【インタビュー】グリーン・デイ「バンドを始めて、オリジナルの曲を書いてくれ!」

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グリーン・デイが、10月7日に通算11枚目となるアルバム『レボリューション・レディオ』を世界同時発売した。通算7,500万枚以上のレコード・セールスを誇り、グラミー賞に5回輝く彼らの最新作だ。期待度は計り知れない。今回BARKSでは、ビリー・ジョー・アームストロングにせまったオフィシャルインタビューをお届けしたい。彼の言葉からは、パンクが、社会が、よく見えてくる。

◆グリーン・デイ 新作MV映像

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■ 政治的なことを書く時も
■ ラブ・ソングを書く時と同じ場所から生まれる必要があるんだ

▲アルバム『レボリューション・レディオ』

──ニュー・アルバム『レボリューション・レディオ』を昨晩聴かせていただきましたが、本当に本当に素晴らしいアルバムですね。あなたはニュー・アルバムの出来をどう感じていますか?

ビリー:ありがとう! 俺達は新作の出来にすごく興奮してるんだ。この新作を作る前に、少し休暇を取ったんだ。休暇を終えて集まった時には、新鮮な気分になってた。そして作曲に取りかかって最初に書いた数曲に、俺達はすごくいい手応えを感じたんだ。それをもとに、アルバムを築いていったんだよ。最高のグリーン・デイ・アルバムが出来たと思う。

──前作の3枚、『ウノ』、『ドス』、『トレ』はどれも非常に楽しいアルバムとして仕上がっていましたが、今作はファンがグリーン・デイに期待する全てと、それ以上のものが入っていると感じました。初期のグリーン・デイを彷彿とさせるリフやメロディがありつつ、同時に最新のサウンドになっています。今回、どんなサウンドを達成したいと考えていましたか?

ビリー:グリーン・デイとしてやってきた長年の経験の全てを使って、それらをアルバムに注ぎ込みたいと思っていたんだ。まず「レボリューション・レディオ」のような曲を作曲したことで、今作の制作中は『ドゥーキー』や『インソムニアック』、『ニムロッド』、90年代に僕達がやった音楽に立ち返ることができた。でも同時に、『21世紀のブレイクダウン』、『アメリカン・イディオット』の音楽もアルバムには入っていると思う。だから、そういうアルバムを作ることを考えながら、その考えにとらわれすぎないようにした。それから、なるべくシンプルなサウンドにして、でもシンプルにもしすぎないようにしたんだ。この説明で分かるか分からないけど。

──分かります。『アメリカン・イディオット』のようなアルバムだと言うつもりはないのですが、このアルバムを聴いていて、一本のミュージカルか映画を観ているような気分になりました。アルバムを通して一続きの物語を綴ることは、意識されたのですか?

ビリー:確かに『レボリューション・レディオ』は、リスナーを旅に連れて行くようなアルバムになったと思う。俺達は以前から、それぞれの曲が少しずつ関連しているアルバムを作ってきたんだよね。でも、どの曲も現実の人生についての曲だよ。私的なことも政治的な混乱も、どれも現実なんだ。それらの曲を繋ぎ合わせたんだけど、最後の曲「オーディナリー・ワールド」では、ただ何かを探しているんだ。そこで物語がとぎれるみたいにね。

──ファースト・シングル「バン・バン」は、明らかに政治的な内容を含んだ歌詞ですが、この曲について教えて下さい。

ビリー:「バン・バン」は、このアルバムのために最初に書いてデモを作って、トレとマイクに聞かせた曲なんだ。サンタバーバラで起こった銃乱射事件についての曲なんだけど、俺はこの事件の殺人犯の視点で歌おうとしたんだ。その立場で歌うっていうのは、かなり怖いことだったよ。この曲についてソーシャル・メディアを通して考えて、テロリズムのことを考えて、アメリカと世界で日々起こっていることに共通することは何だろうって考えると、炎上する可能性はあると思う。


──アルバムのタイトル・トラック「レボリューション・レディオ」についても教えて下さい。

ビリー:ブルックリンからニューヨークに車で戻ってる時に、渋滞にはまったんだ。ニューヨークの8番街で、ファーガソン事件のプロテストが起こってたからだった。ホテルに戻ったら通りの声が聞こえて、俺は彼らと一緒に歩きたいと思って、でも行っていいのか迷ったんだ。なんでそう風に感じたかは分からなかったけど、結局行くことにして、そのプロテストの一員として一緒に歩き始めたんだ。そして、周りの声を聞きながら、これを全て曲にしようという思いになった。でも同時に、この曲は俺達のファンに対してのラブ・レターでもあるんだ。俺達がずっと一緒にい続けていること、変わり者で、人権を剥奪されているように感じている俺達が一つにまとまって、自分を見失わずにいられることについての曲なんだ。

──では、「僕は革命を起こしたい」っていう歌詞は、ファンと一緒に革命を起こしたいっていう気持ちがあるわけですか?

ビリー:文字通り「革命を起こしたい」っていう意味で言ってるんじゃないんだ。文字通りに解釈する人もいると思うけど、社会のメインストリームとは離れた何かを一緒に創造しよう、っていうことなんだよ。その人を落ち込ませるような色々な状況を一緒に乗り越えようっていう意味なんだ。


──ファーガソン事件のプロテストに参加したことで、今作は前作よりも政治的な歌詞を多く書きたいと思ったのでしょうか? 前作の取材で、「政治的な歌詞を書きすぎると自分に手錠をかけているような気分になるんだよね」とおっしゃっていましたが。

ビリー:前作では、本当に時事的な内容からは離れたいと思ってたんだ。それでも「99レボリューションズ」っていう曲を書いて、あの曲の視点で歌うのは、本当に楽なことだったんだよ。それがこのアルバムの歌詞を書く時に、引き続き影響したんじゃないかな。なんていうか、これが俺なんだよね。政治的というか、世界で起こっている時事について書く時も、ラブ・ソングを書く時と同じ場所から生まれる必要があるんだ。そうでないと、ただ吐き出しているような歌詞にしかならない。俺にとっては、インスピレーションから生まれる歌詞であることが必要なんだ。そうでないと、教科書みたいな歌になる。そんな歌は歌いたくないからね。

──ソーシャル・メディアについて触れている歌詞もありますが、私はあなたのインスタグラムをフォローするのが好きです。ソーシャル・メディアの現在についてはどう思っていますか?

ビリー:過去4年間でソーシャル・メディアは激変したよ。前作3枚を出して以来、特にね。ファースト・シングルの「バン・バン」のリリースについてインスタグラムにアップして、10日後にシングルが出たら大熱狂が起こってて、すごく面白かったんだ。でもふいをつかれた感じでもあって、すごく嬉しいことだったのに、凄すぎてパニックになっちゃうような感じだった。被害妄想みたいなね。被害妄想を感じる理由なんか何もないのにさ。でも、今のソーシャル・メディアって、そういうものなんだよ。

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