【インタビュー】寺嶋由芙、ファーストAL遂に発表「グループと同じくらいの濃さを」

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寺嶋由芙が、9月21日にファーストアルバム『わたしになる』をリリースした。2013年に講談社主催「ミスiD 2014」において一般投票で1位を獲得したという実績も持つ“ゆっふぃー”は、その歌声は心地よく、かわいく可憐で、笑顔が似合う、誰もが認める“ザ・アイドル”。さらには、ゆるキャラ好きを公言し様々なゆるキャラたちとコラボレーションも展開しており、「アイドル」と「ゆるキャラ」を繋ぐ「ゆるドル」になるべく活動中というユニークな路線をゆく。今回BARKSでは、そんな彼女のこれまでの歩みと待望のアルバムについて、そして独自のゆるキャラ論まで、ライター杉江優花女史が幅広く訊いた。

◆寺嶋由芙 画像

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■ わからないながらも言われたからにはやらねば!

──1stアルバム『わたしになる』は、多彩な楽曲たちに由芙さんの真っ直ぐな歌声が映える作品ですね。幼いころから、やはり歌が好きだったのでしょうか。

寺嶋由芙:幼いころのビデオが残っているんですけど、歌ったり踊ったりすることは昔から好きだったみたいで。モーニング娘。の安倍なつみさんを観て“アイドルになりたい!”と思ったんです。

──たくさんいるメンバーの中でも、安倍さんに惹かれたのは?

寺嶋:ひたすらかわいくて、センターにいるべくしている人だなというところですね。

──由芙さん自身、何かとセンターに立つタイプだったりして?

寺嶋:いえいえ、お遊戯会なんかでは、その他大勢のフラミンゴの役をやっていました(笑)。ちなみに、90年代当時は、地元の千葉だけなのかエアロビクスが流行っていて(笑)、習っていたんですよ。それがダンスっぽいことをやった最初です。気づいたらジャズダンスの教室にシフトしていたんですけど、やるほどに楽しくなって。その後、高校生になるまでダンスを続けました。

──歌に関しては?

寺嶋:小学校高学年から中学生になるまで、なぜかヴォイストレーニングに通っていたことがあります。養成所に入って頑張りなさい!っていう感じではなくて、好きなんだったらトレーニングしてみたら?っていうような感じで、親に勧められて。ただ、小学5年生のときにモーニング娘。のキッズオーディションがあって、こんなにアイドルが好き、なっちが好きなんだから絶対に受かる!と思って受けに行ったら、受からなくて。そこでアイドルってそうそうなれるものじゃないんだ!っていう衝撃を受けましたね。いきなり挫折したんです。

──小5にして。でも、そこでもういいやとならなかったから、今があるわけですよね。

寺嶋:もういいやとなれずに、ちょっとずつオーディションを受けてみたりして、気づけば大学生になっていたんですけど……二十歳になって受けられるアイドルのオーディションってほとんどないので、じゃあ自分でやるかと。ライヴハウスを紹介してくれる人と知り合って、その人に曲も書いてもらって、地下アイドルを始めたんです。

──何しろ行動力がありますね。

寺嶋:やっぱり、二十歳になるっていうことが自分の中では大きくて。これが最後のチャンスかなと思ったら、もうやるしかないかなと思ったんです。地下アイドル活動を始めたもののあまりにも手作りだったので、またいろいろオーディションを受けて以前所属していたグループに加入したんですけど、脱退してからはまた一からのスタートでした。そのあと、たまたま今のディレクターさんと知り合って、すぐに「2か月後のライヴに出てもらうから。曲も今から作るから」って言われて、今から3年前にまたソロとして再スタートできることになったんです。そして、そのときのディレクターさんとずっと一緒に、今回のアルバムまでなんとか辿り着いた感じです。

──グループへの加入というのも大きな転機だったと思いますし、今につながるディレクターさんとの出会いにしても、引き寄せ運があるんでしょうね。

寺嶋:タイミングにはすごく恵まれていると思います。グループに加入できたのも、もう自分はアイドルグループに入れないと思ったからソロで活動を始めたのに、事務所全体のオーディションを受けたら、欠員補充で入ることになって。そこから1年ちょっとでたくさんの“ヲタク”にも会えたし、応援してくださる方が増えたところで、あらためてソロ活動を始めることができました。今回の事務所移籍に合わせてメーカー移籍ができたことにしても、アルバムを加茂(啓太郎)さんにプロデュースしていただけたことにしても、本当にありがたいことだなと思いますから。

──加茂さんといえば、ウルフルズや氣志團、フジファブリック、ナンバーガールを発掘したことで知られる方で、アイドルを手掛けられる印象はないんですが……。

寺嶋:そうですそうです、アイドルは私が初めてみたいです。私がグループに所属していたとき握手会に来てくださって、「業界人っぽいけど誰なのかな?」って思ったのが最初の出会いでした(笑)。その後、ソロを始めるタイミングでたまたま紹介してもらってお会いしたら、「アイドルをやってみたいなと思っていたので一緒にやってみましょう」って言っていただいて、なんというか拾ってもらいましたね。振り返ってみると、全部良いタイミングで出会えてこれたんだろうなぁと思います。

──その上で、『わたしになる』は初のアルバムになるわけで、きっと格別の想いをもって制作に臨んだのではないかなと思うわけです。

▲アルバム『わたしになる』初回盤

寺嶋:作家陣の方々、スタッフの気持ちも込みで、私がきちんと届けねばっていう責任感をもって制作に臨んだし、そういう気持ちで今もリリースイベントをまわっています。いろいろな方の支えでやっとアルバムを出せるという感動が、すごくあります。

──しかも、古き良き時代を彷彿とさせる王道のアイドルソングから琴線震わせるバラード、エキセントリックなアッパーチューンまで実に多彩な作品で、楽しい驚きがあるなと。アイドル好きはもちろん、音楽好きにも広く深く刺さる作品ではないでしょうか。

寺嶋:ありがとうございます! 前のシングルがこうだったから次はこうとか、これまでにない色を次のシングルでは出そうとか、新曲ではこんなチャレンジをしようとか、その都度、作家さんやディレクターさんから提案いただいたり、自分から提案させていただいたりして。曲それぞれ、どう表現するかを勉強しながら作れたと思います。

──これまでいろいろな音楽を聴いてきて、その蓄積が役に立っていたりとかも?

寺嶋:「ふへへへへへへへ大作戦」なんかはサウンド的に昭和の王道アイドルを意識しているんですけど、両親が好きだった懐メロをよく聴いていたから掴みやすかったです。イベントで共演させていただくアイドルさんの曲もいろいろ聴くんですよ。今ってかわいい系からロック系までいろいろなタイプのアイドルさんがいて、グループだったらその中でのそれぞれの役割があるじゃないですか。ひとりだとそれを全部の役割を担わなくてはいけないんだろうなというところで、曲としても活動内容としても、グループと同じくらいの多彩さや濃さを見せたいという想いはあります。昔のアイドルってソロが当たり前だったから、キャラも立っているし、かわいいし、歌も上手いし。そこを目指していかないと、このグループ全盛の時代にやっていけないんだろうなって。

──その覚悟があるから、冒頭で言った通り、どんな曲でも雰囲気だけではなくてちゃんと真っ直ぐに、メロディを大事に歌うんですね。

寺嶋:いえいえ、技術不足だなと思うことはよくあります。ひとりということもあるし、ライヴ1本終えた後なんかには「もう少し歌が上手かったらなぁ」ってヘコんだりとか(苦笑)。ただ、レコーディングのときには、rionosちゃん(アルバム『わたしになる』では「ふへへへへへへへ大作戦」「カンパニュラの憂鬱」「猫になりたい!」「ゆるキャラ舞踏会」「#ゆーふらいと」の作曲・編曲などを手掛ける)をはじめ、作曲家さんご自身がディレクションしてくださることが多くて。「そこの半音はもうちょっとこういう感じで歌える?」とか、わからないながらも言われたからにはやらねば!と思ってやってみるんですよ。

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