-64587 ¥2,800(税込)
1.365
2.泣きたいんでしょ?
3.キミがスキ (LOVE DIARY Ver.)
4.LOVE DIARY
5.ふたりいろ
6.ホンモノの恋、はじめませんか? ※フジテレビ系「魁!ミュージック」9月度エンディングテーマ
7.すきだよ。
8.キミじゃなきゃ
9.キミへ (Strings Ver.)
10.星になるから
11.With U ※テレビ東京系「超流派」6月レコメンド
12.365 (Piano Ver.)
DVD
キミじゃなきゃ (Music Video)
・キミへ (Music Video)
・With U (Music Video)
・ホンモノの恋、はじめませんか? (Music Video)

iTunes Store https://itunes.apple.com/jp/album/id1146708779?app=itunes&ls=1
レコチョク http://recochoku.jp/album/A1004848084/
mora http://mora.jp/package/43000005/VICL-64587/

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