【インタビュー】木村カエラ「“PUNKY”って誰でも持っていて熱く絶対に変わらない自分だけの思い」

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10月19日、木村カエラが1年10ヶ月ぶりにニューアルバムをリリースする。9枚目となる新作のタイトルは『PUNKY』。デビュー以来、木村カエラといえばアバンギャルドなファッションアイコンとしてもお馴染みだっただけに、トゲトゲの鋲をつけたジャケットビジュアルとあいまってハマりすぎのタイトルだ。さらに今作では、ヒイズミマサユ機など、新たな顔ぶれが楽曲提供やプロデュースを行った。デビューから12年を経てもフレッシュさを失わない彼女の魅力に溢れた一作となっている。

◆木村カエラ~画像&映像~

■開きっぱなしのままって邪魔になることもあるんです
■作品を作る時は特に自分を閉じて深く掘り下げることが必要


――前作『MIETA』の時はデビュー10周年とも重なっていたので、活動としては過去を振り返ることもあっただろうし、リスタート的な感情もあったと思うんです。そういう時間を経たからこそ、「次はどうしようかなぁ?」っていうのは悩みどころだったと思うんです。そこらへんはどうでした?

木村カエラ(以下、木村):10周年のライヴのあとにアルバム『MIETA』が出てツアーを開催したそのくらいの時期ですね。次の作品に取り掛かろうって思っていたんです。でも、『MIETA』のアルバムが出来た時には、自分の中ではスッキリしていましたが、まだ次に進んだ感じがしてなくて。

――10周年とはいえ、時間としてはつながっているからね。

木村:前に進んで、自分の表現をちゃんと納得いくところまでやっていこうとしてはいるんだけど、得るものがある時とない時があるっていうか。その「得るもの」が、『MIETA』の時は、アルバムが完成した時も手ごたえが少ないという感じで、ツアーをやった時も物足りない感じがして……気持ち的なスッキリ度合いが足りないって思っていたんです。

――見えたと思っていたものが見えてなかった?

木村:見えてはいるし、何か抜けた感じはしていました。でもライヴが終わっても、ライヴ中も何かしらモヤモヤしていた。すごくいいライヴもできたと思うし、パフォーマンスも良かった。でもライヴが終わったあとに自分自身が普段に戻ると、心のどこかでモヤモヤしていて。それが何かわからなくて、その状態が結構長く続いていました。


――それが何かは今はわかったの?

木村:10周年の時にみんなへの感謝の気持ちが強くなって、作品を作るにしても、みんなの声を聞くようになりました。そこに頼りすぎたのが原因だったと思う。それに気づいていなくて。

――なるほど。実は、10周年のタイミングでインタビューをした時に、「自分だけの10周年じゃないんだと気づいた」って言っていたんですよね。それが原因ですかね。

木村:はい。そこでファンの皆さんや、関わった方々への色々な想いが開きっぱなしのまま、閉じなかったんです。でもきっと、いわゆるアーティストって言われている人や、私のやっていることにとっては、開きっぱなしのままって弊害になることもあるんですよね。作品を作る時は特に集中して、自分の中を深く掘り下げることが必要だったりするから。それはわかっているはずだったんだけど、閉じることができないまま過ごしていて。だからライヴの時も完全に閉じることが出来なかったんだと思うんですよね。自分としては閉じているんだけど、閉じ切らない状態で、ずっとツアーを回っていたんだけど、最後、下北沢シェルターでライヴを終えた途端に閉じました。閉じた途端に「今まで何やってたんだ私!」ってなって。

――我に返ったんだ。

木村:はい。それで、ものすごく後悔をしました。ここで出し切らなきゃって思いながらずっと生活していて、モヤモヤもしているし、答えが出ないまま、ずっと気持ち悪かったんです。でもその気持ちを誰に話せるわけでもないし。自分がそんな状態だから仕事も思うようにいかなかった。でも、閉じた瞬間に「あぁ、これはもう自分を鍛え直さないとダメだ」と思って。それで一旦、ずっと一緒にやってくれていたバンドメンバーから離れたんです。みんなといると甘えちゃうし、感謝の気持ちもあるし。みんな、私をデビューさせるためにメチャメチャ頑張ってくれた人たちだし、家族みたいだから、この人たちといたら甘え続けてしまうだろうな……と。

――感謝してるからこそ、また開いてしまうしね。

木村:その感謝の気持ちが、おそらく私をダメにしていたし、一緒にやってくれているみんなのこともダメにすると思って。でも、それまで一緒に歩いてきたぶん、自分に元気がなくなっていく時は、それを一緒に経験してほしくはない。だから、閉じることができたあとは、まず自分が一人で立ち上がっていきたいと思ったんですよね。そこでみんなと一緒にではなく、自分だけでいい波を作らないといけないと思って、「今回から違うメンバーでいきます」って、バンドメンバーに説明をしました。

――なるほど! そういうことだったのか。今作にシノッピ(渡辺忍)が参加していないのはどうしてかなって思っていたんですよ。

木村:そういうことなんです。それってすごく勇気のいる決断だったし、本当に10代の時からデビューも決まっていない私の世話をみんながしてくれていたから。デモテープを作るために夜中までスタジオに入ってくれたり、本当に感謝の気持ちと情といろんな気持ちがあるんですよね。だから家族なの。そこをあえて切り離そうと。みんなにも、「自分1人で行くところまで行って、もっと強くなってくるので、ちょっと私を旅立たせてください」と言って。そうしたらみんな、「大丈夫だよ。応援してるからね」って言ってくれて。優しいですよね。

――そうだったのか……。

木村:10周年で開きすぎていた時って、世の中的に打ち込みの音も流行っているし、かと言って自分は打ち込みの音がガッツリ好きなわけじゃないんだけど、そういう方向に行った方がいいのかな?とか、いろんなことを考えすぎてたというか。「一人じゃ限界があるから、他のメンバーとやってみるのもいいかもしれない」と思ったんです。ヒイズミ(マサユ機)さんと一緒に作ってみたいというのは決まっていたから、最初はヒイズミさんが集めてくれたメンバーと一緒に作るっていうのを繰り返しながら、「やっぱり今までのメンバーに甘えてたな」と改めて気づきました。新しい人と一緒にやると、自分が目立ちたいって感情が出てきて「この人たちに負けていられないぞ!」という気持ちになるんです。

――いつものメンバーだとバンドの一員になっちゃってたんだね。

木村:はい。みんな、テクニックももちろんあるし、歌にも本気でぶつかってくる。自分がそこでナメられちゃいけないし、音楽のことをもっと勉強しなきゃいけないなとも思ったし、いろんなことを感じました。自分が今まで足りないと思っていた部分も。で、夏フェスをやる時に、キーボードはヒイズミさん(key)、ベースはくるりの佐藤(征史)さん、ドラムがキャシー(柏倉隆史)、ギターにアイゴン(會田茂一)さんというメンバーでサポートをしてもらったんです。キャシーとアイゴンさんは昔からやってもらっている二人ですけど、ドラムに関しては、ずっと私の真後ろで叩いているから、結局、キャシー以外の人では難しいということがわかって。

――リズムは鼓動と一緒だもんねぇ。

木村:キャシーのドラムが歌と一緒に鳴っていないと落ち着かないし、歌えなくて。ドラムって、真後ろだから自分の声と同じ位置で聞こえるんです。そこにアイゴンさんも参加することになって。それぞれみんな個性的な人たちなんだけど、面白いし、自分も負けちゃいけないっていう気持ちになるし、安定感もあるから、すごくよくて。それで、そのままアルバムの制作にも入っていこうということで、そのメンバーでアルバム制作もして。

――そこまでたどり着くのも時間がかかったね。

木村:うん。長かったし、抜け出すのがすごく時間がかかったし大変でした。

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