【インタビュー】“鉄のまち”東海市が繰り出す、LAメタルの祭典

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<今こそ語る!LAメタル>と名づけられたシンポジウム&ライブが、“鉄のまち”東海市で開催される。11月3日(木・祝)、愛知県東海市の東海市芸術劇場 大ホールにて<鋼鉄フェスティバルVol.2>として催されるもので、今回はポール・ショーティノを招き、ラフカットやクワイエット・ライオットのナンバーを披露するパフォーマンスが予定されている。

◆<鋼鉄フェスティバルVol.2>画像

今回BARKSでは、このライブに参加するメンバーから、瀬上純(Crush 40)と若井望(Destinia、Mari Hamada)というギタリスト2人と、ドラマーのルイス・セスト(SOUL DOCTOR)の3人で座談会を行った。イベントの魅力はもちろん、それぞれのLAメタルへの想いなどを自由に語ってもらう中で時折垣間見える少年時代の一面も微笑ましく、そんな彼らを知ってもらった上でライブを体験してもらえたら、<鋼鉄フェスティバルVol.2>がよりいっそう楽しめるのではないだろうか。

文:Sweeet Rock / Aki

──ポール・ショーティノを招いてのライブですが、バックを務めるメンバーはどのような経緯で決まったのですか?

瀬上:最初に僕が話をいただいて、メンバーも決まっていない時に、ちょうどルイスが参加しているカバーバンドに僕も参加する機会があったんです。その時、ポール・ショーティノの話をしたわけでもないのに、たまたま誰とならやってみたい?みたいな話をしてて、「俺、ポール・ショーティノで叩きたいんだよね」と言い出して(笑)、「それ本当?」「マジだよ」「ふぅーん」って思わせぶりな返事をしたら「なに?何かあんの?」って(笑)。「後で連絡するよ」ってその時は言ったんだけど。後で知ったんだけど、ルイスはいつもドラムのサウンドチェックをする時に叩くフレーズが、クワイエット・ライオットの曲だったりするの。今回まさにポール・ショーティノのライブだとラフ・カットとクワイエット・ライオットの曲になるわけじゃない?そういういきさつもあって、軽いドラムより重たいドラムのノリの方が合うし、曲を知っている人に叩いて欲しかったし、やはり愛情を持ってやってくれる人が良かったしね。

ルイス:タイミングもだよね。

瀬上:そうだよね。あとは海外のミュージシャンとの経験がある人だと色々な意味で楽だとも思った。任せられる事はメンバーに任せたかったから、「他にあと誰が海外ミュージシャンとの経験があるか」と考えた時に「若井くんだ!」と頭をよぎったんだよね(笑)。で、彼がどういうギターを弾くのかは知っていたけど一緒にプレイした事はなかったから、とりあえずメシ食おう!って呼び出して(笑)。

若井:自分も瀬上さんが前々からジョニー・ジョエリと演っていたりはもちろん知っていたし、色々なところから凄い人だよとは聞く機会はあって。SNSでコンタクトする機会はあったんですけど、一緒にやる事はなかなか実現しなかったんですよね。


▲瀬上純(Crush 40)


▲若井望(Destinia、Mari Hamada)

瀬上:一番最初は、パワーヌードの15周年だったかな?歴代メンバーが集うライブがあってね。森川さんは以前から面識があって、挨拶を兼ねてライブを観に行ったんだけど、そのバックステージで話したのが最初だよね?

若井:そうですね、当時から瀬上さんはゲーム音楽を手掛ける中でエリック・マーティンやトニー・ハーネルと演られてて「スゲェ!」みたいな(笑)。自分も裏方の仕事でゲーム音楽にも携わった事もあったので、こんな先駆者が居るんだ!とずっと思ってた。

瀬上:実際「メシ食おうよ」って会ったときなんか、3時間くらい話してたよね(笑)

若井:そうですね(笑)。もう聞きたい事がたくさんあったので。

瀬上:このプロジェクトの話はしないまま、普通にギターの話とか、どうやってシンガーにアプローチしてるとかね。

若井:最後の方に今回の話が出た(笑)。

瀬上:興味ある?みたいなね。やるからには気持ち良くできるメンバーを集めたかったんだよね。曲は知っているにしても、バンドサウンドをゼロから作り上げて再現するわけだから。そんな感じで、まずここの3人が決まって、ベースのShoyo(CROSS VEIN)は若井くんも僕も別のバンドやセッションなんかでも関わりがあったし。Shoyoは、ルイスとは音は出した事はなかったんだよね?

ルイス:そう、会った事はあるし存在ももちろん知ってたけど、一緒にプレイしたことはなかった、対バンはあったけどね。

──そもそもメンバー、いつ頃からのお知り合いなんですか?

瀬上:謎だよね(笑)。

ルイス:お互い知ってるのはだいぶ昔からだね。

若井:自分なんかはそれこそ20歳になる前から。ブラインドマンが目黒のライブステーションのトリで出てる時に、前の方に出てるインディーズバンドだったんで(笑)。

ルイス:ウィンフィールド。

若井:そうです(笑)。僕が19歳か20歳くらいで、ブラインドマンの後輩分的なバンドでした。

瀬上:ライブステーション繋がりだね。

ルイス:そうだね、俺も瀬上さんももともとソコで知り合っているもんね。ブラインドマンに入る前、セッションとかやってた頃。

瀬上:同じ小屋で育ったという感じかな。ベースのShoyoと出会ったのも若井くんと同じタイミングで、Shoyoが誰かと「DIOが大好きで」とか話している会話を小耳に挟んだのがきっかけで。

──ずばり、皆さんにとってのLAメタルとは?

瀬上:育ったもの。その前は、デュラン・デュラン、カジャ・グー・グー、GIオレンジ、ポリスって感じだったけど、その手のバンドに出会ってハードロックに目覚めた。MTVでビデオクリップにクワイエット・ライオットやらラットやら出てきたのを観た。やっぱり中~高校生の頃に聴いたものって血となり肉と…ベースになるじゃない?

若井:自分は後追いですけど、華やかな部分とサウンドの中にもちょうど良い頃合いと言うか、ストライパーやW.A.S.P.、それにラット、ポイズンなんかが好き。

ルイス:ルーツだよね。

瀬上:ストライパーで言えば、高校時代にコピーしてたなあ。足に黄色と黒のスカーフ巻いたりしてさ(笑)。

若井:華やかなロックスターの憧れがそこにありますよね。

ルイス:衝撃的だったよね、俺は音楽を聴き始めたのって中学に上がる頃だったのね。最初はキッスとか聴いてて、それからLAメタルで全盛期。

瀬上:写真1枚から来るインパクトも凄かったよね。

ルイス:ある意味、俺にとっては音楽を演るきっかけになったくらい。本当にルーツだよね。

若井:ウォーレン・デ・マルティーニとか、こうなりたい!ってね(笑)

瀬上:中学生の時に中米に住んでたんだけど、日本から音楽雑誌を月に一回送ってもらってたの。ヤングギターとミュージックライフと交互にね、ひと月に2冊は買ってもらえないから交互に。そうするとさ、読みたくても読めなかった記事がたくさんあるんだよね(笑)「来月の特集はコレ!」うわー、読めないじゃんって(笑)インターネットとかなかったし、当時は雑誌を目を皿のようにして読んでたよね。

若井:後追いなので当時のバンドの事はCDの解説や雑誌の文献で知るって感じですね。当時のインタビューをまとめたものとか。

瀬上:でも後追いのメリットもあるよね?発売を待たなくていいじゃん(笑)。

若井:むしろ探すのは結構大変でしたよ。廃盤になってた時期でしたし。色々なところを回ったりとか当時の映像をみるのに西新宿に行ったりとか(笑)。Youtubeなんかもなかったですしね。ポイズンこんなんだったか!とか(笑)。

瀬上:ポイズン、初来日のビラは今も持ってるよ(笑)、赤い紙のやつ。

若井:楽曲のクオリティーが当時のバンドは本当に高いですよね。

瀬上:キャッチーだよね。そんな中でもラフ・カットは異質だったよなあ。

ルイス:当時から俺もラフ・カットは印象に残ってる。当時、御茶の水のロック系のショップにラフ・カットの1stアルバムのジャケのTシャツが飾ってあって、まだ小学生か中学生でお金も持ってなくて、あれ欲しかったなぁ(笑)。ラフ・カットは名前とかロゴ、ジャケットのデザインとかもインパクトあった。


▲Shoyo(CROSS VEIN)


▲ルイス・セスト(SOUL DOCTOR)

──今回ポール・ショーティノと実際に共演できる事になって、お気持ちはいかがですか?

ルイス:思いがけない形で夢がひとつ叶ったかな、音楽ずっとやってて良かったと思った。

瀬上:あのタイミングでルイスが主催するカバーバンドにゲスト参加していなかったら、今回一緒にやってなかったかもしれないよね。

ルイス:誰か別のドラマーがやってて、多分凄く悔しがったと思う(笑)。素直に嬉しい。

瀬上:全てが縁というか、タイミングもそうだし、ドンピシャだったよね。

若井:自分もルイスさんのカバーバンドに参加させてもらった時に、「Stars」のポール・ショーティノの話で盛り上がって。そんなに普段、ポール・ショーティノの話をする機会もないですし。

瀬上:そもそもポール・ショーティノと共演した事ある人ってそんないないだろうし。

若井:そもそもアミア・デラク・モデルのギターをちゃんと保存してるのは瀬上さんくらいしか居なかったと思うので(笑)、なるべくしてなったんですよ。

瀬上:然るべきところに声が掛かったと言うか。

若井:LAメタルを題材としたシンポジウムも同時に開催される中でのこういうイベントに、LAメタルに影響受けた自分が参加できる事は特別に意義深いものがありますね。

──このイベントの意味は?主催は東海市ですよね?

瀬上:うん、あのエリアは鉄鋼業とか盛んなところらしいんだけど、イベント会場の東海市芸術劇場の館長兼芸術総監督の安江さんは、クラシックにもメタルにも通じている方なんです。以前、新日本フィル交響楽団とイングヴェイ・マルムスティーンとの共演を仕掛けたくらいハードロック関係にも熱い想いを持って接しているということで、メタル系を題材に東海市で鋼鉄フェスティバルを行なっていて、第1回目のテーマがポール・ディアノをフィーチャーしたN.W.O.B.H.M.、第2回目のテーマが今回のLAメタルなんだけど、なぜポール・ショーティノになったかと言うと、安江さんが「Stars」の中で一番印象に残ってる声の持ち主がポール・ショーティノだったと聞いています。

──シンポジウムとライブ、どんな内容になりそうでしょうか?

瀬上:シンポジウムは台本なんて無いだろうから、広瀬編集長(BURRN!)と増田さんが色々と体験談を交えて、話を繰り広げてくれるのではないかと思います。増田さんは、モトリー・クルーなど大勢が参加していたUSフェスティバルなんかも会場にいらしたと思うしね。

若井:そうですよね、BURRN!では「LAメタルの真実」ってコーナーもあって。

瀬上:当時を振り返って今だからこそ語る、言われてた事とは実際には違う事とか、別の当事者からの見方だとこうなるみたいな、あれは面白い企画だよね。

若井:一体どんな内容になるのか?結構深いところまで聞けるんじゃないですか?

瀬上:深いところまで行ける時間があるのかな?ライブは、「Stars」は一番最初から主催者側のリクエストがあって、ポール・ショーティノも快諾してくれていて、東海市と僕とポールの三者で選曲しようという話になり、ポールが参加していたラフ・カットやクワイエット・ライオットから選びたいということで進行しました。じゃあ、クワイエット・ライオットだけは幅を広げてポールが参加していない頃の曲もやろうとか、全員が一致した曲は残して、そうじゃないものは説得を試みたりお互いに意見交換しながら決めた感じですね。

ルイス:良い意味で「ザ・ベスト・オブ・ポール・ショーティノ」になると思う。

──海外のシンガーを呼んで、当時それを聴いていたメンバーでのライブ…とても素敵な企画ですよね。

ルイス:当時、生で観た人も逃してしまった人もいるだろうし、観たくても小さかったとか色々な人が居ると思うけど。ここにきてまた観れる、もしくはやっと観れるって人もいると思うので、そういう場を与えられる事は非常に良いと思う。もっとこういうイベントがあってもいいんじゃないかな。

瀬上:後に繋がるようになるといいよね。

──では、メンバーの意気込みをどうぞ。

若井:せっかくLAメタルのレジェンドと一緒にプレイできる機会なので、純粋に楽しみたいのがひとつ。メンバーもこうして面白いメンバーが集いましたし、演るからにはちゃんとしたものにしたいし、次に繋がるようなものにしたいですよね。

瀬上:今日は4人集まってのリハーサルの初日だったんだけど、良い感じで仕上がりそうな雰囲気ではあるよね。

ルイス:強いて言うなら、ポール・ショーティノの歌を引き出せるような演奏を心がけて、レジェンドを観に楽しみに来られる皆さんが演奏面でも満足して納得して楽しんで帰ってもらえたらいいなと。自分もレジェンドの歌を聴きながら、バックでの演奏も堪能したいよね。

瀬上:多分、酔いしれるよね(笑)。それと、個人的には若井くんとできるのは楽しみだよね。

若井:私も本当に楽しみです。なかなかこういうチャンスもないと思うので、ぜひ観に来てもらいたいですね。チケットもお手頃ですし。

ルイス:普通に聴く機会がないような曲も演るので、良いチャンスなのでお見逃しなく。自分がお客さんの立場なら絶対に観に行くね。

瀬上:遠征してでも行くよね(笑)。

若井:意義深いイベントですし、普通に演奏するのとはちょっと違う緊張感もあります。

瀬上:ぶっちゃけ、この歳になってこの曲を弾くとは思わなかった(笑)。

ルイス:それは俺も(笑)。ラフ・カットを演るなんて想像だにしなかった。

──しかも、御本人とですものね?

若井:そう、だからカバーではない。

ルイス:心の師匠であるフランキー・バネリになりきって頑張る。ここもね、気持ち的に大きい部分があるよ、本当にフランキー・バネリってドラマーが一番好きなくらい特別な存在なので、フランキーの曲を彼と演ってた人と演奏できるわけだから気持ちは感慨深いものがあるよね。

瀬上:当時、まさかこの人と演奏できるなんて思ってないもんね。

──観る側も感慨深いですよ。

瀬上:そうだよね。ポール・ショーティノの最初の来日は<スーパーロック'85>でのラフ・カットで、次がラフ・カットの単独公演。クワイエット・ライオットに移ってからは<ジャパンエイド2>とアルバムをリリースしてからの単独公演で4回来日しているけど…。

若井:それから来てないですから、だいぶ経ちますね。

ルイス:俺が観たのが最後だからあれが89年かな?本当に楽しみだね。

<鋼鉄フェスティバルVol.2>

2016年11月3日(木・祝)
@東海市芸術劇場 大ホール
13:00開演 (12:15開場) シンポジウム
18:00開演 (17:15開場) ライブ
チケット:http://www.tokai-arts.jp/docs/2016052000019/
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