■マーティさん、“スルメ曲”という言葉を知っているんだ(笑)(クロちゃん)
■スルメ曲というのはすごく上手い説明。英語では同じ意味の言い方がないんだよ(マーティ)


――デスラビッツのアバンギャルドな「うさぎのきもち」も、注目の1曲です。

マーティ:これは、本当にクレージー(笑)。なぜ、この曲を代表曲に選んだかというと、この何でもありという冒険的な姿勢が凄いなと思って。メタルも入っているし、ジャズの要素も入っているし、デス・ヴォイスとかヒップホップとかも入っているという風にすごくトリッキーなのに、ちゃんと1曲として成立しているんですよね。最初に聴いた時は、“なに、これ?”と思うかもしれないけど、2回、3回と聴くと病みつきになる。だから、スルメみたいな曲ですね。

クロちゃん:マーティさん、“スルメ曲”という言葉を、知っているんだ(笑)。ビックリした(笑)。

マーティ:スルメ曲というのは、すごく上手い説明じゃないですか。洋楽でもそういう曲があるのに、英語では同じ意味の言い方がないんだよ。だから、“スルメ”という言葉を知った時に、“これだよ!”と思って、すぐに覚えたんです(笑)。


――英語に同じ意味の表現がないというのは意外です。それにしても、デスラビッツを聴くと、今は本当にいろいろなアイドルが存在していることが分かります。

マーティ:今のアイドルシーンは、どんどん冒険的になっていると思います。競争が激しいから、とにかく新しい何かをしないといけないという意識がある気がする。だって、「釣りをしよう」というアイドルとかがいるんだよ(笑)。

クロちゃん:アハハ(笑)。つりビットちゃんは、元々釣りをやったことのない5人が集められて、釣りを始めて。そうしたら、オッサン達まで釣っちゃったという(笑)。たしかに、今のアイドルは個性を打ち出すことが重要で、そういう意味ではみんな勝負していますよね。デスラビッツさんにしても、本人達も、運営も戦う気持ちがなければ、こういう曲は出さないと思うんですよ。でも、それがすごく魅力的で、デスラビッツは勝負に勝ちましたよね。

マーティ:そう思う。

クロちゃん:だって、デスラビッツさんなんて“部長さん”というわけの分からない男がメンバーにいて、普通に考えると絶対に邪魔しているはずなんですよ。DREAM5のあきら君だったら中性的な感じがするから許されるけど、部長という意味の分からないヤツが入ってきて、しかも変な格好をしているから、最初は“なんなの?”と思った。けど、ライブを観ていると、部長のデス・ヴォイスが良かったりするし、ファンのみんなは「帰れ!」とか「出てくんな!」とか言ってるけど、そうやって野次るのが楽しかったりするんですよ。そんな風に、デスラビッツさんは型破りというか、掟破りのアイドルだけど、すごく面白いんです。

マーティ:音楽も面白いしね。面白いといってもメチャクチャなわけじゃなくて、すごくちゃんとしているし。だから、アイドルに全く興味のない音楽重視の人にぜひ聴いて欲しいし、そういう人にとってアイドルの良い入り口になると思う。デスラビッツから入って、AKB48まで行って欲しいです(笑)。


――興味が湧いたら、思い切りアイドルの世界を楽しんで欲しいですね。他にも、「刹那の夜の中で」という曲を歌っているprediaというグループの大人っぽいイメージや歌のスキルの高さなども印象的です。

マーティ:prediaは『アイドルお宝くじ』に出ていて、それで知ったんです。僕は『アイドルお宝くじ』のナレーションをしているけど全部のアイドルを聴くわけではなくて。チラッ、チラッと耳に入った中で良いなと感じるものがあると、ちゃんと聴くという感じなんですね。それで、prediaは聴くようになりました。

クロちゃん:prediaは言われた通り、大人っぽいですよね。『楽曲派!』にも入っているPASSPO☆さんのほうが芸歴は長いけど、PASSPO☆のお姉さん分ということになっていますし。僕は、prediaはパッと見た時に、ちょっとアイドルとは違うと思ったんですよね。ちょっと夜の蝶の匂いがしたというか。横に座って、お酌して欲しいなと思ってしまったんです(笑)。prediaは“私達とパーティーしましょう”というコンセプトなので、そういう雰囲気があるのかなという気がしますけど。それに、その時によって違うけど、デビュー当初はみんな服装がバラバラで、コンセプトがパーティーということで、ちょっと大人を演出している感じがあって。ステッキを持って、椅子に座ったりしながら歌ったりというようなパフォーマンスをしていたので、僕は元々アイドルという認識ではなかった。でも、そういうグループをアイドルと呼ぶことが新しいから、今は面白い存在だと言われているんです。


――本当に間口が広くなっているんですね。『楽曲派!』を聴いて、さらにお二人の話を聞いて、アイドルの世界に興味が湧きました。

クロちゃん:それは、すごく良いことです(笑)。今のアイドルシーンは、本当に面白いんですよ。競争が激しい中で上を目指しているから、みんなすごく努力していて、そういう気持ちが全面に出ているんです。そこが良いんですよね。“がんばろう!”という気持ちがないと、どれだけルックスが良くても、歌やダンスが上手くてもお客さんに響かないから人気が出ない。今アイドルをやっている子達はみんなすごく努力をしていて、応援したいという気持ちになりますよ。

マーティ:そうだね。それに、最初に言ったように、今のアイドルは音楽面のクオリティーも高いから。音楽ファンは、新しくて良い曲が好きだから、アイドルの曲をフラットな耳で聴いたらきっと惹かれると思う。なので、表面的なところで、曲が好きかどうかを判断して欲しいですね。そうしたら、アイドルの世界はもう少しリスペクトされるだろうから。だって、僕らアイドルファンは、アイドルの曲を本当に大事にしているんだよ。音楽面が正当に評価されて、アイドルが好きだということが恥ずかしくない状況になると良いなと思っています。

クロちゃん:同感です。、なんかね、アイドルファンというとオタクとか、根暗とか、コミュニケーション下手とか、オタゲーするんでしょう…みたいに思われているじゃないですか。でも、実際はコミュニケーションを取りながら、どうすればこの子達が売れるのか、がんばってくれるのかということを、みんなで考える……つまり、無償の愛で見ている人も多いんですよ。変な人達だけではなくて、本当にキチンと応援している人が大勢いるし、そういう人達は凄いんだということをアイドルを通じて分かってもらえるようになって欲しいから、マーティさんが『楽曲派!』みたいなものを作ってくれたことを、僕は本当に誇りに思います。

――たしかに、こういう切り口のアイドル・アルバムは今ままでなくて、画期的な一作といえますね。それに、『楽曲派!』のリリースを記念して、11月3日に渋谷・SOUND MUSEUM VISIONでイベントも開催されます。

マーティ:これは、『楽曲派!』に楽曲が収録されているアイドルが何組かが出演するライブ・イベントです。だからね、楽しいイベントになるのは間違いない。それに、クロちゃんも参加します。

クロちゃん:普段からアイドルを応援している人はもちろん、『楽曲派!』を聴いてアイドルに興味を持った人にもぜひ来て欲しいですね。アイドルのライブというとすごくオタッキーな空間をイメージするかもしれないけど、そんなことはなくて。最近はいわゆるオタクではない人がいっぱいいるし、女の子のお客さんも増えているから、全然普通の音楽のライブだと思って来てもらえればと思います。それに、アイドルのライブに行ったらアイドルオタク達と同じようなノリ方をしないといけないんじゃないかと思っている人も多いみたいだけど、全くそんなことはなくて。オタク達と同じようなノリ方をして楽しみたければそうすれば良いし、したくなければしなくて構わない。何かを強要するような人はいなくて、それぞれが好きなように楽しめる場になっているんですよ。だから、気楽に足を運んで欲しいです。とにかくね、アイドルは良いなと思ったら行かないと、人生を損するということだけは言っておきます。

マーティ:その通り。どうしようかなと迷っている暇があったら、とりあえず一度ライブに行ってみることを薦めます。

取材・文●村上孝之





『楽曲派!-GAKKYOKUHA- selected by マーティ・フリードマン』

2016年10月5日(水)発売
CRCP-40480 ¥2,500(税込)
1.さくら学院「ベリシュビッッ」
2.アフィリア・サーガ「Never say Never」
3.ひめキュンフルーツ缶「パラダイム」
4.まねきケチャ「きみわずらい」
5.ベイビーレイズJAPAN「走れ、走れ」
6.さんみゅ~「純情マーメイド」
7.ななのん「キス ミー ダーリン♡ feat.ザ50回転ズ」
8.つりビット「Chuしたい」
9.デスラビッツ「うさぎのきもち」
10.predia「刹那の夜の中で」
11.愛乙女☆DOLL「セツナツ、ダイバー」
12.ぱすぽ☆「少女飛行」
13.CLEAR'S「答えしか知らないツライ」
14.アイドルネッサンス「君の知らない物語」
15.GAKKYOKUHA MEGA MIX

リリースイベント情報

2016年11月3日(祝・木)東京・SOUND MUSEUM VISION
出演:アフィリア・サーガ/CLEAR’S/さんみゅ~/デスラビッツ/まねきケチャ/他
MC:クロちゃん(安田大サーカス)/神崎部長
チケット:9月7日(水)12:00より各種プレイガイドにて販売開始


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