【ライブレポート】<氣志團万博2016>2日目、「日本の音楽をこんなにも愛してくれてありがとう!」

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<氣志團万博2016 ~房総ロックンロール・チャンピオン・カーニバル~>が9月17日および18日、千葉県・袖ケ浦海浜公園にて2DAYS開催された。“ありえない”を形にして5年目の夏。2016年も夏の終わりの風物詩は大盛況となった。初日レポートに続いて、2日目のレポートをお届けしたい。

◆<氣志團万博2016>2日目 画像

天候に恵まれた初日と違い、2日目はあいにくの曇り空となったものの、3連休の中日と言うこともあってかこの日も朝早くから多くのお客さんが開場待ちの列を作っていた。2日目に出演するももいろクローバーZや矢沢永吉のファンであることが一目でわかるほど、お客さんも個性が全開だ。



開場してしばらく経った9時50分にMOSSAIステージから流れて来たバグパイプの勇壮な音を使ったSEは、SAの入場テーマだ。赤いフラッグを持ってステージに上がったTAISEIから「一発目からデカい声出そうぜ」と気合注入の第一声が放たれてライブが始まった。「今日は、この頭を作るのに朝5時に起きてます」というNAOKIと、TAISEIによる「あいにくの天気だけど、心の中の太陽を見せてくれ」なんていうイキなMCも、長くライブハウスでポジティブなパンクロックを演奏してきた彼らが言うなら説得力があるというものだ。SAコールに後押しされて、オープニングの「START ALL OVER AGAIN!」から「RALLY-HO!」まで、NAOKI曰く「ピーハツ」なライブで<氣志團万博>2日目の火付け役となった。



YASSAIステージにはアントニオ猪木が“OPENING CEREMONY ACT”として出演するとあって、その姿を一目見たいと言わんばかりにステージ付近に人が集まってきた。プロレスラーとしての現役時代ならいざ知らず、現在では議員を務めていることもあって、こうしたライブイベントに出演することも稀だ。レスラー時代からの登場テーマである「炎のファイター」が大音量で流れると、場内から沸き起こった“猪木コール”の中、センターステージからピンク色のスーツとトレードマークの真っ赤なストールを首にかけてせり上がってきた猪木。

そして、「元気ですかー! 元気があればなんでもできる」とお馴染みの第一声を。そこにやってきたのが氣志團の面々だ。団長・綾小路 翔自ら“闘魂注入”を申し出ると「今日は手加減なし、レベル10で」と、思いっきり頬に平手打ち。「すごい、これ」と頬を押さえて闘魂の熱さを実感している翔を前に、猪木は余裕の表情で「1・2・3ダー!」と、雨風を吹き飛しそうな勢いの力強い開会宣言を行った。



その宣言を受けて登場したYASSAIステージのトップバッターはSiMだ。背中に“死夢”と書かれた短ラン姿でやってきた彼らは登場するなりオーディエンスを左右に分かれさせてウォール・オブ・デスを作りだした。序盤から集まったお客さんを巻き込んで精一杯楽しもうという意欲がありあり。オープニングナンバーはドラムのGODRiとベースのSINが作り出すソリッドなリズムにSHOW-HATEがギターのタッピングを絡め、MAHのすべてを解放するようなスクリームも雄々しい「f.a.i.t.h」だ。

「お疲れさまでした、残りも楽しんでいってください」と1曲目が終わると袖に引き上げるSiMの4人。そんな茶目っ気たっぷりのヤンキー高校生のようなそぶりをみせつつ、ステージに戻ってきた彼らは激しいパフォーマンスを展開。エレクトロと土着的なリズムセクションの融合が個性的なスカ/レゲエナンバー「GUNSHOTS」で踊らせたほか、ラストに「体を動かすことに集中していてちゃんと聴けなかったお客さんのために」と「f.a.i.t.h」を聴かせるあたりのスタンスには、楽曲クオリティの高さと意志が表れていたようだ。



4年連続4回目の出演を果たした私立恵比寿中学は、スケバン衣装で前代未聞の20曲メドレーで仰天させた<氣志團万博2015>とはガラリと趣向を変え、真っ白な衣装で登場。王道アイドルソングを丁寧に歌い踊り、MOSSAIステージに清廉な余韻を響かせた。

YASSAIステージには東京スカパラダイスオーケストラの出番がやってきた。紹介映像ではスカパラの「Paradise Has No Border」が使われたキリン氷結TVCMに素顔で出演した綾小路 翔の姿が映し出され、同曲で幕を開けたステージが一気にパーティー気分を盛り上げた。さらに同CMの“さかなクン篇”で共演したさかなクン本人がスカパラ風スーツ姿で登場したものだからたまらない。堂々とセンターに立ち、バスサックスでソロパートを響かせるさかなクンの雄姿がフェスで観られるとは、<氣志團万博>に感謝するしかない。



「世の中いろんなことがあるけど、音楽を聴いてるときだけは曇りなき幸せを感じてほしい。そのために俺たちのバンド名には“パラダイス”って付いてるんだ。俺らのパラダイスで思いっきり暴れまわってくれよ」──谷中 敦

という谷中敦の熱いMCから、そのスピリットを共有する氣志團が呼び出されると、「ゴッドスピードユー」でコラボを実現、ダークなベースラインとギターリフが繰り返されるサウンドの中でしのぎを削りあった。出演するたびにCDでの“東京スカパラダイスオーケストラ feat.歌ものコラボ”を求めている綾小路 翔が「やっぱりライブこそが本当のコラボだと思います、ただ…」と言いかけると、「やっぱり記録に残すことにこだわるよりも、人々の記憶に残るようにやっていったほうがいいと思うんだ。またこういうのやろうな!」と谷中に諭されて場内の爆笑をさらった。

その後も「ルパン三世'78」や茂木欣一のドラムとGAMOによる打ち込みビートがリンクする「DJ GAMO × Drum 茂木」を聴かせて、古き良き音楽への愛情と新しい音楽への飽くなきチャレンジ精神を披露。黒子が演芸の演目さながらに紙に書かれた歌詞をめくり大合唱となった「美しく燃える森」を経て、「All Good Ska is One」では再びさかなクンと氣志團がステージに上がって熱演した。この時点でまだ12時30分の出来事なのだから“房総ロックンロール・チャンピオン・カーニバル”の名にふさわしいチャンピオンがこの後も続々と登場すると思うと、やはり<氣志團万博>は熱い。



MOSSAIステージで行われる森山直太朗のライブに移動すると、エリアに入りきらないほどの人、人、人。森山直太朗はこれまで、綾小路 翔とのユニットや開会宣言での出演だったこともあり、<氣志團万博>で単独ライブアクトを行うのは意外にも今回が初となる。涼しげな潮風の中で歌われた「夏の終わり」は思わずうっとりしてしまう歌唱で、改めてシンガーとしての実力を思い知らされた。

MCでは綾小路 翔をパロッた語り口調で笑いを誘いつつも、氣志團とは共にデビュー15周年ということもあり、「普段は言えないありがとうを曲に込めて」と御徒町凧をステージに招き、氣志團の「鉄のハート」のカバーを。すると、綾小路 翔が飛び入りしてデュエットするなど熱い友情を感じさせる場面もあった。「さくら(独唱)」で締めくくられたライブは、<氣志團万博>を知り尽くした男らしくユーモアと熱さを持ち合わせたものとなった。



森山直太朗が“夏の終わり”を歌っても、このバンドが出てきたら再び、夏ムード全開。TUBEが<氣志團万博>に初登場だ。TUBEにとっては「32年間の活動の中で初めてのフェス出演」ということで、「ちょっと興奮しています」とボーカルの前田亘輝が初々しい一言を発した。とはいえ、スタジアム級のライブはお手の物。ここYASSAIステージは、大ヒット曲「シーズンインザサン」をオープニング曲に持ってくるセットリストでTUBE節が堪能できるライブとなった。

「今は9月、本来なら我々に歌う曲は残されていませんが(笑)」との自虐MCで笑わせあたりはベテランならではの余裕だ。珠玉のヒット曲が色褪せないのと同様に、メンバー4人のビジュアルも時の流れを感じさせないはつらつとしたもの。誰もが知る「Beach Time」やラテンナンバー「さらばイエスタデイ」、会場中が「あー夏休み」と声を揃えたラストまで、2016年最後の夏気分を満喫できた。



こちらも初出演となるTHE COLLECTORSは代表曲「世界を止めて」をはじめとする前5曲で<氣志團万博>MOSSAIステージに新風を吹き込んだ。といっても、彼らは<中津川ソーラー>をはじめとするフェスの常連バンド。王道ロックとしての存在感は<氣志團万博>出演バンドの中ではむしろ異色に映るかもしれないが、そのバラエティに富んだ<氣志團万博>ラインナップの中にこそ、ルーツロックに根ざした彼らのサウンドがキラリと光る。前出のSAしかり、日本ロックを切り拓いてきたバンドが脚光を浴びる<氣志團万博>の、懐深さを感じさせるステージにもなった。



そしてYASSAIステージ。毎回どんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみな10-FEETだが、2016年は白いカッターシャツとメガネの優等生高校生風でメンバー3人が登場。「10-FEET高校、ライブ始めます」とのTAKUMAの第一声を合図に「VIBES BY VIBES」からステージがスタートすると、フィールドに巨大サークルが自然発生的に作り出され、一斉に大勢が走りだした。紹介映像で翔が「10-FEETが出てないフェスなんてないのでは?」と話していたのもうなづける求心力を思い知らされる光景だ。


1曲目、2曲目と曲が終わるたびに「また会いましょう、10-FEETでした」と引き上げようとする茶目っ気たっぷりなMCはもはや恒例。すかさず盛大なアンコールで応えるオーディエンスとのやり取りもさすがだ。ところが、そんな光景を快く思わない輩がいたらしい。「goes on」を歌い終えて「行くぞー!」と煽ると、「どこ行くんだよ? あん?」と氣志團が因縁をつけに来た。出演料を貰うどころかショバ代をカツアゲされた挙げ句、「本当にこれしか持ってないのか? 跳んでみろよ」と脅されて跳び続けるTAKUMAを放置して氣志團が去って行くと、NAOKIのベースが「super stomper」のリフを刻み出し、そのままライブに突入するという爆笑コント。しかし、このパフォーマンスとバンドサウンドが全アーティストのファンを魅了したようだ。同曲を終えたTAKUMAが興奮気味にこう語った。

「ビッグニュース! 今、Tシャツの袖口に“Z”って入った人が、3人くらい飛んできた」──TAKUMA

と笑顔でメンバーに報告。ももクロファンも矢沢永吉ファンも10-FEETのファンも、音楽を楽しみたい気持ちは同じ。その熱量を集めたフェスが<氣志團万博>だ。「音楽ってすごいな。みんなに伝えたり説明したりするよりも、言葉足らずで音楽に乗せて、こうやって演奏してみんなで騒いだら、ここまでいい空間ができるんやって、また勉強になったね」とのMCから、“言葉足らずのあなたの言葉”と丁寧に言葉を届けるように歌い出したのは5年ぶりのシングル曲「アンテナラスト」だ。ラウドなサウンドのみならず、メロディアスな魅力も感じさせたライブは、「好きなアーティストはそれぞれだろうけど、みんな喧嘩すんなよ。楽しんで帰ってな」と声を掛け、「RIVER」でラストを迎えた。彼らの演奏が終了した後、ぬかるんだステージ前方から、様々なアーティストTシャツを着たファンが泥だらけで、しかも笑顔で次々と戻ってきた姿が印象的だった。



艶やかなドレス姿の中島美嘉がヒットナンバー「雪の華」を一曲目から惜しみなく披露してお客さんをMOSSAIステージにに惹きつける。その中盤、「出てこいや!」と綾小路 翔をステージに呼び出したが、中島美嘉自身はステージ袖に下がり、しばらく綾小路 翔を放置プレイ。すると、「中島連合総長、中島美嘉だ! よろしく!」とステージに再登場した彼女の姿は、ファンからプレゼントされたという豪華刺繍入りの赤い特攻服。そのまま綾小路 翔をコーラスに従えて、ニューオリンズ風のファンキーな「ALL HANDS TOGETHER」を歌唱、途中「One Night Carnival」のパフォーマンスをフィーチャーしたりと大いに楽しませてくれた。ラストは「この曲で盛り上がってください!」とHYDE作曲/プロデュースによる「GLAMOROUS SKY」で幅広い音楽性と豊かな表現力を印象づけた。



<氣志團万博>皆勤賞のアイドルといえば、ももいろクローバーZだ。早朝から推しメンカラーで全身を統一したモノノフたちがあちこちに集結しており、YASSAIステージ開始前からメンバーの名をコールし続けて準備万端だ。そのオープニングでは、「夢と希望をリーダーが大きくする」と百田夏菜子の胸元のバルーンが膨らみ続けて爆発、<氣志團万博2016>ならぬ<ももクロ万博2016>開会を宣言して始まったステージは、初日に綾小路 翔がMCで話していた「ここに集まった人々の共通点=好きなものがあること」を最大限の熱さで具現化したものだった。

氣志團のカバー「愛 羅 武 勇」や豪快なビートによる新曲「ザ・ゴールデン・ヒストリー」でその熱さを増幅させると「行くぜっ!怪盗少女」では歌いながらの大縄跳びにチャレンジ。何度も引っかかりながら諦めずに挑むももクロの、なにごとにも全力で楽しむ姿勢には心の底から感服した。




この日のYASSAIステージは、トリ前に矢沢永吉、トリに氣志團と続くが、同じく不良ロッカーの系譜にいるのが、かつてキャロルの親衛隊でもあったクールスを母体とするクールスRCでボーカルを務めていた横山剣率いるクレイジーケンバンドだ。矢沢ファンもKISSESも、MOSSAIステージで「俺の話を聞け!」とコブシを回す横山剣の歌声に耳を傾ける。ダンディな渋い声は素敵。最後はユーモアたっぷりに「<氣志團万博>、イーネ!」と決めてくれた。



吸血鬼が現れるには少し早い夕暮れ時、YASSAIステージにサイレンの音がけたたましく鳴り響き、<氣志團万博2015>のジーンズ&ネルシャツによるカジュアルな姿とは打って変わって、ワインレッドのジャケット姿がクールなHYDEが姿を見せる。鼓動のように鳴らされるバスドラムにライブへの期待が高まる中、最新曲「INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White」からVAMPSのライブがスタートした。焦燥感を煽るリズムは続く「DEVIL SIDE」に引き継がれ、妖しげなヘヴィサウンドからサビの爽快なドライブ感へのコントラストがBLOODSUCKERSの熱狂を煽り立てる。客席前方には上半身ビキニの水着姿のBLOODSUCKERSが、K.A.Zがランウェイを歩きながらギターを掻き鳴らすと飛び上がって手を振るなど、やはり彼らのステージも灼熱だ。



「また来ちゃったよ(笑)。毎年「今年が最後」って言ってるけど、こうなったらもう全部出るしかない」──HYDE

5年連続出演となるVAMPSは、ハードスケジュールの中、毎年必ずここにやってくる。この日もツアーファイナルと追加公演の間のステージだったのだ。このMCの後には「MEMORIES」が歌われて夕暮れをしっとりと染め上げた。その後は「AHEAD」「ANGEL TRIP」と景気のいいナンバーを連発。「ANGEL TRIP」でタオルを回して盛り上がるオーディエンスの中にはももクロや氣志團のファンも多く、K.A.Zの煌びやかなギターサウンドがそのすべてを優しく激しく包み込んだ。

「ジャンル関係ない感じで楽しいよね。悔いのないように燃え尽きようぜ」──HYDE

その直後にサプライズが。なんと中島美嘉がVAMPSのステージに登場したのだ。曲はもちろん「GLAMOROUS SKY」だ。間奏でHYDEが中島美嘉の手を取り、ランウェイを歩き出すとセンターステージで互いの肩に腕を回して歌う2人にキラキラした視線が注がれる。メインステージに戻った2人が美麗な顔を近づけて耳打ちする姿は、まるで映画のキスシーンのように美麗だった。すっかり陽も暮れた会場に吸血鬼の本領発揮。ラストは「SEX BLOOD ROCK N'ROLL」で<氣志團万博>に最高の騒乱を描いた。



そしてMOSSAIステージ。the GazettEが初っ端から放った「INSIDE BEAST」のアッパーなダンスビートに身体の反応を止められない。「初めての方にもヘドバンをご賞味いただきたい」とMCルキがで語ったように、要塞のようなドラムセットを起点に繰り出されるリズムは、自然にヘドバンへと導かれてしまう。ノイジーなギターサウンドがハイパーに炸裂する「TOMORROW NEVER DIES」「Filth in the beauty」は放心状態になるくらいのカオス。この日出演したバンドの中でのヘドバン率は間違いなく彼らがチャンピオンだ。



<氣志團万博>にBOSSがやってきた。LIVING LEGEND矢沢永吉がいよいよYASSAIステージへ。期待が暴発気味の大観衆を前にさりげなくステージに上がった矢沢は白いシャツとパンツルックで幾多の伝説を作ってきたマイクスタンドに向かった。

「ようこそいらっしゃい。今からロックンロール、やります」──矢沢永吉


と第一声を放つや聴こえてきたイントロは「黒く塗りつぶせ」だ。今、確かに矢沢永吉がここ木更津にいる。「サイコー!」と叫んだ矢沢永吉自身も笑顔だ。「サイコーなRock You!」から、「古いラブレター」「共犯者」「カモンベイビー」とファンにはたまらないYAZAWAクラシックも矢沢永吉を知らないであろう若いお客さんの心に響いたはず。圧倒的な声量と表情豊かな歌唱力はもちろん、確かな技術を誇るミュージシャンたちのタイトな演奏も矢沢のパフォーマンスをガッチリと支えている。

ギターリフが「止まらないHa〜Ha」の始まりを告げると、ハットをかぶった矢沢が「いくぜー!」と煽り、会場中のタオルというタオルが夜空に向かって投げ込まれた。もちろん、今日は“E・YAZAWA”のタオルだけではない。アイドルのタオルも、ミクスチャーバンドのタオルも、ヴィジュアルバンドのタオルも。世代もジャンルも超越したその存在感は、この2日間に出演したあらゆるアーティストの中にあってもやはり特別だ。なにしろラストに「いつの日か」を歌い終え、背中にタオルをかけて去っていく後ろ姿に「ウオオ~」と大きなどよめきがおこったほど。背中ですべてを語るのだから間違いない。



MOSSAIステージの2日間を締めくくるDJダイノジが登場すると一瞬にしてフィールドがクラブ/ライブハウスと化した。フジファブリックの「夜明けのBEAT」など、とにかくひたすらノリノリ曲をかけながらオーディエンスをMCで煽るのが彼らの真骨頂。大谷のDJと大地のパフォーマンスは東京湾に面したシチュエーションも相まって、終わり行く<氣志團万博>を惜しみながら自身を解放しているように見えた。



「おまえらがいたから、俺たちはつながった」──綾小路 翔

多種多様なアーティストタオルや色とりどりのサイリウムが振られているのを見ると、最後の紹介映像から聴こえてきた綾小路 翔のそんな言葉にも深くうなづける。一見、バラバラに見える2日間のラインナップだが、それぞれのアーティスト見たさに集まったオーディエンスが、<氣志團万博2016>のフィナーレを見届けようとYASSAIステージに集まっている。様々なアーティストがここに集まった理由が<氣志團万博>と音楽ファンの存在なら、ファンとアーティストをつなげてくれたのは、氣志團だ。日の丸仕様の学ランに身を包み「ツッパリHigh School Musical(登場編)」で大トリのステージに上がった氣志團は、サンバアレンジの「One Night Carnival」で木更津の夜をカラフルに彩る。


「知ってるぜ。おまえら、矢沢さんで燃え尽きたんだろ? 俺も危うく燃え尽きそうになった。でも燃え尽きたまま帰っちゃだめ、しっかりしたストレッチが大事。そのために氣志團がいるんだぜ」──綾小路 翔

朝から盛り上がり続けたフェスの癒し役を買って出たのだが、もちろん熱いステージも客席もそうはさせない。きただにひろしを迎えた「ウィーキャン!」で会場が一体になる力強い歌声を聴かせ、「彼女たちがいなかったら、<氣志團万博>はありません」と紹介されたももクロがセーラー服にサンタ帽で氣志團とともに「SECRET LOVE STORY」を歌い、ステージには季節外れの雪が舞い落ちてセンチメンタル気分を掻き立てる。さらに綾小路 翔曰く「「喧嘩上等」を一緒に歌いたかった」という横山剣とスカパラホーンズを迎えてのパフォーマンスで、肩を並べて男気全開の太い声で歌う綾小路 翔と横山剣は言わば“矢沢チルドレン”だ。矢沢永吉のライブのあとでこのコラボが見られるとは日本ロックエンターテイメントが<氣志團万博>に継承されていることの証明に他ならない。

そして、2日間の<氣志團万博>を訪れた“親愛なる馬鹿野郎ども”に、氣志團から贈られたのは「愛 羅 武 勇」だ。ラストの「ツッパリHigh School Musical(出発編)」では、この日の出演者たちを歌詞に織り込んで、改めて素晴らしきチャンピオンたちを紹介した。

「何かを、誰かを、好きって最高にハッピーです。みんなも日本の音楽を、日本のアーティストを、こんなにも愛してくれてありがとう!」──綾小路 翔

気が付けば、心配された雨もさほど降ることなく過ぎていったこの日。エンディングは、「みんなでまた会えることを願って」と、海からの盛大な花火が何十発も何百発も上がった。氣志團のメンバーが手をつないで深々と頭を下げながら、2日間にわたり大盛況となった<氣志團万博2016 ~房総ロックンロール・チャンピオン・カーニバル~>が幕を下ろした。



取材・文◎岡本貴之
撮影◎青木カズロー/釘野孝宏/佐藤 薫/中野修也

◆<氣志團万博 2016>初日レポートへ

■<氣志團万博2016 ~房総ロックンロール・チャンピオン・カーニバル~ Presented by シミズオクト>初日
2016年9月18日(日)@千葉県 袖ケ浦海浜公園セットリスト

▼YASSAIステージセットリスト
【アントニオ猪木】
開会宣言
【SiM】
1.f.a.i.t.h
2.Blah Blah Blah
3.GUNSHOTS
4.MAKE ME DEAD!
5.Faster Than The Clock
6.EXiSTENCE
7.KiLLiNG ME
8.f.a.i.t.h
【東京スカパラダイスオーケストラ】
1.Little Green Bag
2.Paradise Has No Border
3.DOWN BEAT STOMP
4.ゴッドスピードユー
5.ルパン三世'78
6.DJ GAMO × Drum 茂木
7.美しく燃える森
8.ペドラーズ
9.All Good Ska is One
【TUBE】
1.シーズン・イン・ザ・サン
2.夏だね
3.Beach Time
4.RIDE ON SUMMER
5.さよならイエスタデイ
6.あー夏休み
【10-FEET】
1.VIBES BY VIBES
2.goes on
3.super stomper
4.1sec.
5.その向こうへ
6.アンテナラスト
7.RIVER
【ももいろクローバーZ】
1.勝手に君に
2.愛 羅 武 勇
3.ザ・ゴールデン・ヒストリー
4.行くぜっ!怪盗少女
5.ツヨクツヨク
6.桃色空
【VAMPS】
1.INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White
2.DEVIL SIDE
3.MEMORIES
4.AHEAD
5.ANGEL TRIP
6.GLAMOROUS SKY with 中島美嘉
7.SEX BLOOD ROCK N'ROLL
【矢沢 永吉】
1.黒く塗りつぶせ
2.サイコーなRock You!
3.古いラヴレター
4.共犯者
5.カモン・ベイビー
6.止まらないHa〜Ha
7.いつの日か
【氣志團】
1.ツッパリHigh School Musical(登場編)
2.One Night Carnival
3.ウィーキャン!
4.SECRET LOVE STORY
5.喧嘩上等
6.落陽
7.愛 羅 武 勇
8.ツッパリHigh School Musical(出発編)

▼MOSSAIステージセットリスト
【SA】
1.START ALL OVER AGAIN!
2.KIDZ IGNITE
3.サマーホリデイズスカイ
4.GO BARMY KIDS
5.RALLY-HO!
【私立恵比寿中学】
1.ebiture
2.誘惑したいや
3.アンコールの恋
4.全力ランナー
5.ポップコーントーン
6.まっすぐ
【森山直太朗】
1.紹介VTR
2.夏の終わり
3.魂、それはあいつからの贈り物
4.鉄のハート
5.さくら(独唱)
【THE COLLECTORS】
1.MILLION CROSSROADS ROCK
2.たよれる男
3.世界を止めて
4.NICK! NICK! NICK!
5.スィート・シンディ
【中島美嘉】
1.雪の華
2.LIFE
3.ORION
4.ALL HANDS TOGETHER
5.GRAMOROUS SKY
【クレイジーケンバンド】
1.タイガー&ドラゴン
2.欧陽菲菲
3.せぷてんばぁ
4.スージー・ウォンの世界
5.GT
6.香港グランプリ
【the GazettE】
1.INSIDE BEAST
2.UGLY
3.BLEMISH
4.TOMORROW NEVER DIES
5.Filth in the beauty
【DJ ダイノジ(前編)】
DJ
【DJ ダイノジ(後編)】
DJ


■<氣志團万博2016 ~房総ロックンロール・チャンピオン・カーニバル~ Presented by シミズオクト>

2016年9月17日(土) 千葉県・袖ケ浦海浜公園
2016年9月18日(日) 千葉県・袖ケ浦海浜公園
9:00開場/10:30開演 (20:40終演予定)
〒299-0268 千葉県袖ケ浦市南袖36
【出演者】
▼9月17日(土)
UVERworld、AK-69、岡崎体育、ORIGINAL LOVE、GACKT presents 神威♂楽園、氣志團、ゴールデンボンバー、小林幸子 (OPENING CEREMONY ACT)、C&K (ASA-ICHI ACT.)、清水ミチコ、湘南乃風、仙台貨物、チームしゃちほこ (WELCOME ACT)、AAA、MAN WITH A MISSION、MONGOL800、RIZE、RIP SLYME
▼9月18日(日)
アントニオ猪木 (OPENING CEREMONY ACT)、VAMPS、SA (WELCOME ACT)、the GazettE、氣志團、クレイジーケンバンド、THE COLLECTORS、 SiM、私立恵比寿中学、TUBE、DJダイノジ、10-FEET、東京スカパラダイスオーケストラ、中島美嘉、ももいろクローバーZ、森山直太朗、矢沢永吉
※50音順・敬称略



◆氣志團万博 オフィシャルサイト
◆氣志團万博 オフィシャルFacebook
◆氣志團万博 オフィシャルTwitter
◆氣志團万博 オフィシャルYouTubeチャンネル
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